[出典] "Gene Therapy for glaucoma by ciliary body aquaporin 1 disruption using CRISPR-Cas9" Wu J [..] Chu CJ. Molecular Therapy. 2020-01-10. ; ブログ "Could It Be A One-Stop Solution For The Most Common Cause Of Irreversible Blindness? " Smith V. BSGCT blog.(英国遺伝子治療学会ブログ) 2020-09-01

 ヒトの眼の中では房水と呼ばれる液体が眼の中で循環している。この房水は、眼の毛様体 (ciliary body)で生産されるが、循環後に排出されることで、適量に保たれている。緑内障の主因は、この生産量と排出量のバランスが崩れ
房水の量が過剰になり、ひいては、眼圧が高まるためとされている。その他の病因も示唆されているが、いずれにしても、眼圧を下げると緑内障のリスクが減じる。緑内障は、薬物療法 (目薬と飲み薬), レーザー治療, および手術によって症状の悪化を防いだり症状を改善できる可能性があるが、治癒は困難である [*]。
[*] この段落は、日本眼科学会Webサイトの緑内障の項からcrisp_bioが抽出編集したテキストですので、正確を期すには元サイトにてご確認下さいますよう。

Glaucoma University of Bristolを主とする英国研究グループは今回、細胞膜水チャネルのアクアポリン1をコードする遺伝子を標的とするCRISPR-Cas9システムをAAVを介してマウス硝子体に注入し、注入後1週間でアクアポリン1のノックダウンと眼圧低下が顕れ、7週間後には網膜神経節細胞の細胞死が止まることを、報告した [Graphical Abstract引用右図参照]。マウスに対する副作用は見られなかった 。

 次いで、ヒト死後組織の毛様体においても、アクアポリン1のノックダウンを確認し、今後、大型動物と非ヒト霊長類を対象とする前臨床実験での検証が待たれるとした。

網膜神経節細胞
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