[出典] "Roles of bacteriophages, plasmids and CRISPR immunity in microbial community dynamics revealed using time-series integrated meta-omics" Arbas SM, Narayanasamy S [..] Wilmes P. Nat Microbiol. 2020-11-02

 University of Luxembourg, Institute for Systems Biology, Indiana University, TGen North, KU Leuven,, UC La Jollaなどの研究グループは今回、活性汚泥 (activated sludge)生物学的廃水処理プラント(biological wastewater treatment plant)における一年半にわたる微生物群集 (microbial consortium)を対象とするメタゲノミクス (MG), メタトランスクリプトミクス (MT), およびプロテオミクス (MP)を統合することで、ファージおよびプラスミド (侵入可動遺伝因子/invasive mobile genetic elements: iMGEs)と宿主の相互作用と動態を探った。
  • MGとMTから26,524本のゲノム (metagenome-assembled genomes: MAGs)を再構成し、デレプリケーション (dereplication)を経て得たMAGsのプールの代表ゲノム(representative MAGs: rMAGs)の選定と品質管理を経て92 rMAGsについて、解析を進めた。
  • 31種類のrMAGsが、完全なCRISPR-Casシステムを含んでいた。
  • CRISPRの標的であるプラスミド量がファージ量を上回り (5倍以上)、プラスミドに対するCRISPRシステムによる保護が重要なことが示唆された。
  • 時系列データの線形モデルから、微生物群集の動態を、ファージの量の変動よりもプラスミド量の変動によって説明可能なことが明らかになった。
  • 微生物群集全体にわたるCRISPRをベースとするプラスミドと宿主とファージと宿主の相互作用ネットワーク解析から、CRISPRを介した相互作用の増加と、優位種である‘Candidatus Microthrix parvicella’の減少とが一致することを見出した。
  • プロトスペーサには、iMGEsの伝達に関与する遺伝子を標的とする配列が豊富であった。
 特定の微生物集団のフィットネスを制御する因子を理解することが、望ましくない微生物群集の制御戦略、および、微生物群集としてのフェノタイプを予測または説明するに必須である。