• [出典] “Classification and function of small open reading frames.” Couso JP, Patraquim P. Nat Rev Mol Cell Biol. 2017 Sep;18(9):575-589. Epub 2017 Jul 12.
  • 真核生物ゲノムには10100コドンの短いOpen Reading FramesmORFs)が数百万存在するが、その短かさと転写物が生化学的解析に小さすぎることから、in silicoでもウエット実験でも体系的な解析が進まず、ほとんどがノンコーディングDNAと見なされ、中でもlncRNAと推定され、プロテオミクスにおいてアノテーションが付されることは稀であった。
  • ここ2〜3年で、少なくとも数百のsmORFsが翻訳され、ペプチドを生成し、これらペプチド(smORF- encoded peptidesSEPs)またはmicro-peptides)が重要な生理的機能を帯び、後生動物間で保存されていることが報告され始めた。
  • 現在、動物ゲノムに存在するsmORFsから転写される比率は僅か1.2%であり、翻訳に至るのはさらにその3分の1に過ぎないとされているが、それでも、各動物種で数万のペプチドがsmORFsから生成され、ひいては、生物活性を有する数百のSEPsが生成されると見られる。
  • 今回、ショウジョウバエ、マウス及びヒトのゲノムに存在する標準的な開始コドンAUGをもち互いに重複しないORFsを解析し、smORFsを機能分類(クラス分け)可能なことを示した(*)。したがって、クラス分類から新規smORFsの機能予測が可能なことが示唆された。また、smORFsのクラスがタンパク質進化のステップに対応することも示唆された。

(*)smORFクラスと機能

Ø   非翻訳遺伝子間ORFs

Ø   転写されるsmORFs

²  uORFs(in 5UTRs):下流に位置する標準的ORFs翻訳をシス調節

²  lncORFs:新奇生物活性ペプチドへ

²  Short CDSs:細胞質と細胞膜において標準的なタンパク質を調節するペプチドへ

²  Short isoforms:相同タンパク質と干渉するペプチドへ

Ø   標準的ORFs101コドン以上):標準的タンパク質へ