[出典] Improvement of CRISPR/Cas9 system by transfecting Cas9-expressing Plasmodium berghei with linear donor template. Shinzawa N [..] Iwanaga S. Commun Biol 2020-08-05

 マラリア原虫のCRISPR/Cas9ゲノム編集は、Cas9によるDNA切断修復パスウエイとして、cNHEJを欠き、MMEJは低頻度であるため、ドナーテンプレートを利用したHDRに依存することになる。また、細胞分裂の際にプラスミドが欠失する傾向があることから、Cas9を安定して発現するトランスジェニック株の開発が試みられてきた。

 岩永史郎 (三重大 - 東医歯大学、阪大)らは先行研究 [*]で、セントロメアプラスミドを利用することで安定してCas9を発現するトランスジェニック熱帯熱マラリア原虫 (P. falciparum)をPfCas9樹立し、100%に近い変異誘導率を実現していた。
[*] CRISPR/Cas9 system in Plasmodium falciparum using the centromere plasmid. Payungwoung T [..] Iwanagi S. Parasitol Int 2018-06-08
  • 今回、ヒト・マラリア原虫のモデルとして利用されるネズミマラリア原虫P. berghei cssu 遺伝子座にCas9をノックインすることで、安定してCas9を発現するトランスジェニックP. berghei, pbcas9, を樹立した。
  • さらに、sgRNAとドナーテンプレートを環状プラスミドでデリバリーすると、交差型組み換えを介して標的遺伝子座にドナーテンプレートに加えてそのコピーも挿入されることを見出し、この問題を、直鎖状ドナーテンプレートとsgRNAプラスミドをデリバリーすることで解決した。
  • こうして、オフターゲットを伴わない高精度なゲノム編集に加えて、多重標的編集および染色体の大規模領域削除を実現した。