[出典] PHOTACs enable optical control of protein degradation. Reynders M [..] Pagano M, Trauner D. Sci Adv 2020-02-21.
PROTACs (PROteolysis TArgeting Chimeras)は、標的タンパク質にE3リガーゼ複合体を近接させることで標的タンパク質をユビキチン化し、細胞に内在するユビキチンプロテアソーム系での選択的分解へと誘導する二官能性分子である [1]。
New York U.とNYU School of Medicineの研究グループは、光スイッチ基をPROTACに組み込み、光照射による細胞内タンパク質レベルの時空間制御を実現する三官能性分子を開発し、これをPHOTACs (PHOtochemically TArgeting Chimeras)として発表した。
New York U.とNYU School of Medicineの研究グループは、光スイッチ基をPROTACに組み込み、光照射による細胞内タンパク質レベルの時空間制御を実現する三官能性分子を開発し、これをPHOTACs (PHOtochemically TArgeting Chimeras)として発表した。
- PHOTACsは、E3リガーゼのリガンド、光スイッチ分子、および、関心のあるタンパク質 (protein of interest: POI)のリガンドで構成される。E3ユビキチンリガーゼCRBNのリガンドとして、サリドマイド誘導体であるレナリドマイド [2]を選択し、光スイッチ分子としては、最も小型で安定で広く利用されているアゾベンゼンを選択した [PROTACとPHOTACの比較図Fig. 1引用右図 AとC 参照]。
- PHOTACsが、暗状態では殆どあるいは全くタンパク質分解活性を示さず、青紫光 (380 - 440 nm)照射によってE3ユビキチンリガーゼ複合体を介してタンパク質分解活性を示すことを、BETファミリー (BRD2-4)またはFKBP12を標的とする実験で実証した。
- PHOTACsによって、タンパク質分解活性を光照射によって特定の細胞、組織・器官に限定することが可能になり、PROTACsのリスクを大きく縮減するに至った。
- 今回のPHOTACsは青紫光で制御したが、他の波長での活性化や、光源を備えた内視鏡または体内埋込み型LEDを利用することで、体内深部での光制御へと展開可能である。
参考crisp_bio記事
- 2019-04-01 PROTACs:アンドラッガブルなタンパク質には阻害よりも分解
- 2017-04-11 サリドマイド誘導体のレナリドミドがCRL4CRBNユビユビキチンリガーゼを介してCK1αを分解する構造基盤
- 2019-10-16 PROTACにアタックするAUTAC - 細胞内デブリ分解にオートファジーを利用する
- 2020-05-22 Ab-PROTAC: 抗体を利用して細胞型特異的なPROTACを実現した
- 2020-06-08 阻害より分解:ありふれたキナーゼ阻害剤を標的タンパク質分解誘導剤に豹変させる技成るか
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