出典
  • "A novel three-dimensional high-throughput screening approach identifies inducers of a mutant KRAS selective lethal phenotype". Kota S[..]Kissil J, Spicer Tp. Oncogene. 2018 May 10.
背景
  • RASタンパク質は膵臓癌、肺癌、および大腸癌など癌において最も高頻度で変異が起きているタンパク質であり、また、腫瘍細胞の増殖そしてまたは生存がRASに依存することから、RASは明らかに癌治療の格好の標的である。しかし、30年以上にわたりRASは'undruggable'と称されてきた。サイズが小さく低分子が結合可能なポケットが見当らないといったタンパク質自身の特性に加えて上流の調節ネットワークが複雑なことから、RASより下流のシグナル伝達過程を標的とする試みがなされてきたが、それもまた複雑であり、RAS阻害剤の研究開発は停滞していた。
  • 多数の因子が関わるシグナル伝達過程を標的とする創薬には、分子標的を特定した上のtarget-based screening (target-based drug discorvery: TDD)よりも、細胞の生存性などの表現型に基づくスクリーニング (phenotypic drug discovery: PDD) が有用である。表現型スクリーンのポイントは、いかに体内環境に近い微小環境でスクリーンするかにかかっている。
成果
  • The Scripps Research Instituteの研究チームは今回、三次元細胞培養で構築したサイズが〜100-600μm径の同質遺伝的背景のスフェロイド (spheroid)とハイスループットスクリーン技術を組み合わせることで、G12V変異KRASを選択的に阻害する低分子1種類、強心剤として利用されているプロスシラリジン (Proscillaridin) A、を同定した。
  • 今回見出した強心剤の抗癌剤候補へのドラッグリポジショニング/ ドラッグリパーパシング (drug repositioning/drug repurposing) は、生体内の3次元微小環境の再現が困難な付着性の細胞二次元単層でのスクリーンや、TDDでは、見出せなかった成果である。
参考文献
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