[出典]
  • [IN DEPTH] Kaiser J. "‘Liquid biopsy’ for cancer promises early detection" Science 2018 Jan 9;359(6373):259
  • [論文] Cohen JD, ~ Tomasetti C, Lennon AM, Kinzler KW, Vogelstein B, Papadopoulos N."Detection and localization of surgically resectable cancers with a multi-analyte blood test" Science 2018 Jan 18.
CacnerSEEKの成果
  • Johns Hopkins University（JHU）を中心とする米・豪・伊の研究グループは、選別した腫瘍遺伝子DNA16種類とタンパク質腫瘍マーカー8種類を標的とするリキッドバイオプシー"CancerSEEK"を開発し、転移が見られない8種類の癌（卵巣、肝臓、胃、膵臓；食道；大腸；肺；乳）患者1,005人のコホートにおいて、評価した。
  • 検出感度は癌の種類に依存：卵巣癌の98%から乳癌の33%（原論文 Figure 2 C）
  • ステージ別の検出感度：ステージⅠ 43%（食道癌の20%から肝臓癌の100%まで）；ステージⅡ 73%；ステージⅢ 78%（原論文 Figure 2 B）
  • 機械学習を利用した癌由来組織の絞り込み（2種類への絞り込み-1種類への絞り込み）：大腸癌 100%-84%；卵巣癌 92%-79%；膵臓癌 87%-81%；乳癌 83%-63%；食道癌 78%-46%；肺癌 72%-39%；肝臓癌 63%-44%（原論文 Figure 3）
  • 偽陽性は１％未満（健常者812人のうち7人）
CacnerSEEKの課題
  • 癌関連タンパク質は、関節炎などの炎症組織からも血中に分泌されることから、癌以外の疾患を帯びた患者からの偽陽性は、今回の偽陽性率よりも高いことが想定される。
  • 今回のコホートは癌と診断された癌の症状が明らかな患者集団であり、極めて少量の腫瘍DNAを分泌する。無症状の初期癌の検出感度を期待できないと想定される。本研究ではステージ1 の癌の検出感度は平均43%に留まっている。
CacnerSEEKの試行
  • CancerSEEKは特許申請（US 20140227705 A1）されているが、研究チームは検査経費を１サンプルあたり500ドル未満と想定。
  • ［リキッドバイオプシー・スターットアップ企業関連ニュース］Regalado A. ”Grail’s $1 Billion Bet on the Perfect Cancer Test” MIT Technology Review. 2017 June 5.
  • ペンシルベニア州のGeisinger Health Systemは、JHUと協力し、Marcus Foundationの支援を受けて、65〜75歳の女性5万人を対象とする5年間（予算 5千万ドル）のCacnerSEEKスクリーニングを開始した。このスクリーングで２回陽性と判定された場合の診断と治療に対して指摘あり（overdisgonosis/overtreatment）。