(構造生命科学ニュースウオッチ2016/03/26から転載)

  • [出典] Francis S. Collins et al. "Basic science: Bedrock of progress." Science. 2016 Mar 25;351(6280):1405.
  • 「NIHは基礎研究から離れようとしている」という認識(注*)が広がりつつあり、また、基礎研究の提案数が明らかに減少した分野がで始めた事態を危惧したFrancis S. Collinsを始めとする米国National Institutes of Healthの各研究所と主要部局38機関の長の連名の投稿 
  • (注*) 「NIHの応募要領は全ての課題について、応募に際して公衆衛生との関連性(“Public Health Relevance”)を明記するように求めている. これは、全ての課題について直接'Public Health Relevance’に関連することを求められており、公衆衛生に直ちに役立たないプロジェクトに対してNIHは低評価を与えることを意味している」
  • Collinsらは、NIH予算の50%以上を基礎研究に投じるとした2012年の論説“NIH Basics”を引用し、また、低比重リポタンパク質(LDL受容体)、CRISPR/Cas9およびクライオ電顕がもたらした構造生物学の長足の進歩を例にあげて、基礎研究がNIHに投じられた国家予算(税金)に十分なリターンをもたらしているとし、NIHは基礎研究を重視しているとした.
  • NMichael Lauer(NIH)の“NIH’s Commitment to Basic Science”によると、2009年から2016年の統計と2017年の計画では、NIH予算の52〜55%が基礎研究に投じられている.
  • また、応募要領の該当部分は “Using no more than two or three sentences, describe how, in the short or long term, the research would contribute to fundamental knowledge about the nature and behavior of living systems and/or the application of that knowledge to enhance health, lengthen life, and reduce illness and disability.” へとNIHの意図がしかるべく理解されるように改訂された.