(構造生命科学ニュースウオッチ2016/03/30から転載)

  • [出典] [技術プレビュー] Yihan Lin & Michael B. Elowitz "Central Dogma Goes Digital" Mol.Cell 2016 Mar 17;61(6):791-792. [技術報告] Cem Albayrak et al. "Digital Quantification of Proteins and mRNA in Single Mammalian Cells." Mol. Cell. 2016 Mar17;61(6):914-24.[Corresponding author] Savaş Tay (ETH Zürich/U. Chicago)
  • ETH Zürichの研究チームは、タンパク質コピー数のデジタル測定技術を、Proximity Ligation Assay(PLA)とDroplet Digital™ PCR (ddPCR™)を組み合わせて構築した.このデジタルPLA技術は、標的タンパク質に結合して近接したプローブとコネクター・オリゴヌクレオチドが形成するdsDNAを、ddPCR™でデジタル定量し、タンパク質コピー数へ換算する技術である.
  • 研究チームは、単一細胞を溶解したのち2分し、一方についてデジタルPLA法でタンパク質コピー数を測定し、もう一方について、2段階RT-ddPCR™によってmRNAコピー数を測定し、タンパク質とmRNAのコピー数の相関を検証した.具体的には、HEK293T細胞において内因性のCD147とICAM-1遺伝子および外因性GFP-p65を対象として測定・解析を進め、いずれの場合も、相関が極めて小さいことを見出した.
  • さらに、CD147のデータをもとに、遺伝子の活性化がランダムにオン・オフされ(プロモーターがオン・オフし)、タンパク質翻訳過程で外部環境からのノイズが入ることを仮定した二状態確率過程モデルによって、タンパク質のコピー数とmRNAのコピー数の間の相関の低さを再現可能なことを示した.なお、細胞集団としての平均的なmRNA量とタンパク質量の間には、確率過程の影響が失われるために、相関が見られる.
  • 近年、単一細胞のmRNAとタンパク質を同時に定量する技術の開発が続いている中で、研究チームが開発した手法の特徴や次のとおり:mRNAとタンパク質の絶対量を測定;タンパク質をフェムトモル濃度感度で測定可能でありダイナミックレンジが広い;市販のddPCR™装置を使うなど特別な装置を必要としない.