[出典] REVIEW "CRISPR-based enrichment strategies for targeted sequencing" Schultzhaus Z, Wang Z, Stenger D. Biotechnology Advances. 2020-11-28. https://doi.org/10.1016/j.biotechadv.2020.107672

 シーケンシング技術の進展と普及に伴ってゲノム配列やメタゲノム配列のデータを容易に手にすることが可能になったが、網羅的そしてまたは大規模なゆえにコストに加えてその解析には多大な労力を必要とする。そこで、複雑なサンプルの中でごく一部の関心のある領域を高多重度でシーケンシング (deep sequencing)し高精度で解析するために、一部配列を捉え (capturing), 標的し (targeting), または濃縮した上で、深く解析する技術が求められ開発されてきた。

 これまでのいわゆるターゲットキャプチャ法はしかし、膨大なオリゴヌクレオチドプローブの設計、マイクロアレイチップの作製、および長時間のハイブリダイゼーションなどが必要な複雑で手間のかかる手法であった。

 Naval Research Laboratoryの著者らは今回、CRISPR登場までのターゲットキャプチャ法の特徴と利用をレビューした上で、ポータブルなロングリードのシーケンサとの組み合わせることで、DNAとRNAのターゲッティングのカップリングを可能にするなど、濃縮法に新たな展開をもたらしたCRISPR技術による標的核酸濃縮法をレビューし、その診断や環境モニタリングへの応用を展望した。