[出典]Geller LT, ~ Straussman R. "Potential role of intratumor bacteria in mediating tumor resistance to the chemotherapeutic drug gemcitabine" Science. 2017 Sep 15;357(6356):1156-1160.
  • 腫瘍微小環境における非悪性細胞が腫瘍細胞の薬剤耐性を亢進するデータが蓄積されてきている。また、著者らは先行研究で、膵臓癌、肺癌、乳癌および膀胱癌の治療に適用可能なゲムシタビン(ジェムザール)に対して、ヒト皮膚線維芽細胞(human dermal fibroblasts、HDFs)による条件培地が腫瘍細胞に薬剤耐性が誘導することを見出していた。また、条件培地を0.45-μmのフィルターで濾過すると薬剤耐性が発生しないことから、HDFsからの比較的大きな分泌因子が腫瘍細胞の薬剤耐性獲得を介在すると想定した。
  • 今回、HDFs条件培地のDNAリードの99%がMycoplasma hyorhinis由来であり、加えて、in vitro/in vivo実験からM. hyorhinisが感染した腫瘍細胞では、Mycoplasma由来のシチジンデアミナーゼ(CDD)を介してゲムシタビンを活性型の2′,2′-difluorodeoxycytidineから不活性型の2′,2′-difluorodeoxyuridineへと代謝することを見出した。
  • 続いて、RKOヒト大腸癌細胞株でアッセイした27種類のバクテリアのうち13種類のバクテリアについて、CDDのアイソフォームの長さに依存するゲムシタビン耐性誘導性を見出した。すなわち、CDDのアイソフォームの中でも~880塩基と長いCDD(CDD L )を発現する12種類全てが耐性をもたらし、~400塩基と短いCDDを発現する9種類の中で1種類(M. hyorhinis)が耐性をもたらし、CDDを発現しない6種類は耐性を全くもたらさないことを見出した。CDDL を発現する微生物種のほとんどはGammaproteobacteria綱に属していた。
  • 大腸癌モデルマウスにおいても、CDDL発現大腸菌とCDDL欠損大腸菌の静注からCDDLによる耐性発生を確認し、また、抗生物質シプロフロキサシン投与によるバクテリア除去がゲムシタビンの抗癌作用を亢進することを見出した。
  • さらに、DNAシーケンシングにより、膵管癌(PDAC)患者113人の76%(86人)に主としてGammaproteobacteriaからなるバクテリアを見出した。一方で、被験者由来の健常膵臓では微生物叢が存在したのは20人中3人に止まった。腫瘍組織内におけるバクテリアの存在は、16sRNAのFISHとバクテリアのリポ多糖抗体による免疫染色法からも確認された。