1.縦列重複の増幅 (コピー数増加)が、癌細胞必須遺伝子のCRISPR-Cas9ドロップアウトスクリーンに偽陽性をもたらす
  • [出典] "Tandem duplications lead to loss of fitness effects in CRISPR-Cas9 data" Gonçalves E [..] Garnett MJ (Sanger Inst.). bioRxiv Posted May 25, 2018.
  • サンガー研究所、EBIおよびGSK グラクソ・スミスクラインの研究チームは、ゲノム構造多型がCRISPR-Cas9機能喪失 (LOF)スクリーン結果に与える偏りを体系的に探ることを目的として、17種類の腫瘍型にわたる163種類の癌細胞株における17,234遺伝子を対象とするCRISPR-Cas9ノックアウトスクリーンに、全ゲノムシーケンシング (WGS)およびDNA SNP6.0コピー数多型アレイによる解析を加えて、各遺伝子の必須性と構造多型の相関を分析した。
  • 先行研究*からの報告と一致して、発現していない遺伝子も含めてコピー数が増加している遺伝子を標的とするsgRNAsが最も強いLOF効果を示すことを見出したが、同時に、その偏りが染色体の増幅 (倍数性)によって緩和されることも見出した。すなわち、コピー数の多い染色体ほど、CRISPR-Cas9のLOF効果を大きく低下させ、縦列反復が増幅した領域を標的とすると遺伝子の如何に関わらず細胞の適応性 (fitness)が大きく劣化する一方で、染色体の重複によって増幅した領域を標的としても細胞の適応度には影響を与えなかった (下図左参照)。
Tandem duplications collateral essenitalities
  • 研究チームは縦列重複増幅ターゲッティングに由来する'致死性'に注目して、162癌細胞株においてcollateral vulnerabilities (上図右 Figure 4-A参照 )の関係にある遺伝子対を探索し、40種類 (24.5%)の癌細胞株 において223例を同定した。その59.2%はCOSMICデータベースに格納されている53種類の癌ドライバー遺伝子との対であった (上図右 Figure 4 -C/Dは、乳癌細胞株AU565におけるNEUROD2ERBB2の例)
  • 研究チームはさらに、CRISPR-Cas9 LOFスクリーン結果に与えるゲノム構造の同定を支援するツールCrispy (a Python module: github)を開発した。
Crispy
2.高い多重度編集を実現するゴールデンゲート法とPol IIプロモーターに基づいたCRISPR/Cas9 gRNAアレイの効率的構築と発現
  • [出典] "Highly Multiplexed Genome Engineering Using CRISPR/Cas9 gRNA Arrays" Kurata M [..] Moriarity BS. bioRxiv Posted May 25, 2018.
  • 下図にあるような10種類までのgRNAを単一プロモーターから発現可能とするgRNAアレイを構築可能;gRNAアレイは、細胞内でCsy4リボヌクレアーゼにより個々のgRNAへと分離される。Multiplexed 4
3.CRISPRブレイクスルーのルーツを探る
  • [出典] "Pre-existing Technological Core and Roots for the CRISPR Breakthrough" Magee CL, Kleyn PW,  MonksBM, Betz U, Basnet S. bioRixv Posted May 24, 2018.
  • ゲノム工学の技術ドメインにおけるCRISPRブレイクスルーの技術的起源を客観的に辿った;CRISPR以前のゲノム編集を代表する特許を集積し、その特許間の引用関係のネットワークの分析から、3つの主要な軌跡を同定(下図参照)
Patent
4.ミミウイルス(mimivirus)のヴィロファージ(virophage)レジスタンス・エレメント (MIMIVIRE)システムに、Cas4様タンパク質を発見
  • [出典] "Structural and Mechanistic Analyses Reveal a Unique Cas4-like Protein in the Mimivirus Virophage Resistance Element (MIMIVIRE) System" Dou C [..] Cheng W. iScience 2018 May 25. PDB構造:5YET (wild-type R354 ); 5YEU (four-point mutation R354)
  • CRISPR様の“mimivirus virophage resistance element” (MIMIVIRE)システムの必須因子R354は、Cas4と配列同一性は低いが機能的なホモログであり、二重ヌクレアーゼ (エキソヌクレアーゼとエンドヌクレアーゼ)である (下図はmimivirusの概要図)。
Mimivirus

5.CRISPR技術によりハマダラカ (Anopheles)に効率良く部位特異的変異誘発
  • [出典] "Highly Efficient Site-Specific Mutagenesis in Malaria Mosquitoes Using CRISPR" Li M, Akbari OS, White BJ. G3 (Bethesda). 2018 Feb 2;8(2):653-658.
  • CRISPR/Cas9変異誘発技術がハマダラカの逆遺伝学のツールとして有用なことを、Anopheles albimanus, とA. coluzzii、加えてこれまで遺伝子操作の効率が極めて低かったA. funestusにおいて、white遺伝子を標的とする実験で実証 (下図);変異誘発の効率はsgRNAおよびCas9の濃度に依存
Anopheles mosquito