[出典]
Schoebel S 〜 Rapoport TA, Liao M. “Cryo-EM structure of the protein-conducting ERAD channel Hrd1 in complex with Hrd3.” Nature. Published online 06 July 2017. https://doi.org/10.1038/nature23314
EMDB-8638: Cryo-EM map of the ERAD components Hrd1/Hrd3 dimer(単粒子再構成法, 4.7Å分解能)
EMDB-8639: CryoEM map of Hrd1 dimer with one Hrd3 molecule(単粒子再構成法, 4.7Å分解能)

[背景]
  • ERAD経路によって、小胞体において正常な構造をとることができなかったミスフォールド蛋白質は小胞体から細胞質へと小胞体膜を超えて逆行輸送され、ユビキチン・プロテアソーム系で分解される。
  • 小胞体内腔(ER lumen)と小胞体膜(ER membrane)で発生したミスフォールド蛋白質はそれぞれ、ERAD-LとERAD-Mの経路を経て、逆行輸送・分解される。
  • S. cerevisiaeでは、いずれの経路も、細胞質RINGフィンガードメインを有するマルチスパン小胞体膜蛋白質ユビキチンリガーゼHrd1を必要とするが、Hrd1に蛋白質輸送チャネルが形成されているか否かは不明であった。
[成果]
  • クライオ電顕単粒子再構成法によって、ScHrd1と、Hrd1と相互作用することが知られている膜蛋白質Hrd3との複合体構造を解いた。
  • Hrd1は、Hrd3の1分子または2分子と結合し、内腔側で二量体を形成、二量体を形成するHrd1それぞれに、8回膜貫通セグメントが存在した。
  • 膜貫通セグメントの中で5セグメントが細胞質からほぼ小胞体内腔まで至る親水性キャビティーが存在し、それらに隣接するHrd1分子が横方向のシールを形成することで、Hrd1に蛋白質逆行チャネルが形成されることが明らかになった。
  • こうした構造は、Sec61/SecYYidCを思い起こさせる。