5.[レビュー] RNAワールドからの医療
  • [出典] "Tapping the RNA world for therapeutics" Lieberman J. Nat Struct Mol Biol. 2018 May;25(5):357-364. Published online 2018 Apr 16.
  • 新奇機能を有するRNAクラス (参照 Fig. 1: Antisense mechanisms of RNA-based drugs)や新奇RNA修飾の同定などRNA生物学の革新が進行するとともに、RNAを標的とする療法研究開発にも革新が起きている。
  • J. Lieberman (YouTube講演ビデオ"Harnessing RNA Interference for Therapy" 57:03)が、RNA創薬をレビューし課題と解決法を議論。低分子や生物製剤の標的であったタンパク質に替えてRNAを標的とすることで、'ドラッガブル (druggable)'な標的を広げていくことができる。
  • レビューの一節がCRISPR-Cas遺伝子編集に割かれているが、RNAを標的とするCRISPR-Casシステムには言及されていない。
6.CRISPR遺伝子ドライブ対する耐性アレル生成を抑制する法
  • [出典] "Reducing resistance allele formation in CRISPR gene drive" Champer J [..]  Messer PW. PNAS 2018 May 7.
  • CRISPRホーミング遺伝子ドライブは、ハマダラカのような病原媒介種による感染症を抑止する手段として期待されているが、一方で、病原媒介種に遺伝子ドライブに対する耐性をもたらす対立遺伝子が発生し、遺伝子ドライブ対立遺伝子の広がりが抑制されてしまうことが明らかになってきた。
  • コーネル大学の研究チームは今回ショウジョウバエの実験において、二種類のsgRNAsを同時使用により、野生型対立遺伝子をドライブ対立遺伝子へ変換する効率が高まり耐性発生率が低下することを見出したが、理論値には及ばず、遺伝子ドライブを野外で実用に供するには、多重gRNAsを利用する手法を代替あるいは相補する手法が必要であるとした。
  • 具体的には、耐性遺伝子が発生する機構のモデルに基づいて (参考 原論文 Fig. 4 Mechanisms of resistance allele formation)、Cas9の活性やgRNAsの発現をHDRプロセスが進行する間に限定する手法を示唆した。
  • crisp_bio遺伝子ドライブ関連記事CRISPRメモ_2017/11/18 -1.遺伝子ドライブは制御不能になる;創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/07/23 - 1. デイジー・チェイン型遺伝子ドライブ:遺伝子ドライブを局所的かつ一時的にとどめるモデルを提唱;創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/02/02 - 6 [RESEARCH HIGHLIGHTS] マラリアをドライブ・アウト;創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2015/08/03 [提言] 遺伝子ドライブ実験の安全確保策
7.Saccharomyces cerevisiaをゲノムスケール1塩基精度で改変可能とする'CHAnGE'
  • [出典] "Genome-scale engineering of Saccharomyces cerevisiae with single-nucleotide precision" Bao Z [..] Zaho H.Nat Biotechnol .2018 May 7.
  • CHAnGE: CRISPR–Cas9-  & homology-directed-repair (HDR)-assisted genome-scale engineering
  • CRISPR gRNAと相同組換え(HR)テンプレートを単一オリゴヌクレオチドに合成したCHAnGEカセットを使用 (参考 原論文 Figure 1 CHAnGE enables rapid generation of genome-wide yeast disruption mutants and directed evolution of complex phenotypes);標的配列の98%について効率平均82%で変異誘導;プール型CHAnEプラスミド・ライブラリーを用意し、ゲノムワイドの変異株ライブラリーを構築;フルフラール誘導ストレスへの耐性改善に応用
8.追跡可能なゲノム・バーコードを利用した多重かつ精密な酵母ゲノム編集法'MAGESTIC'
  • [出典] "Multiplexed precision genome editing with trackable genomic barcodes in yeast" Roy KR [..] St.Onge RP, Steinmetz LM. Nat Biotechnol. 2018 May 7.
  • MAGESTIC: CRISPR–Cas9-based method for Multiplexed Accurate Genome Editing with Short, Trackable, Integrated Cellular barcodes;gRNAと相同組換えテンプレート用ドナーDNA (gRNA-template)に短いバーコード配列を結合しておくことで、プラスミド・バーコードの損失を回避して、安定したフェノタイピングを実現 (参考 原論文 Figure 1 The MAGESTIC pipeline for multiplexed precision genome editing)
  • LexA–Fkh1p融合タンパク質を利用してドナーDNAをCas9による切断サイトへリクルートすることで編集効率5倍へ
  • 必須遺伝子SEC14に飽和変異(アミノ酸置換)を導入し、ホスファチジルイノシトール転移タンパク質Sec14pとその阻害剤との相互作用をアミノ酸レベルで解明
  • その他、MAGESTICで天然変異の再現やゲノムワイドでのオフターゲット編集評価