[出典] "Aptamer-based CRISPR/Cas12a assay for the ultrasensitive detection of extracellular vesicle proteinsLi H, Xing S, Xu J [..] Deng M, Zeng M, Liu W. Talanta. 2020-09-17

 本論文は、2020-09-21日に本ブログで取り上げたMin DengとWanli Liuを責任著者とする研究グループのTheranostics誌掲載論文 [*]に先立ちTalanta誌に投稿されたが (2020-04-30)、刊行日が逆転する結果となった。
[*] 投稿日2020-06-03: An ultrasensitive hybridization chain reaction-amplified CRISPR-Cas12a aptasensor for extracellular vesicle surface protein quantification" Xing S, Lu Z, Huang Q [..] Deng M, Li W. Theranostics. 2020-08-132020-09-21 エクソソーム表面腫瘍マーカの超高感度検出: ハイブリダイゼーション連鎖反応とDETECTR流シグナル増幅の融合

aptamer-CRISPR/Cas12アッセイのワークフロー [Fig. 1参照 ]
  • テトラスパニンのカクテル (CD9, CD63, およびCD81)に対する抗体でコートしたマイクロプレートにて腫瘍細胞由来エクソソーム(tumor-derived xxtracellular vesicles; TEV)を捉え、標的タンパク質に結合するアプタマーで、標的タンパク質ひいてはそれを発現しているTEVを捉える。
  • フリーなアプタマーを洗い流し、標的タンパク質に結合したアプタマーをPCRで増幅し、続いて、アプタマーを標的とするCas12a-crRNAシステムのコラテラル活性により切断されていた、蛍光レポータssDNAが切断されてレポータが発光し、蛍光強度から標的タンパク質を定量可能になる。
実証実験
  • 鼻咽頭(NPC)細胞株SUNE2の溶解液とNPC癌患者由来の血清からのCD109陽性TEVとEGFR陽性TEVの検出で実証した。
  • LoDは100 粒子/mLでリニアダイナミックレンジは6桁(102-108 粒子/mL)に及び、50 μlのサンプルからの直接検出が可能であった。
  • 患者血清を対象として、CD109-アプタマーとEGFR-アプタマーを同時使用を検証し、CD109陽性TEVとEGFR陽性TEVによるNPC患者と健常患者の判別の感度と特異度それぞれ84.1%と85.0%を得た。
  • また、放射線療法により腫瘍が縮小した患者血清ではバイオマーカーレベルが劇的に低下したが、腫瘍が縮小しなかった患者血清ではバイオマーカのレベルが維持または上昇し、aptamer-CRISPR/Cas12は治療効果の非侵襲的検査にも有用であることを示した。