1.GATA3転写因子の第2DNA結合ジンクフィンガー(ZnFn2)の変異が乳癌の転写ネットワークをリブログラム
  • [出典] "GATA3 zinc finger 2 mutations reprogram the breast cancer transcriptional network" Takaku M, ~ Wade PA. Nat Commun Published online 13 March 2018.
  • TCGAデータベースから乳癌のほぼ10%にGATA3遺伝子の体細胞変異が存在することが分かる。これまでに、ZnFn2ドメインの変異がGATA3のDNA結合活性とGATA3の安定性に影響することが知られていたが、今回、ZnFn2ドメイン変異が転写調節ネットワークと腫瘍増殖に与える影響が明らかにされた。
  • はじめに、野生型GATA3や他のGATA3変異体に比べて、ZnFn2におけるフレームシフトが予後不良をもたらすことを見出した。
  • 次に、CRISPR/Cas9によってZnFn2のR330にフレームシフト変異を誘導することでZnFn2変異乳癌モデル細胞を作出;この細胞モデルにおいて、GATA3の再配置が起こりDNA結合性の高低に応じて、プロゲステロン受容体遺伝子を含む特定の遺伝子セットではプロゲステロン受容体遺伝子を含む特定の遺伝子セットの発現が下方制御され、一方で、上皮間葉転換に関連する遺伝子の発現が上方制御されることを見出した。すなわち、GATA3フレームシフト変異は、機能喪失変異と機能獲得変異を誘起する。
2.CRISPRiにおいてdCas9の転写阻害性を調節することでバクテリア遺伝子を安定かつ精密にノックダウン
  • [出典] "Tuning dCas9's ability to block transcription enables robust, noiseless knockdown of bacterial genes" Vigouroux A, Oldewurtel E, Cui L, Bikard D, van Teeffelen S. Mol Syst
    . 2018 Mar 8;14(3):e7899
  • パスツール研究所の研究チームは今回、RNAポリメラーゼがdCas9を標的から"キックアウト"して転写が完了する率が、gRNAと標的の間の相補性のレベルに依存することを見出し、dCas9濃度による編集調節に替えてこの機構を利用することで、バクテリア遺伝子の発現を精密かつ安定に調節可能なことを示した。
  • 遺伝子回路におけるフィードバックループ解析、細胞形態の細胞壁合成タンパク質の量への依存性、および2種類の遺伝子の発現量の調節を実現。
3.[Letter to the Editor]CRISPR-Cas12aは、ssDNAをcis-にもtrans-にも切断する
  • [出典] "CRISPR-Cas12a has both cis- and trans-cleavage activities on single-stranded DNA" Li SY, Cheng QX, ~ Wang J. Cell Research 12 March 2018.
  • Francisella tularensis由来Cas12a (FnCas12a)によりssDNAがcis-にもtrans-にも切断され  (原論文 Fig. 1 Determination of the ssDNA cleavage activities of the complex of Cas12a/crRNA/target DNA参照)、それが他の種由来のCas12aにも共通の現象であることを同定;アラニンスキャニング変異導入実験から、RuvCドメインへの変異導入 (D917A, E1006A, D1255A)またはNucドメインへの変異導入 (R1218A)によりcis-切断活性もtrans-切断活性も失活するか著しく低下;下図は原論文のFig. S12 The Cas12a cleavage models.
Cas12a cleavage model
  • [注] Cpf1またはCas12a関連のブログ記事の一覧表示可能、例えば、「ゲノム編集のスイスアーミーナイフ、Cpf1と C2c1」や「Cas12aによるDETCTRシステム」のブログ記事:URL欄に入力 - "Cpf1 site:http://crisp-bio.blog.jp/" または "Cas12a site:http://crisp-bio.blog.jp/"