[注] 関連論文とPerspective記事へのリンクを追記(2017/11/25)し、タイトルを「CRISPR-Cas13によるRNAターゲッティング」から「CRISPR-Cas13によるRNAターゲッティングとエディティング」に改訂(2018/02/22); 2019-07-11にRNA C-to-U置換を実現したRESCUEが発表された (crisp_bio記事「RNAの1塩基変換ツールボックス拡張:REPAIR (A-to-I)にRESCUE (C-to-U)加わる」参照)

ターゲッティング
【出典】“RNA targeting with CRISPR–Cas13” Abudayyeh AO, ~ Zhang F. Nature.Published online 04 October 2017.
  • これまでは、生命現象において重要かつ多様な役割を担っているRNAを解析するツールには限界があった。例えば、RNAsを効果的にノックダウンするRNAiにはオフターゲット作用の問題があり、RNAsの可視化には外部からタグを導入する必要があった。
  • Feng Zhangらは今回、クラス2タイプVI CRISPR CasシステムのCas13a(当初の命名はC2c2)を哺乳類細胞における核内も含むRNAの多重ノックダウンとRNAの可視化に適用できることを示した。
  • 初めに、Cas13aのオーソログ15種類の活性をEscherichia coliで評価し、最も活性が高かったLeptotrichia wadei由来のCas13aLwaCas13a)を選択し、実験を進めた。
  • LwaCas13aHEK293FT細胞とイネ・カルスで発現させ、レポーターまたは内在転写物の標的ノックダウンを、RNAiによるノックダウンと同じレベルで、より高い特異性で、実現した。
  • 失活させたdLwaCas13adLwaCas13a)も標的RNA結合活性を有していたが、さらに、RNAに結合しなかったタンパク質に起因するバックグラウンド・ノイズを抑制するために負のフィードバック(Negative Feedback:自己ターゲッティング用ZF結合サイトとZFのセット及びKRAB)システムを組み込んだdLwaCas13a–NFを構築し、ACTB mRNAを標的としてストレス顆粒への蓄積を可視化した。  
エディティング
[論文] "RNA editing with CRISPR-Cas13" Cox DBT, ~ Zhang F. Science. 2017 2017 Nov 24;358(6366):1019-1027. Published online Oct 25.;[PERSPECTIVE] "Enhancing the RNA engineering toolkit" YangL, Chen LL. Science. 2017 Nov 24;358(6366):996-997.

 Feng Zhangが率いる研究グループは今回、Prevotella sp. P5-125由来のCas13bを不活性化した (dCas13b)と50-ntのsgRNAによってADAR2 (adenosine deaminase acting on RNA type 2)のデアミナーゼ・ドメインを誘導することで、RNA上のアデノシンをイノシンへ置換することに成功し、この手法をRNA Editing for Programmable A to I Replacement (REPAIR)と称した。

 RNAエディターはDNAエディター (Base Editor: BE)と異なり、細胞内在のDNA修復過程に依存せず、PAMの縛りもなく、オンターゲット変異に加えて重大な副作用を生じる可能性があるオフターゲット変異をゲノム配列に残すことがなく、また、REPAIRの場合はsgRNAと標的領域の配列との間のミスマッチには非寛容であることが示された。