[出典] Preclinical modeling highlights the therapeutic potential of hematopoietic stem cell gene editing for correction of SCID-X1 Schiroli G, ~ Genovese P, Naldini L. SciTransl Med. 2017 Oct 11;9(411). pii: eaan0820.

  • L. NaldiniP. Genoveseら国際研究チームは先行研究(Nature, 2014)で、SCID-X1の病因であるIL2RGinterleukin-2 receptor common γ-chain)遺伝子変異を、修復用cDNAZFNにより標的遺伝子座にノックインすることで、ヒト造血幹細胞・前駆細胞(HSPCs)において機能を有するIL2RGの発現を実現したが、編集した遺伝子座が細胞分化とin vivo免疫応答構築において、野生型の遺伝子発現パターンと機能を完全に再現するかについては不明であった。また、遺伝子編集した少数の前駆細胞が安全かつ効率的に治療効果をもたらすことが可能なのかも不明であった。
  • 今回、Il2rg遺伝子をSCID-X1の病因変異R226Hを有しγ鎖の発現を欠損しているヒトIL2RG遺伝子を替えたヒト化SCID-X1マウスモデルを作出し、SCID-X1遺伝子治療に最適な造血幹細胞・前駆細胞(HSPCs)のゲノム編集プロトコルを探索した。このヒト化SCID-X1マウスモデルは、Il2rg-/-マウスの表現型を再現しリンパ系不全である。
  • はじめに、野生型HSPCsIL2RG/HSPCsの競合的移植アッセイによって、正常な免疫系再構築に必要なHSPCsの下限を探ったところ、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)のチャレンジに対して野生型HSPCs 10%LCMVを完全に駆除し、1%ではLCMVの一部を駆除することを見出した。
  • 予期していなかったことに、HSPCs移植前に、全身放射線照射などによる前処理を施すことにより、マウスのリンパ腫発生が抑制されたが、前処理のいかんによらず、10%野生型HSPCsにより免疫系再構築が達成された。
  • SCID-X1マウスモデルにおけるIL2RG遺伝子編集の効果を最大限にする条件をZFNについて探索し、ヒトCD34+ HSPCsIL2RG遺伝子変異修復を、効率的に、極めて高い特異性で、スケーラブルに実現可能な条件を特定した。また、CRISPR/Cas9RNPで送達することでも同等の性能が得られた。