(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/01/13

  • Corresponding author: 多胡めぐみ (慶應大学)
  • 肥満と肥満関連代謝病に対応すべく脂肪生成を抑制する新奇化合物が求められている.今回、PPARγ(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ)を過剰発現しているマウス胎児線維芽細胞株3T3-L1において、水溶性フラーレン誘導体(ビス-マロン酸誘導体と3種類のプロリン型フラーレン誘導体)が脂肪生成に与える影響を解析した.
  • その中で、カルボキシ基を3つ有するプロリン型フラーレン誘導体P3が、脂質の蓄積を抑制し、また、PPARγのアゴニストである2型糖尿病治療薬ロシグリタゾンによって誘導されるaP2遺伝子のような脂肪細胞に特異的な遺伝子の発現を抑制した.
  • 一方で、ビス-マロン酸誘導体Mとカルボキシル基を2つ有するプロリン型フラーレン誘導体P1とP2は、PPARγを介した脂質蓄積またはaP2の発現には影響を与えなかった.
  • P3は、3T3-L1前駆脂肪細胞において、3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)、デキスメタゾンならびにインスリンの複合刺激によって誘導される脂質蓄積を阻害した.P3はまた、3T3-L1細胞の脂肪細胞への分化過程において、C/EBPδ、C/EBPβまたはPPARγの発現に影響を与えないが、aP2 mRNAの発現を明確に阻害した.