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[出典] "Organoid Modeling of the Tumor Immune Microenvironment" Neal JT, Li X [..] Kuo CJ. Cell 2018-12-13.

背景
  • 癌免疫療法の研究と応用には、腫瘍免疫微小環境 (Tumor Immune Microenvironment, TIME)を伴う癌細胞培養・3次元癌オルガノイドが必須である。これまでのin vitro培養癌細胞/オルガノイドでは、TIMEを人工的に再構築する必要があり、また、初代上皮性腫瘍細胞と同系の内在腫瘍浸潤リンパ球 (tumor infiltrating lymphocyte, TIL)の共培養では、TIMEにおける腫瘍細胞と免疫細胞の間の特異的そしてまたは複雑な相互作用を十分再現することが困難であった。
概要
  • スタンフォード大学のCalvin J. Kuo labを中心とする米国研究チームは今回、先行研究*で実績を積んだ上皮と間質をまとめて(en bloc)気相-液相界面 (air-liquid interface, ALI)培養する技術により、免疫細胞 (T細胞、B細胞、NK細胞およびマクロファージ)を維持した状態での、メラノーマ、腎細胞癌および非小細胞肺癌の患者バイオプシーサンプル由来のオルガノイド (patient- derived organoids, PDOs)またはマウス腫瘍由来オルガノイドを構築・評価した。
詳細
  • PDOsは、由来した腫瘍の実質組織と間質組織からなる複雑な組織を再現し、また、TILsの機能および腫瘍特異性を再現した。
  • 同一細胞を対象とする遺伝子発現 (RNA-seq)とT細胞レパトアの単一細胞解析から、PDO TILsに、由来腫瘍細胞のT細胞受容体 (TCR)のスペクトラムが維持されていることを確認した。
  • さらに、ヒトとマウスのPDOsがいずれも、抗PD-1抗体そしてまたは抗PD-L1抗体を介した腫瘍抗原特異的TILsの拡大と活性化ひいては腫瘍細胞障害性誘導による免疫チェックポイント阻害のモデル足り得ることを確認した。
展望
  • 腫瘍細胞とその免疫性間質とを共に (en bloc) 3次元オルガノイドへと培養する技術が、TIMEの癌免疫機構の解明と免疫療法の個別化を促進する。
*) 先行研究論文
患者由来オルガノイド関連論文例






