[出典]“Improved base excision repair inhibition and bacteriophage Mu Gam protein yields C:G-to-T:A base editors with higher efficiency and product purity”. Komor AC et al. Sci Adv. 2017 Aug 30;3(8): eaao4774

[背景]

David R. Liu
グループのBase Editor (BE)

  • Cas9N末端にリンカーを介してシチジンデアミナーゼを融合、dCas9-sgRNAが標的部位に結合しR-ループが形成され、露出された〜5塩基長のssDNA上のシトシン(シチジン)をシチジンデアミナーゼがウラシル(ウリジン)へと変換。G:Cから一時的に生成されたG:UDNAミスマッチ修復を制御することで、dsDNAからのNHEJ修復過程はテンプレートDNAを加えたHDR過程を経ることなく、dsDNAG:CからA:Tへの直接変換を実現

先行研究におけるBE1からBE3への進化

  • BE1: rAPOBEC1(ラット由来のシチジンデアミナーゼ)-リンカー(16アミノ酸XTEN)dCas9
  • BE2: rAPOBEC1dCas9UGI dCas9C末端にウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)阻害剤(UGI)を融合し、内在DNAミスマッチ修復機構からG:Uを保護)
  • BE3: rAPOBEC1dCas9 (A840H)UGIdCas9Ala840アミノ酸を触媒活性を示すHisに置換し(戻し)、ウラシルに向かい合うDNA部位にニックを入れて、A:U及びA:Tへの修復を亢進)

[成果]

望ましくない変換の発生とその原因究明

  • BE3が多様な生物に幅広く利用される過程の中で、C:GからT:Aヘの変換の他に、G:CA:Tといった望ましくない変換(CからT以外への変換)の発生問題が顕在化してきた。今回、先行研究のAPTOBEC1をシチジンデアミナーゼのホモログ (CDA1, AIDまたはAPOBEC3G)に置換したCDA1-BE3AID-BE3およびAPOBEC3G-BEを構築し、ヒト細胞の塩基編集結果を評価した結果、編集動態のシチジンデアミナーゼのホモログ依存性と共に、望ましくない変異がウラシルNグリコシラーゼ(UNG)に依存し、特に、塩基編集対象領域中のCが1つの場合は、誤変換を抑制するためにUNG阻害が必須であることを見出した。

BE4

  • 一連のBE3の最適化の試みの中での発見を生かして、BE4を構築:rAPOBEC1Cas9nD10A)の間のンカーを32アミノ酸に延長し、Cas9nD10A)とUGIの間のリンカーを9アミノ酸に延長し、さらに9アミノ酸のリンカーを介してUGIを融合(挿入図 Fig .5-A参照)。
    BE4_1
  • BE4の塩基編集の効率と精度をBE3およTarget-AIDと比較(挿入図 Fig.5 -C
  • S. pyogenes Cas9nD10A)に加えてS. aureus Cas9n(D10A) についてもBE4BE3よりも高性能であることを確認

BE3-Gam/BE4-Gam: バクテリオファージ Mu由来Gamタンパク質でBEに伴うindelsを抑制

  • BEUの対向にニックを入れるため、塩基除去修復酵素の一種であるAPリアーゼを介した二本鎖DNA切断(DSB)によりindelsが誘導される可能性が考えられる。
  • 今回、DSBsの末端に結合・分解から保護する機能を有するGamタンパク質をBE3またはBE4rAPOBEC1N末端に16アミノ酸のリンカーを介して結合することで、indels発生を抑制できることを示した(挿入図 Fig. 6-A)。
BE4_2

結論

  • CからTへの変換効率とindelの比率は、BE3 < BE3-Gam < BE4 < BE4-Gamの順に向上;C:GからT:Aヘの塩基編集変換にはBE4-GamまたはSaBE4-Gamを推奨。
  • 真核生物DNA修復機構を理解し操作するさらなる研究が必要。