TCGAプロジェクト10年の成果、Cell Press系学術誌の
"Pan-Cancer Atlas"26論文に結実
  

TCGA (The Cancer Genome Atlas)は米国の国立癌研究所 (NCI)と国立ヒトゲノム研究所 (NHGRI)の共同プロジェクトであり、2006年からのパイロットプロジェクトを経て2009年から本格プロジェクトに進み、2018年に10周年を迎えた。その間に、33種類の腫瘍 (tumor types)を対象として、11,000人の患者の腫瘍組織と正常組織について、ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオームおよびメチロームの解析データと臨床および画像データ、のべ2.5ペタバイトのデータを、統合的に解析してきた。今回、その成果論文26報が、学術雑誌CellCell ReportsCancer CellCell Sytems、およびImmunityから刊行された。

成果論文3つのカテゴリー
  • 各カテゴリーは、フラッグシップ論文 ('marker'論文)1報と数報のコンパニオン論文で構成されている
  • Cell-of Origin Patterns (1+5論文):ヒト腫瘍型の再分類:分子データに基づくクラスタリングの結果、原発組織による分類を再編成;幹細胞様特性と脱分化の相関を同定
  • Oncogenic Processes (1+12 論文):生殖細胞の変異と体細胞の変異の協働による癌化過程、変異がシグナル伝達と免疫応答パターンに与える影響
  • Signaling Pathway (1+6論文):MYC, RAS、ユビキチン、DNA修復、スプライシングおよび代謝のパスウエイの解析から併用療法や個別化医療に有用な癌脆弱性を発見
  • Resources (関連投稿):Snapshot: TCGA-Analyzed TumorsCommentary: The Cancer Genome Atlas: Creating Lasting Value Beyond Its DataVoices: The TCGA Legacy;(*) Editorial: Charting a Course to a Cure
成果普及:各論文へのアクセスを容易にするWebサイト(*)が開設され、Webinarとシンポジウムが用意されている。また、Pan-Cancer Atlasの成果は、NCI Genomic Data Commonsにも取り込まれている。