[出典] A simple and highly efficient method for multi-allelic CRISPR-Cas9 editing in primary cell cultures. Hoellerbauer P [..] Paddison PJ. Cancer Rep. 2020-07-28; [PROTOCOL] Efficient Multi‐Allelic Genome Editing of Primary Cell Cultures via CRISPR‐Cas9 Ribonucleoprotein Nucleofection. Hoellerbauer P, Kufeld M, Paddison PJ. Curr Protoc Stem Cell Biol. 2020-08-24.

 Fred Hutchinson Cancer Research Centerを主とする研究グループが、CRISPR-Cas9による初代培養細胞のゲノム編集における課題であったデリバリーと編集の効率改善に取り組み、患者由来の 高二倍体のグリオブラストーマ幹細胞様細胞 (glioblastoma stem‐like cells; GSCs)とヒト神経幹細胞/前駆細胞 (neural stem/progenitor cells; NSCs)にて概念実証実験を実現した。

 手法は単純である。化学合成2′‐O‐methyl 3′phosphorothioate修飾sgRNAsと精製したCas9タンパク質からなるRNPを一時的に最適な条件でヌクレオフェクションする。
  • 単一sgRNAによる標的部位へのindels挿入効率 > 90%を実現し、多重sgRNAsを利用することでゲノム標的領域 (~50-50k bp)の削除を実現した。
  • この手法によるタンパク質レベルのほぼ完全なノックアウトもウエスタンブロッティングで確認できた。
  • また、この手法により短期間で一連の遺伝子をノックアウトし、遺伝子発現プロファイル (RNA-seq)の解析などから発癌性を評価すつことが可能なことも示した。
 この手法はヌクレオフェクションの条件を調節することで多様な細胞型へと展開可能である。

[関連crisp_bio記事]
  • CRISPRメモ_2017/12/06 - 2 [第12項] 細胞毒性を回避しつつCRISPR-Cas9遺伝子編集の安定性と効率を高めるsgRNA化学修飾