1.一分子蛍光解析 (smFRET)と生化学的手法で、Cpf1 (Cas12a)と切断後の断片の振る舞いをリアルタイムで観察
  • [出典] "Real-time observation of DNA target interrogation and product release by the RNA-guided endonuclease CRISPR Cpf1 (Cas12a)" Singh D [..] Ha T. PNAS 2018 May 7.
  • PAM探索から標的配列の認識と結合までのCpf1の動態は基本的にCas9と共通であるが異なる点もある;Cas9と異なるところは、標的DNAへの安定な結合と切断にCas9がそれぞれ9-bpと~16-bpを必要とするのに対してCpfはいずれについても~17-bpを必要とする点、および、Cas9からは切断断片が遊離しないのに対して、Cpf1の場合、PAMに近い切断断片はCpf1から遊離しないが、PAMから遠位の切断断片は迅速にCpf1から遊離する点 (参考 原論文 Fig. 5. Model of Cpf1-RNA DNA targeting, cleavage, and product release)。
  • [関連crisp_bio更新記事] 2019-01-16 Cas12aのdsDNA/ssDNA切断分子機序の統合モデル
2.dCas9-APEXによる遺伝子座特異的プロテオミクス'GloPro'
  • [出典] "Discovery of proteins associated with a predefined genomic locus via dCas9–APEX-mediated proximity labeling" Myers SA, Wright J, Peckner R, Kalish BT, Zhang F, Carr SA. Nat Methods 2018 May 2.
  • 遺伝子発現を調節する因子に結合するタンパク質を同定する新たな手法GloPro (genomic locus proteomics)を開発: dCas9とAPEX2を融合したdCas9-APEX2 (以下、Caspex)遺伝子を導入、DOXでCASPEX複合体の発現を誘導し、APEX2の近接依存ラベリングを利用してCASPEXに近接する一連のタンパク質をビオチンで標識し、タンパク質を定量的LC-MS/MSで同定する (参考原論文 Fig.1 Genomic locus proteomics of hTERT)。
  • Caspexを安定発現可能にしたHEK293T細胞 (293T-Caspex)において、ヒトのテロメラーゼ逆転写酵素遺伝子 (TERT)のプロモーター領域をタイリングするsgRNAsを一細胞株あたり一種類発現させるGloPro実験を行い、ChIP-qPCRの結果とも比較して、GloProの性能を実証した。
  • 続いてMYCプロモータを標的とする同様の実験で、エンリッチされるタンパク質66種類を同定し、これらのタンパク質とMolecular Signature Database (MSigDB)に登録されている標準パスウエイとの相関を機械学習により同定し、統計的に有意にエンリッチされているパスウエイ21種類を同定
  • [crisp_bio注] 次の項目3参照
3.dCas9-APEXによる特定の遺伝子座におけるプロテオミクス'C-BERST'(タンパク質間相互作用)
4.謎の短いエクソンが、ショウジョウバエの段階的スプライシングを仲介する
  • [出典] "Short cryptic exons mediate recursive splicing in Drosophila" Joseph B, Kondo S, Lai EC. Nat Struct Mol Biol. 2018 May;25(5):365–37. Published online 2018 Apr 9.
  • ショウジョウバエの長いイントロンの多くが段階的に切り出されていくことが知られている(段階的スプライシング/recursive splicing;参考 原論文 Fig.1 Genomic locus proteomics of hTERT)。この現象はスプライス供与部位と受容部位が隣接したいわばサイズがゼロのエクソンに相当するラチェット・ポイント (ratchet points: RP)が仲介するとされてきた。
  • Sloan-Kettering Instituteと国立遺伝学研究所の研究チームは今回、RPを標的とするCRISPR-Cas9による変異誘発実験の結果、これまで生物学的意味が付されていなかった小さな謎の (cryptic)エクソン (RPエクソン)が段階的スプライシングを仲介し、多くのスプライシングにRPエクソンが関与することを見出した。