[出典] NEWS RELEASE: NIH delivering new COVID-19 testing technologies to meet U.S. demand. National Institute of Health. 2020-07-31

 米国NIHは、2020年4月29日に、より迅速で高性能なCOVID-19検査 (SARS-CoV-2検出)法の開発に2.49億ドルを投じるRapid Acceleration of Diagnostics (RADx)イニシアチブを立ち上げた。RADxは、現在80万件/日の検査に加えて、2020年9月中1週間に数百万件の検査増を、年内に600万件/日の検査増を目指している。

 これまで、Institute of Biomedical Imaging and Bioengineering’s (NIBIB)のPoint-of-Care Technology Research Network (POCTRN) を含む産学官の専門家による審査を進めていたところ、7月31日に7社と研究開発mp契約を結んだと発表した。

 7月31日のNIHニュース・リリースによると、650件の応募の中から100件を選択し、1週間をかけて、米国TVのリアリティー番組“shark-tank”流の方式で31件に絞り込み、続いて、4~6週間の厳密な技術評価を経て、今回、'Phase 1'として、7社と契約するに至った。各社はFDAの緊急使用許可 (Emergency Use Authorization: EUA)を受けたか、または、申請した。

 来週には'Phase 2'として、残る24社の中からマイルストーンを満たした社と契約する予定である。加えて、数十の有望な概念設計からRADxの"innovation funnel"で絞り込まれた検査法もRADxで支援される見込みである。

POCT (臨床現場即時検査) 3社

 オフィス, 工場, 保育所, 養護施設, 学校などでの簡易迅速検査法
  • Mesa Biotech: ハンドヘルドのRT-PCRデバイスとウイルスRNAを検出するコンパクトな使い捨てカートリッジで構成されるAccula SARS-CoV-2; 30分で判定
  • Quidel: 抗原検査法 Sofia SARS Antigen FIA ; 15分で判定 (Quidelの分析器は米国内数千ヵ所に普及している)
  • Talis Biomedical: 独自に開発した高速ウイルスRNA等温増幅法と光学的検出法およびカートリッジの多重化; 30分以内で判定
検査施設での検査法 4社
  • Ginkgo Bioworks:  NGSをベースとして、米国内で、検体回収から結果通知まで24-48時間, 2020年9月に5万件/日、年末までに10万件/日を実現する自動化システムを開発する。
  • Helix OpCoNGSをベースとして 、米国内で、数万件の鼻腔拭い試料回収から結果通知まで24-48時間, 2020年9月に5万件/日、年末までに10万件/日の能力のトータル・システムを開発する。
  • Fluidigm: 数千件/日の検査が可能なマイクロフリュイディスク・デバイスBioMark HDをベースとする; Fluidigmの機器や臨床検査施設や研究室に普及していることから、2020年秋までに唾液サンプルからの数万件/日の検査を実現する。
  • Mammoth Biosciences: 従来のPCR検査よりも短時間でSARS-CoV-2検査を可能とするCRISPR-Cas12aに基づくDETECTRシステムにより検査サービス施設における検査容量を数倍まで引き上げる。