[出典] "Multiplex enCas12a screens detect functional buffering among paralogs otherwise masked in monogenic Cas9 knockout screens" Dede M, McLaughlin M, Kim E, Hart T. Genome Biol. 2020-10-15.
MD Anderson Cancer Centerの研究グループは、Cancer Dependency Map [1]に収録されたCRISPR/Cas9 KOスクリーンによる癌細胞の必須遺伝子のデータを解析し、癌細胞で恒常的に発現している遺伝子群の半数が、癌細胞の種類やスクリーニングよらず非必須と判定され、また、それらの遺伝子にはパラログが存在することを、発見した [Fig. 1引用右図参照]。
そこで、CRISPR/enCas12aの特徴 [2] を活かして、パラログ・ペアの2重ノックアウト実験を試みた。
- 3種類の癌細胞株において、CRISPR/enCas12aによって、~400組のパラログ候補ペアの双方を標的とする二重遺伝子ノックアウト (dual-gene knockout)スクリーンを行った。
- その結果、単一遺伝子を標的としたCRISPR/Cas9では見逃されていた合成致死性のパラログのペア24組を同定した (一方のパラログが存在している場合は必須性が隠れており、双方が存在しない場合に必須性が顕れる)。
- これらの中には、機能が冗長な酵素ペアのほかに安定したタンパク質複合体の異なるサブユニットのペアも含まれていた。
- 24組の中で、14組は3種類の癌細胞株全てにおいて合成致死性であり、19組は少なくとも2種類の癌細胞株で合成致死性であった。
[引用crisp_bio記事]
[Cas9スクリーニングの課題関連crisp_bio記事]- 2019-07-28 CRISPR-Cas9ノックアウト実験は必ずしもタンパク質のノックアウトまでは意味しない
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