(構造生命科学ニュースウオッチ2016/03/22から転載)

  • [出典]Edroaldo Lummertz da Rocha et al. "NetDecoder: a network biology platform that decodes context-specific biological networks and gene activities.." Nucleic Acids Res. Published online 2016 Mar 14.
  • 生体分子の二状態(ON/OFF)を変えていく相互作用の連鎖が、表現型を決定する細胞ネットワーク内の情報の流れに対応している.Hu Li(Mayo Clinic College of Medicine)らはこの情報の流れの観点から、タンパク質間相互作用(PPI)データベースiRefIndexからPPIと、遺伝子発現データベースGEOからのコンテクスト(特定の表現型や疾患)に特有の共発現ネットワークを統合することで、コンテクストに特有のサブネットワークとその鍵となる遺伝子を抽出するネットワーク生物学解析プラットフォームを開発した.
  • 乳がん、脂質異常症およびアルツハイマー病を対象とするケーススタディーを行ってNetDecoderの有用性を実証:
    • コンテクストに特有のサブネットワークを割り出し、その中で、表現型に対して決定的な影響を与えるタンパク質/遺伝子を同定.
    • 特定の疾患に特有なサブネットワークに属する遺伝子群が、疾患に関連するシグナル伝達パスウエイに集積し、疾患表現型をもたらす.
  • 多くの遺伝子に影響を与える遺伝子“network routers”、多くの遺伝子の影響を受ける遺伝子“targets”、大きく変化する遺伝子“high impact genes”の指標を定義.
  • NetDecoderによるネットワーク解析を創薬標的の探索に展開することも想定.
  • [NetDecoder関連Webサイト]