[出典] Deployable CRISPR-Cas13a diagnostic tools to detect and report Ebola and Lassa virus cases in real-time. Barnes KG, Lachenauer AE [..] Sabeti PC. Nat Commun 2020-08-17

 Broad Instituteを主とする研究グループは、CRISPR-Cas13aをベースとする超高感度核酸検出プラットフォームSHERLOCK [1] を、エボラウイルス (EBOV)*とラッサ熱ウイルス (LASV)*の診断へと展開し、Broad Instituteでの開発検証に加えて、アウトブレイクが発生したシエラレオネとナイジェリア内での施設で性能を実証した。
[*] EBOV検出とLASV検出のスキームについてそれぞれFig. 1Fig. 2参照
  • 各ウイルスに特異的な判定が、蛍光でも、ラテラルフローでも可能
  • 高感度と検査のキャパシティーが十分であることを実験室サンプルでも臨床サンプルでも確認
  • SHERLOCKプラットフォームの前処理として、ウイルスの化学的変性と熱失活を介して核酸を抽出可能としたHUDSON (Heating Unextracted Diagnostic Samples to Obliterate Nucleases)プロトコル [2] を採用することで、安全性も確保 [Fig. 3: HUDSON safety testing 参照]
  • ラテラルフローでの検出について、ウイルス濃度が低いサンプルについても、オペレーターの技量に如何によらない安定した判定を、ストリップの画像読み取りから結果表示までのスマホ・タブレット用のアプリケーション, HandLens, を開発することで、実現 (ただし、画像処理はバックエンドのサーバで実行)  [Fig 4 a-e引用左下図とFig.4 f引用右下図参照]:
    Fig. 4 a-e Fig. 4 f
    EBOVサンプルを対象とする105から10 コピー/μLの希釈テストで、RT-qPCRと照合し、精度 93%, 感度 91%, および特異度100%を達成
[これまでの検査法の問題点]
  • EBOV: コンゴ共和国でのアウトブレイク対応として接種された弱毒性ワクチンが、糖タンパク質を標的とするRT-qPCR検査に偽陽性をもたらす。他のウイルスについても、弱毒性ワクチンが同じ問題をもたらす。
  • LASV: 西アフリカにおいて遺伝的に多様な株が蔓延しており、全ての株を識別・検知する検査法が存在しない。シエラレオネ由来のJosiah株用に調整されたRT-qPCR検査は、ナイジェリア由来の株に対して、偽陽性にも偽陰性にもなる。
[参考crisp_bio記事]