[出典] “FACS-Assisted
CRISPR-Cas9 Genome Editing Facilitates Parkinson's Disease Modeling” Arias-Fuenzalida J, Jarazo J, Qing X, Walter J, Gomez-Giro G,
Nickels SL, Zaehres H, Schöler HR, Schwamborn JC. Stem Cell Reports. 2017 Sep 26. pii: S2213-6711(17)30383-1.
- CRISPR-Cas9とヒトiPSCsの組み合わせは、同質遺伝子疾患モデル作出ならびに疾患関連遺伝子修復の手段として有望である。しかし未だに、ゲノム編集を施したクローン集団から目的とする編集結果を帯びたクローン群を、より高精度、より高効率で、スクリーンする手法が求められている。CRISPR-Cas9による病因変異や病因変異修復のためのノックインは、オフターゲット挿入やオンターゲットでのindels変異などを帯びた目的以外の編集を伴うからである。
- ルクセンブルグ大学のChristian Schwambornらは今回、ゲノム編集を加えた細胞集団から両アレル変異クローン群を高精度・高効率でスクリーン可能とするプロトコルFACS-assisted CRISPR-Cas9 editing(FACE)蛍光マーカを利用することで開発し、α-シヌクレイン遺伝子SNCAのエクソン2(e2)とエクソン3(e3)を標的とする実証実験を行った。
FACEベクター構成
- CAGプロモーター+tagBFP+相同アーム+CAGプロモーター+(EGFP-T2A-Puro またはdTOMATO-T2A-Puro)+(サイレンス変異を導入したPAMを含む相同アーム)
- TagBFPはオフターゲット部位へのランダム挿入が起きたクローン群除去を目的とする蛍光タグであり、スクリーン後にpiggybagで除去;EGFPはSNCAe2のc.209g>a変異を帯びたドナーとSNCAe3のc.88g>c変異を帯びたドナーに対応する蛍光タグ;dTOMATOは正常なドナーに対応する蛍光タグ;Puroはピューロマイシン耐性遺伝子;サイレンス変異型PAMは挿入前および挿入後のdsDNA保護のため。
遺伝型およびランダム挿入と反復配列の相関
- 遺伝型は、ヘテロ型(正常/病因変異)変異、ホモ野生型、及びホモ型変異型の3種類判定
- 負の選択タグtagBFPによって定量化したランダム挿入頻度に基づいて、反復配列のタイプと相同アームに占める割合などに基づくランダム挿入のモデルを構築し、反復配列の中でもSINEファミリー(AluとMir)がランダム挿入に大きな影響を与えることを見出した。
パーキンソン病モデル細胞
- 多能性幹細胞A13777にFACEベクターをエレクトロポレーションし、FACSを介してパーキンソン病変異のp.A30Pまたはp.A53Tを帯びたクローンを得、幹細胞から分化したヒト神経上皮幹細胞においてミトコンドリア不全が起こることを見出した。
コメント