（創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/02/28）

• [出典] 論文→江川 博、神宮司 健太郎 〜 辻川和丈. "Pharmacological regulation of bladder cancer by miR-130 family seed-targeting LNA." Integr. Mol. Med. 2016;3 DOI: 10.15761/IMM.1000187
• 国際的に毎年15万人に死をもたらす膀胱がんは、分子レベルで明確にサブタイプに分類されることから、治療標的として、がんに関連するさまざまなシグナル伝達系を調節する分子を選別する必要がある．研究チームは、膀胱がんの治療標的として、発がん性のmiR-130ファミリー（miR-130b；miR-301a；miR301b）に注目した．
• このファミリーに共通な標的として、ファミリー内で保存されている８塩基の配列（シード配列）に相補的な配列を合成した．この固定化核酸（locked nucleic acid: LNA）は、ストレスファイバーの形成を抑制することによって、5637膀胱がん由来細胞株の増殖、遊走および浸潤を阻害した．
• このLNAはさらに、FAKとAktのリン酸化を阻害することによって、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ（PTEN）と非受容体11型チロシンホスファターゼを上方制御した．
• また、LNAはin vivo（5637細胞株を移植したマウス）においても、腫瘍増殖を抑制した．
• [関連論文] 江川 博 et al. "The miR-130 family promotes cell migration and invasion in bladder cancer through FAK and Akt phosphorylation by regulating PTEN." Sci. Rep. 2016 Feb 3;6:20574.