出典
背景
  • タンパク質をナノ粒子に結合する技術は、多様な機能分子開発への道を開いたが、ナノ粒子に結合したタンパク質は必ずしも本来の機能性を発揮するとは限らない。このため、タンパク質とナノ粒子を結合する生体共役反応 (bioconjugation) 研究において、タンパク質の配向、アクセサビリティーおよび生物活性の最適化に関心が集まっている。この最適化は特にナノメディシン (nanomedicine)において重要な課題である。
  • ナノ粒子によるドラッグ・デリバリーに対する障害は第一には、オプソニン化の結果食細胞により分解されることである。この過程には、血中のタンパク質のナノ粒子表面への吸着によるタンパク質コロナ (protein corona)の形成が含まれる。タンパク質コロナ形成はナノ粒子の機能性や毒性に悪影響を与える可能性があるが、逆に、ナノ粒子の機能性と安全性を高めるタンパク質を設計・合成することで最適な人工タンパク質コロナを形成させる手法が、ナノ粒子のナノメディシンへの応用に有望である。
成果
  • Enrico Ferrari (U. Lincoln)らは今回、金ナノ粒子 (gold nanoparticles: GNPs)をモデルとして、人工タンパク質コロナ形成を実現した。
  • 本手法は、Schistosoma japonicum由来のグルタチオン-S-トランスフェラーゼ (GST) をN末端領域とし、Streptococcus pyogenes由来のSpyCatcherをC末端領域とする融合タンパク質を軸とした2段階の反応からなる:
  1. 融合タンパク質とGNPの結合:融合タンパク質N末端領域のGSTの硫黄と金の間の架橋(Au-S間相互作用)を介して結合 (下図左右のFig.3-aとFig.4-a 参照)
GNP-3 GNP-4
  1. 融合タンパク質と目的タンパク質の結合:融合タンパク質C末端領域のSpyCatcherと、目的タンパク質を標識しているSpyTagとの間のイソペプチド結合を介して結合(上図右 Fig. 4-a 参照)。このSpyCatcher/SpyTagペアは自己組織化することから、混ぜるだけで目的タンパク質のコロナで覆われたGNPが完成する。
  • SpyTagは任意の組換えタンパク質に付加可能であり、GNP-GST-SpyCatcherは安定な複合体を形成することから、本手法のは簡明で再現性の高いプロトコルでGNP修飾を可能とする普遍的なプラットフォーム足り得る。