新型コロナウイルスの治療と予防に関するFDAのStephen Hahn長官の判断と発言に対して疑義が呈されていたが、10月8日に公開されたワクチンの緊急許可使用に関するガイドライン案公開によって、FDAは信頼性を回復しつつある模様である。以下に、主としてRegulatory Focus News. 2020-10-06 に基づいて、事の経緯をまとめた:
  • 8月31日 Scripps Research Translational Instituteの設立者であり、医学分野での被引用頻度トップ10に入るとされているEric Topol氏がFDAのStephen Hahn長官に対するコメント"真実を述べるか辞任せよ"を公開 [crisp_bio関連記事参照]
  • 9月10日 FDA長官のStephen Hahnとアメリカ食品医薬品局 (CBER)のPeter Mark局長がCOVID-19ワクチンの緊急使用許可 (EUA)のガイダンスを公開予定と発言 [Regulatory Focus News 2020-09-11]
  • 9月23日 ワシントン・ポスト紙などが「FDAはCOVID-19ワクチン第3相試験でワクチンを接種した最終日から経過日数の中央値が2ヶ月のデータを検証する」と報道した [注: 11月3日の大統領選挙までにワクチンの緊急使用許可は出ないことになる]
  • 10月5日/13日 ニューヨークタイムズ紙が"ホワイトハウスが新型コロナウイルスのガイドラインをブロック」と報道
  • 10月8日 FDA, ワクチン・関連生物学的製剤諮問委員会 (Vaccines and Related Biologics Advisory Committee: VRBPAC)開催 (10月22日)に先立ちCOVID-19ワクチンのEUAに関するワクチン製造業者へのガイダンス案を公開 [注: 異例とされている (in a surprise move)]:
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    EUA申請または承認後も、第3相試験を継続し, ASAPで生物製剤認可申請 (BLA)を求めること; EUA申請の1ヶ月以上前にCMCデータを提示すること;  第3相試験由来データは、ワクチンを接種した最終日からの経過日数の中央値が2ヶ月のデータを含むこと (
    Peter Markは、10月7日のJAMA誌の編集長とのインタビュー で、「フォローアップの期間は(2ヶ月に満たない7週間でもかまわない, FDAのレビューが数週間かかる間にデータが追加されるであろうから」と述べている); 少なくとも3,000人を対象とする治験データに、偽薬投与グループにおける局所または全身に見られた副作用例5件以上が含まれていること; EUA承認に先立ちVRBPACで公開審査を行う。
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  • 10月16日 FDA長官のStephen HahnとEric Topol氏の対話"(FDAの)決定は (他のなにものにも左右されず)科学に基づいてなされる"公開: [出典] "FDA's Hahn to Topol: Decisions Will Be Made Based on Science Alone" Medscape. 2020-10-09