crisp_bio注: 2018/11/26 20:45 記事タイトル中の日付を修正しました (2018/11/25から2018/11/26へ)
1. dCpf1による転写調節の特性を大腸菌にて検証
[出典]"Systematically investigating the key features of the DNase deactivated Cpf1 for tunable transcription regulation in prokaryotic cells" Miao C, Zhao H, Qian L, Lou C. Synth Syst Biotechnol. 2018-11-19.
  • Cpf1は、crRNAの生成と標的DNA切断の二役を担い、また、DNaseとRNaseの双方の活性を備えている (2017-04-12 CRISPR関連文献メモ_2016/04/21 1. Zhangチームが発掘したCpf1を、Charpentierチームが磨く)。
  • 中国科学院微生物研究所、中国科学技術大学、北京大学ならびに中国科学院大学の研究チームは今回、DNase不活性化Cpf1 (dCpf1)について、効果的に不活性化する変異の同定、dCpf1の転写調節活性に必要なcrRNAの要件、多重編集への要件およびPAM依存性を、大腸菌において網羅的に検証し、可能性がある全てのPAM配列について転写調節結果を推定するアルゴリズムを開発した。
  • [関連論文]DNase-dead Cpf1 mutant (ddCpf1)論文:Multiplex gene regulation by CRISPR-ddCpf1" Zhang X, Wang J, Cheng Q, Zheng X, Zhao G, Wang J. Cell Discov. 2017-06-06:大腸菌おいてddCpf1による遺伝子発現抑制効果を確認;RNase活性がin vivoでCRISPRアレイ前駆体から成熟crRNAを多重に生成し、多重遺伝子調節実現
2. [プロトコル]CRISPR/Cas9技術による蛍光標識とiPS細胞からの3次元オルガノイド形成技術による腎臓の創薬モデル作出
[出典]"A CRISP(e)R view on kidney organoids allows generation of an induced pluripotent stem cell–derived kidney model for drug discovery" Boreström C et al. Kidney Int. 2018-12. Online 2018-07-31.
  • SIX2-GFP, NPHS1-GFPおよびSIX2-GFP/NPHS1-mKateヒトiPSC作出;ネフロン前駆体の成熟をGFPとmKateの発現で観察;オルガノイドはポドサイトと尿細管細胞を備えている
3. イメージ解析を伴うアレイ型CRISPRスクリーンから、コクサッキーウイルス感染に必要な宿主遺伝子を同定
[出典]"Arrayed CRISPR screen with image-based assay reliably uncovers host genes required for coxsackievirus infection" Kim HS, Lee K, Kim SJ, Cho S, Shin HJ, Kim C, Kim JS. Genome Res. 2018 Jun;28(6):859-868. Online 2018-04-30.
  • プール型CRISPRスクリーンは表現型に強い影響を与えない遺伝子や細胞生存の必須遺伝子を見逃す弱点を伴っている。Kim JSらの韓国の研究チームは、1,514遺伝子を標的とするアレイ型CRISPRスクリーンを実現し (原論文Figure 2引用下図参照)、プール型CRISPRスクリーンやsiRNAノックダウン・スクリーンでは見逃されていた掲題宿主遺伝子群を同定Arrayed screen
4. ヒトのケラチノサイト初代細胞のCRISPR/Cas9ゲノム編集により、UVBに対する免疫応答にNLRP1インフラマソームが必須であることを同定
[出典]"Genome Editing of Human Primary Keratinocytes by CRISPR/Cas9 Reveals an Essential Role of the NLRP1 Inflammasome in UVB Sensing" Fenini G, Grossi S, Contassot E, Biedermann T, Reichmann E, French LE, Beer HD. J Invest Dermatol. 2018-12. Online 2018-08-07.
  • UBVはケラチノサイトに免疫応答を誘導し、インフラマソーム形成を介して、炎症性サイトカイン前駆体proIL-1βと-18の活性化と分泌に至ることが共通認識であるが、ケラチノサイトによるUVB感知とインフラマソーム形成の分子機構については議論が別れている。
  • チューリッヒの研究チームは今回、NLRP3ではなくNLRP1のインフラマソームが分子機構の鍵を握っていることを同定した。さらに、カリウム・イオノフォアの一種であり免疫細胞におけるNLRP3活性化因子として知られているニゲリシンに応答するインフラマソーム活性化に、NLRP3ではなくNLRP1が必要であることも同定した。
5. 全ゲノムCRISPRスクリーンにより筋層浸潤性膀胱癌におけるシスプラチンによる細胞死におけるMSH2の機能を同定
[出典]"A Whole-genome CRISPR Screen Identifies a Role of MSH2 in Cisplatin-mediated Cell Death in Muscle-invasive Bladder Cancer" Goodspeed A, Jean A, Costello JC. Eur Urol. 2018-11-07
  • MSH2ノックダウンはシスプラチンによる膀胱癌細胞の細胞死を低減する(シスプラチン耐性を増す)一方で、MSH2欠損はシスプラチンのアナログであるオキサリプラチンを含む他の化学療法に対する耐性には影響を与えない。MSH2タンパク質レベルはシスプラチン耐性のバイオマーカとして利用可能である。
6. 膀胱癌に対するPD-1阻害とCRISPR-Cas9によるlncRNA UCA1ノックアウトとの相乗的抗腫瘍効果を同定
[出典]"Synergistic Antitumor Effect on Bladder Cancer by Rational Combination of Programmed Cell Death 1 Blockade and CRISPR-Cas9-Mediated Long Non-Coding RNA Urothelial Carcinoma Associated 1 Knockout" Zhen S Lu J, Chen W, Zhao L, Li X. Hum Gene Ther. 2018-11-19.
  • UCA1 (Urothelial Carcinoma Associated 1)とPD-1を標的とするCRISPR-Cas9の効果を5637膀胱癌細胞in vitroと5637膀胱癌細胞移植SCIDマウスin vivoで確認
7. 成熟トマトのペクチン分解を調節する遺伝子を標的とするCRSIPR変異体の解析
[出典]"Characterisation of CRISPR mutants targeting genes modulating pectin degradation in ripening tomato" Wang D [..] Seymour GB. Plant Physiol. 2018-11-20.
  • U. Nottinghamをはじめとする英・米・中・マレーシアの研究グループは、CRISPR/Cas9でペクチン分解酵素 (ペプチン酸リアーゼ 、ポリガラクツロナーゼ2aおよびβ-ガラクタナーゼ)遺伝子(PL, PG2aおよびTBG4)に変異を導入し、変異体の比較解析を行い、PLだけがトマトの硬さに関与し、 PG2aとTBG4の変異が果実の色と重さに影響することを明らかにした。
8. イネにおいてCRISPR/Cas9によりレトロトランスポゾン(TE)を欠損
[出典]"Targeted deletion of rice retrotransposon Tos17 via CRISPR/Cas9" Saika H, Mori A, Endo M, Toki S. Plant Cell Rep. 2018-11-21.
  • 植物ゲノムにおいて初めてTEの編集を実現;具体的には、カルスにおいてTos17を挟むLTRに変異を誘発することでTos17を削除し、Tos17ホモ型欠損イネを作出;TE挿入により不活性化された重要遺伝子の発現の復活法として、特に果樹に、有用

[出典]"Fabrication of biomimetic placental barrier structures within a microfluidic device utilizing two-photon polymerization" Mandt D, Gruber P, Markovic M [..] Ovsianikov A. Int J Bioprint. 2018 Jul 3.

