• [出典] Miyauchi H, Moriyama S, Kusakizako T, Kumazaki K, Nakane T, Yamashita K, Hirata K, Dohmae N, Nishizawa T, Ito K, Miyaji T, Moriyama Y, Ishitani R, Nureki O. "Structural basis for xenobiotic extrusion by eukaryotic MATE transporter" Nat Commun. 2017 Nov 21;8(1):1633.  [構造]5Y50 - AtDTX14 (P36A mutant) (2.6 Å)
  • MATE(mulitidrug and toxic compound extrusion)ファミリー・トランスポーターは生体異物を排出して細胞の恒常性を維持する。バクテリアMATEはバクテリアに薬剤耐性をもたらし、植物MATEは植物にアルミニウム耐性や二次代謝産物輸送をもたらし、ヒトMATE(hMATE)は、陽イオン性臨床薬を含む異物を体内から排泄する。
  • 石谷、濡木らの研究グループは先行研究にて、Pyrococcus furiosus由来MATE(PfMATE)の単体構造、輸送基質や阻害環状ペプチドとの複合体構造を高分解能で解き、膜貫通ヘリックスの1つ(TM1)が大きく折れ曲がることにより基質結合ポケットを縮小して基質を排出する構造変化を発見し、輸送機構モデルを提案していた(ライフサイエンス新着論文レビュー、2013)。研究グループは今回、ヒトMATE1と〜32%の配列同一性を示すシロイヌナズナDTX14(AtDTX14)を選択し、その結晶構造を2.6 Å分解能で決定し、AtDTX14とhMATEの構造情報に基づいた機能解析を行い、陽イオン性基質の輸送に膜貫通ヘリックス7(TM7)の屈曲が重要な役割を果たすことを明らかにし、真核生物MATE(以下、eMATE)の輸送機構モデルを提案した。
  • AtDTX14の輸送活性は、薬剤排出遺伝子をノックアウトした大腸菌にてAtDTX14遺伝子を発現させ薬剤排出機能の回復を見る相補実験によって、確認した。野生型AtDTX14の結晶を得ることができなかったが、PfMATEの結晶化に成功した例にならってPro26をAlaに置換することで、輸送活性が低下したがAtDTX14(P36A)の結晶を得ることができた。
  • AtDTX14は、12本の膜貫通(TM)ヘリックス、N-lobe(TM1-6)とC-lobe(TM7-12)、で構成され、N-lobeとC-lobeは、細胞質側に位置する長いループで連結されていた(Fig. 2-a 参照)。
MATE 1
  • N-lobeとC-lobeの間に細胞外からアクセス可能な空洞が内包されていた。この空洞は、主としてTM2とTM8の相互作用により細胞質側に対しては閉じられていたが、eMATEと同じMOP(multidrug/oligosaccharidyl-lipid/polysaccharide)スーパーファミリーに属する脂質フリッパーゼMurJの構造に基づいて、AtDTX14が細胞質側に対して開口し、細胞外に向けて閉口したモデルを構築した。
  • これまでに報告されたMATEの構造に対するAtDTX14の顕著な特徴は、C-lobe内のTM7がCys263周辺で大きく(〜50°)屈曲していることにある(Fig.2- c 参照)。C-lobeに位置する保存された酸性残基群のプロトン化が、静電反発力を和らげて、酸性残基群の間の水素結合ネットワーク形成を促し、TM7の屈曲が可能になると考えられる(Fig.8-aから-bへ)。
MATE 2