[出典] "CRISPR-Sunspot: Imaging of endogenous low-abundance RNA at the single-molecule level in live cells" Sun NH, Chen DY, Ye LP, Sheng G, Gong JJ, Chen BH, Lu YM, Han F. Theranostics 2020-09-02
[注] CRISPR-Sunspotは"Suntag-mediated single molecule RNA snap shot method which is integrated with the CRISPR/Cas9 system"に由来する

 CRISPR技術による生細胞内のmRNAの可視化はこれまで、dCas13d (dCasRx)を介したRNA LiveFISH [1]や, sgRNAのRNAへの結合を可能とするオリゴヌクレオチド (PAMmer)を介してdCas9によるRNA追跡を可能にしたRCas9 [2, 3]などによって実現されてきた。南京医科大学, 浙江大学にYale U School of Medicineが加わった研究グループは今回、SunTag [4-6]をベースとして生細胞において、微量のRNAを1分子分解能で識別可能なRNA可視化法 'CRISPR-Sunspot' を開発し、HE293T細胞, U2OS細胞, および、マウス初代海馬ニューロンにおいて検証した。

SunTagシステム (復習)
  • UCSFのTanenbaumらが開発したSunTagシステム [4]一本鎖抗体 (scFv)と短いアミノ酸配列 (エピトープ)との結合をベースとする。具体的には、 GCN4ペプチドを最適化したGCN4 v4ペプチドの繰り返しからなる長いペプチド鎖と、scFvの組合せが選択された。
  • scFvにsfGFPまたはmCherryを結合したSunTagシステムを介して標的タンパク質の可視化を実現した。また、scFvに転写活性化ドメインVP64 (VP16 x 4)を結合しSunTagシステムをエンドヌクレアーゼ活性を失活させたCas9 (dCas9)に融合することで、dCas9-sgRNAが標的とする遺伝子の転写活性化を実現した。
CRISPR-Sunspotの構成
  • 研究グループは今回、scFv-sfGFP-VP64を繋留するSunTagペプチド鎖を結合したdCas9を、DNA上の標的認識に必要なPAMに相当するPAMmer [3]を帯びたsgRNAを介してRNAに結合させることで、RNAの可視化 (RNA imaging)を実現した。CRISPR-Sunspot
  • また、scFv-sfGFP-VP64をCRISPRaの常法に則って、sgRNAを介して標的遺伝子のプロモーターに結合させることで、標的遺伝子の転写活性化 (Gene activation)を実現した。
  • それぞれ、Figure 1引用の右図の右下のRNA imagingと, 右上のGene activationを参照]。
  • 研究グループはまた、TRE3Gをプロモータとして組み込むことで、誘導性をもたせたCRISPR-Sunspotも用意した。
CRISPR-Sunspotの実証
  •  2020-10-21 17.45.54細胞質内在のmRNAsの一分子分解能での検出を実現した。
  • 神経細胞において、ACTBイタmRNA顆粒の可視化, mRNA調節因子 (タンパク質)の双方の可視化と追跡 [Figure 6 引用右図のE 参照]を実現した。
  • 神経突起におけるカルシウムカルモジュリン依存性タンパク質キナーゼのサブタイプCamk2aと、ATR-X症候群に関連する過剰発現させたXlr3b (FLAGタグ融合)との共局在を検出した [Figure 7 参照]。
  • CRISPRaを利用してCRISPR-Sunspotにより遺伝子 (例 HBG1)の転写活性化の検出と拡散動態を検出し、また、酸化ストレスを与えた結果G3BP1-mCherryで標識したストレス顆粒にmRNAが蓄積されることも観察した [Fgiure 8参照  およびFigure 9参照]。
[参考crisp_bio記事]