背景
  • 胎盤は、胎盤関門 (placental barrier)により胎盤母体血液と胎児血液を常に分離しつつ、胎児と母体の間で然るべき分子の輸送を制御する胎児の発生と生育に必須の一時的器官である (下図'Scheme of placental circulation'参照)。Placenta1
    ヒト胎盤のin vivo実験は不可能であり、この多面的器官のin vitroでのモデリングもこれまで実現しておらず、胎盤研究は生物医学における大きな課題の一つである。
概要
  • 高精度な3次元プリンティングによる生体モデル開発に取り組んできたウィーン工科大学 (TU Wien)の研究チームはゲント大学などと共同で今回、分子の経胎盤移行および発生へのその影響の多面的かつ再現性良いシミュレーションを実現するプラットフォーム開発を目指した。
胎盤関門モデル構築
  • 胎盤関門構築には、二光子光重合(two-photon polymerization; 2PP)法に基づく高精細な3次元プリンティングを利用
  • コラーゲン由来ゼラチンの第1級アミンとカルボン酸をそれぞれメタクリルアミドとメタクリル酸メチルで修飾(GelMOD-AEMA)する事で、2PPによるゼラチン加工を実現
Placenta2 Placenta3
  • 上図左A(原論文 Figure 1引用)の模式図にあるマイクロ流体デバイスにおいて、断面が2つの'へ'の字型のチャンバー(上図左B参照)が交差する領域に、ハイドロゲルによる'関門'(上図左C参照)を形成 (このハイドロゲル構造体によって2つのチャンバーは半透性の関門で分離されるに至る)。
  • 続いて、胎児側と母体側を模すために、関門の両側にそれぞれ、ヒト臍帯静脈内皮(Human umbilical-vein endothelial cell;HUVEC)細胞とヒト胎盤から分離した絨毛癌細胞BeWo B30をそれぞ播種し、一定量の培養液で還流する事で細胞培養・細胞膜定着(上図左Dならびに原論文FIGURE 7から引用した上図右参照);GelMOD-AEMAをフィブロネクチンで被覆する事で細胞膜定着が向上。
実証実験と結論
  • 胎盤関門モデルを介した経細胞輸送(transcellular transport)プロセスを解析;高分子量の分子は非透過;グルコース程度の低分子量の分子は時間依存性で拡散透過
  • GelMOD-AEMAをベースに構築した胎盤関門モデルは、妊娠過程中に形状が連続的に変化する胎盤のシミュレーションに適した生体適合性と柔軟性(上図左Cの形状・サイズ可変)を備えている。

出典
  • "A novel three-dimensional high-throughput screening approach identifies inducers of a mutant KRAS selective lethal phenotype". Kota S[..]Kissil J, Spicer Tp. Oncogene. 2018 May 10.
背景
  • RASタンパク質は膵臓癌、肺癌、および大腸癌など癌において最も高頻度で変異が起きているタンパク質であり、また、腫瘍細胞の増殖そしてまたは生存がRASに依存することから、RASは明らかに癌治療の格好の標的である。しかし、30年以上にわたりRASは'undruggable'と称されてきた。サイズが小さく低分子が結合可能なポケットが見当らないといったタンパク質自身の特性に加えて上流の調節ネットワークが複雑なことから、RASより下流のシグナル伝達過程を標的とする試みがなされてきたが、それもまた複雑であり、RAS阻害剤の研究開発は停滞していた。
  • 多数の因子が関わるシグナル伝達過程を標的とする創薬には、分子標的を特定した上のtarget-based screening (target-based drug discorvery: TDD)よりも、細胞の生存性などの表現型に基づくスクリーニング (phenotypic drug discovery: PDD) が有用である。表現型スクリーンのポイントは、いかに体内環境に近い微小環境でスクリーンするかにかかっている。
成果
  • The Scripps Research Instituteの研究チームは今回、三次元細胞培養で構築したサイズが〜100-600μm径の同質遺伝的背景のスフェロイド (spheroid)とハイスループットスクリーン技術を組み合わせることで、G12V変異KRASを選択的に阻害する低分子1種類、強心剤として利用されているプロスシラリジン (Proscillaridin) A、を同定した。
  • 今回見出した強心剤の抗癌剤候補へのドラッグリポジショニング/ ドラッグリパーパシング (drug repositioning/drug repurposing) は、生体内の3次元微小環境の再現が困難な付着性の細胞二次元単層でのスクリーンや、TDDでは、見出せなかった成果である。
参考文献
関連ツイート

