• [出典] Pinto BS, ~ Wang ET. “Impeding Transcription of Expanded Microsatellite Repeats by Deactivated Cas9” Mol Cell. 2017 Oct 18. pii: S1097-2765(17)30711-6. bioRxiv. Posted September 7, 2017.  
  • 伸長したマイクロサテライトリピートの転写が、筋緊張性ジストロフィー、フックス角膜内皮変性症、および、家族性の前頭側頭型認知症(FTD)を伴う筋萎縮性側策硬化症(C9orf72-ALS/FTD)と相関する。こうした疾患に対しては、伸長マイクロサテライトリピートからのRNAとタンパク質の発現を抑制することによる治療効果を期待できる。フロリダ大学のE. T. Wangらは今回、dCas9に基づくCRISPRi技術を利用して、伸長マイクロサテライトリピートの転写阻害を試みた。
  • リピート配列を標的とするS. pyogenes由来dCas9を組み込んだCRISPRiにより、筋強直性ジストロフィー1型(DM1)患者由来細胞のスプライシング異常がレスキューされ、DM1、DM2およびC9orf72-ALS/FTD患者由来細胞に特徴的なRNAペプチドが劇的に低減した。
  • リピート配列を直接標的としたdCas9に拠るリピートを含むRNAsの低減は、リピート長、PAMおよびDNA鎖に依存し、非テンプレート鎖に対してより有効であった。
  • 小型の S. aureus由来dCas9とgRNAをアデノ随伴ウイルスにてDM1モデルマウスに投与することで、病原性RNA凝集体が低減し、塩素チャネル (Clcn1) タンパク質の発現がレスキューされ、筋緊張症が軽減された。
  • マイクロサテライトリピートを含むRNAsの転写は、他のRNAsの転写よりもdCas9に感受性が高いことが示唆された。