1.タイプI-E CRISPR Cascade-Casシステムによる二本鎖DNA切断の構造基盤

[出典] "Structure basis for RNA-guided DNA degradation by Cascade and Cas3" Xiao Y, Luo M, Dolan AE, Liao M, Ke A. Science 2018 Jun 7.:EMデータ 7346(post-nicking state) 4.7Å; EMD-7347 (pre-nicking state) 3.66Å;PDB 6C66

タイプI CRISPR-Casシステムが二本鎖DNA切断 (dsDNA)に至るまで
  • 多数のサブユニットで構成されるカスケード (Cascade: CRISPR-ASsociated Complex for Antiviral DEfense,  下図参照)Cascade
    が外来DNAに非特異的に結合し、dsDNA上を移動しながら免疫記憶に相当するCRISPR RNA (crRNA)を介してPAMに隣接しcrRNAと相補する配列を探索し、crRNAが標的DNA鎖 (target strand: TS)とヘテロ二本鎖を形成し、非標的DNA鎖 (non-target strand: NTS)を変位させ、バブル生成を経て完全なR-ループの生成に至る。
  • このカスケード/R-ループ複合体がヌクレアーゼヘリカーゼが融合した酵素Cas3を標的サイトへリクルートし、単一鎖であるNTSを切断 (ニック)する。
  • NTS切断後、カスケード-crRNAがDNAから遊離しCas3がdsDNAを分解するに至る。
タイプI CRISPR-Casシステムの構造解明
  • これまでに、E. coliと好熱性放線菌Thermobifida fusca由来のタイプI-E CRISPR-Casシステムの構造の高精度なスナップショットから、PAM認識機構と、TSに結合しR-ループ生成に至るまでのTfuカスケードのコンフォメーション変化が明らかにされたが、Cas3のリクルートとDNA分解の分子機構を明らかにするにはより高精度な構造情報が必要であった。
  • コーネル大とハーバード医科大の研究チームは今回、ニック前とニック後のTfuカスケード/R-ループ/Casの複合体構造をクライオ電顕単粒子再構成法によりそれぞれ3.66Åと4.7Åの分解能で解き、Cas3が完全なR-ループを認識・結合することでオフターゲット作用を回避する分子機構と、Cas3がTS切断モードからDNA分解モードに遷移する機構(原論文 Fig.4 NTS-nicking bypasses Cas3 helicase, and HD nuclease captures NTS at a flexible bulge.参照)を明らかにした。
2.[News]CRISPRスタートアップ企業の新しい波 (CRISPRdxの可能性)
[出典] "Mammoth, Arbor and Beam launch new wave of CRISPR startups" Sheridan C. Nat Biotechnol. 2018 June 6.

スタートアップ企業
新たな技術
3.[News]ゲノム編集の規制と倫理を巡る議論の進め方を考える

[出典]"As CRISPR–Cas adoption soars, summit calls for genome editing oversight" Smalley E. Nat Biotechnol. 2018 June 6.
  • ゲノム編集を巡る生命倫理と規制について幅広い議論の実現を目指す2つのイニシアチブ、ARRIGE (Association for Responsible Research and Innovation in Genome Editing)と天体を観測する天文台に倣って命名されたthe Global observatory for gene editing、を受けて、研究コミュニティーに限らず一般市民、患者団体、NGO、政府機関、研究資金提供機関、企業など多様なステークホルダーの参加、地域格差を回避するための国際的ネットワーク、ヒトに限定することなく動植物微生物のゲノム編集の議論、の必要性を指摘。