1.Molecular Chipper法による高密度sgRNAライブラリー構築

  • [出典] “Dense sgRNA Library Construction Using a Molecular Chipper Approach.Cheng J, Pan W, Lu J. Bio Protoc. 2017 Jun 20;7(12).
  • 任意のDNAからランダムフラグメント化とIII型制限酵素により、バイオインフォマティクス高密度なsgRNAライブラリーを構築するMolecular Chipper法の詳細プロトコル。
  • 挿入図はプロトコルの初出論文と思われるCRISPR関連文献メモ_2016/04/07(論文 2件;特許 1件;ハイライト 1件)第1項「非翻訳領域の機能マッピングを可能とするsgRNAライブラリー生成技術“molecular chipping”」引用文献中のFigure 1.

Molecular Chipper

2CRISPR-Cas免疫機構:細胞内シグナル伝達機構の存在明らかに

  • [出典] “Intracellular signaling in CRISPR-Cas defense.Amitai G, Sorek R. Science. 2017 Aug 11;357(6351):550-551.
  • 転写されてくるファージmRNAを認識・結合したⅢ型CRISPR-CasエフェクターRNP複合体は、そのPalmドメインでATPからサイクリックオリゴアデニル酸(cOA)を合成し、このcOACsm6 RNaseを活性化しmRNAを分解する。詳細は、CRISPRメモ_2017/08/07(分子機構 4件;特許 1件[08/17追記])の第3項「バクテリアの獲得免疫機構におけるセカンドメッセンジャー発見」参照。

3.サンガー法シーケシングとMS Wordのワイルドカード検索を利用するCas9誘導フレームシフト変異の簡易同定法

  • [出典] “A simple method based on Sanger sequencing and MS Word wildcard searching to identify Cas9-induced frameshift mutations. Jie H, Li Z, Wang P, Zhao L, Zhang Q1, Yao X, Song X, Zhao Y, Yao S. Lab Invest. 2017 Aug 21.

4.抗-CRISPRタンパク質(anti-CRISPR proteins)群の多彩なCas9阻害機構

  • [出典] “A Broad-Spectrum Inhibitor of CRISPR-Cas9.Xin Liu et al. Cell 2017 Sep 7;170(6):1224-1233.e15 (Available online 24 August 2017)
  • CRISPR-Cas9システムはバクテリアの獲得免疫システムであり確固たるゲノム編集技術システムである。一方で、バクテリオファージが備えているCas9を不活性化するタンパク質anti-CRISPR proteinsAcrs)は、ファージのバクテリア獲得免疫システム回避を可能とし、また、Cas9を利用した技術のオフスイッチに応用可能である。今回、AcrIIC1AcrIIC3がそれぞれ独自の機構でCas9を阻害することを明らかにした。
  • AcrIIC1は、Cas9オーロソグに共通なHNH触媒ドメインに直接結合することで、広範なタイプⅡ-C Cas9を阻害する。Neisseria meningitides由来Cas9NmeCas9)のHNHドメインとAcrIIC1の複合体の結晶構造解析から、AcrIIC1Cas9DNAに結合しつつも不活性な状態に止める機構を明らかにした。HNHフォールドは、バクテリアの制限酵素にも存在することから、AcrC1が制限酵素の阻害もする可能性がある。
  • AcrIIC3は、NmeCas9に特異的に結合して二量体化することで、AcrIIC1とは異なり、Cas9の標的DNAヘの結合を阻害し、ひいてはDNA切断を不可能にする。
  • こうしたAcrIIC1AcrIIC3Cas9阻害機構は、AcrA4と異なる。 AcrA4は、タイプⅡA CasオーソログのPAM認識サイトを占有して、Cas9の標的DNAへの結合を阻害する。
  • [PDB ID] 5VGB: Crystal structure of Neisseria meningitides Cas9 HNH domain bound to AcrIIC12017/08/27時点ではHPUB -- 編集処理完了、論文の公開まで公開待ち)

5.CRISPR/Cas9でマラリアと戦う:生命倫理からの議論