l   van Esbroeck ACM et al. “Activity-based protein profiling reveals off-target proteins of the FAAH inhibitor BIA10-2474” Science. 2017 Jun 9;356(6342):1084-1087

l   BIA 10-2474第1相試験における重大事象

l   脂肪酸アミド加水分解酵素(fatty acid amide hydrolase: FAAH)を阻害するとアナンダミドなどの因性カンナビノイドが蓄積される。そこで、不安や疼痛を和らげる向神経薬候補としてFAAH阻害の開発が行われていた。

l   2016年、FAAH阻害であるBIA 10-2474の第1相試において、死及び重度神障害が発生したが、当時は原因不明であった。

l   Kerbrat A et al. “Acute Neurologic Disorder from an Inhibitor of Fatty Acid Amide Hydrolase.” N Engl J Med. 2016 Nov3;375(18):1717-1725.

l   原因追求

l   治験の不手際は検証を経てフランス当局が公式に否定された。

l   PF04457845など他のFAAF阻害剤が第2相試験まで安全性を示していたことから、FAAH阻害により蓄積された長鎖アナンダミドの酸化代謝物がカンナビノイド受容体CB1カプサイシン受容体TRPV1NMDA受容体を過剰活性化した可能性は低いと見られている。

l   今回、BIA 10-2474のオフターゲット活性が原因であることを示すデータが得られた。

l   オフターゲット活性

l   BIA 10-2474は、PF04457845が標的としない多のリパーゼを標的とし、ヒト皮質ニューロンにおける脂質ネットワークを大幅に改し、神システムにおいて代謝異常を引き起こすことが示唆された。

l   標的蛋白質は、Activity-based proteomeics/activity-based protein profilingABPP)によって同定した。

l   ABPP酵素の活性部位の求核性残基に共有結合する求電子性反応基と、蛍光タグとで構成されるプローブを利用して、活性酵素を可視化する。