出典
  • [COMMENT] The ethics of experimenting with human brain tissue. Farahany NA, Greely HT, Hyman S, Koch C, Grady C, Pașca SP, Sestan N, Arlotta P, Bernat JL, Ting J, Lunshof JE, Iyer EPR, Hyun I, Capestany BH, Church GM, Huang H, Song H. Nature. 2018 Apr;556(7702):429-432. (Nature Biotechnology ツイート参照*)
背景
  • 神経変性疾患や精神疾患の研究に基づいてモデル動物で開発・評価された療法のほとんどが、ヒトでは奏功しない状況で、脳オルガノイドの研究が加速し、部分的であるにせよヒトの脳の発生過程や構造と機能をより精密に再現する脳オルガノイドが現実になった。例えば、2018年4月16日には、成体マウスの脳に移植したヒト脳オルガノイドが成熟・定着したとする論文がNature Biotechnologyに発表された。
  • ヒト脳のオルガノイド作出からキメラ・モデル動物まで開発が進み始めた今、ヒト脳サロゲート (brain surrogates)を巡る研究のガイドラインの議論を急ぐべきである。2017年にデューク大学で開催されたワークショップなどをふまえて、デューク大学の法哲学教授のNita A. Farahanyをはじめとする17名の識者がNature誌オンラインにて、brain surrogatesの3クラスについて紹介した上で、ガイドライン整備に向けて研究者、研究資金提供者、研究倫理審査委員ならびに一般社会が議論すべき課題を提案した。
安全なサロゲート (safe surrogates)の3クラス

人々に危険を及ぼさずヒト脳の機序解明の基盤となりえるサロゲートには、オルガノイド、ex vivo脳組織、キメラの3クラスが存在する。

オルガノイド
  • 多能性幹細胞から特定の神経細胞に限らず脳の特定の領域に相当する3次元オルガノイドへと分化発生させること、さらに、脳オルガノイドを‘brain assembloids’へと融合させて領域間の神経回路形成と細胞間相互作用を研究することも可能になってきた
  • 3次元オルガノイドであれば脳の発生過程を追跡することも可能になる。すでに脳オルガノイドを利用した自閉スペクトラム症や統合失調症あるいは出生前にZikaウイルスの感染した患者における脳神経発生の研究が始まっている。
  • 脳オルガノイドには現時点で、ミクログリアや血管形成細胞が欠けていることや、これまでで最大のオルガノイドでも極めてサイズが小さく細胞数も少なく (~4mm, 200~300万個)、シグナルの入力や他の領域との結合が初歩的であるといった限界があり、脳オルガノイドが意識や感情といった高次機能を獲得することは極めて遠い話ではあるが、脳オルガノイドの技術はさらに進んでいく。
Ex vivo脳組織
  • 脳手術の際にヒト脳から切除された組織切片は、すでに1世紀以上脳研究の実験材料として利用されてきたが、脳組織の機能をex vivoで維持する技術や可視化技術の進歩によって、機能している脳組織における脳回路の3次元マップ構築やトランスクリプミクス、光遺伝学によるニューロン活性化などが可能になり、脳研究の資源として新たな価値が生まれた (参照 ALLEN BRAIN ATLAS)。一方で、シグナルの入出力機能を備えていないex vivo脳組織が脳の高次機能を獲得する可能性は、オルガノイド以上に殆どない。
キメラ
  • これまでに、ヒト・グリア細胞のマウスへの移植とその効果の解析が試みられ、ヒト幹細胞をブタ初期胚に注入し代理母ブタにて妊娠初期まで発生させ得た150個のキメラ胚においてヒトの胚と肝臓の前駆細胞の存在が確認され、パーキンソン病のヒト-マウスキメラも開発され、本記事冒頭にあるようなヒト脳オルガノイドに基づいたキメラマウスも作出されている。
考察しておくべき課題

必要性
  • Ex vivo (体外)で行われるヒト組織を対象とする研究に対する規制やガイドラインの対象は現在、組織の獲得、維持、共有および同定とされている。脳サロゲートのサイズがより大きくなり構造や機能がより洗練されると、脳サロゲートがヒトに近い感覚、知覚、記憶能力を備え、さらには、自意識さえ持つ可能性を否定できなくなってくる。
倫理的基準となる'意識’の測り方 (metrics)
  • 近年、意識に相関した脳活動の研究が進み、脳波検査によって成人における意識と無意識の指標となるシグナルが同定されているが、脳サロゲートにおける意識の状態を判定するに必要なシグナルの同定・定義のためには、意識自体の理解とその分子機序の解明が必要である。
  • キメラモデルの場合は動物福祉の観点から基準作りが急がれる。
曖昧になるヒトと動物の境界
  • ラットの膵臓を持ったマウスが作出され、ヒト臓器を持った動物の作出も時間の問題である。ブタにおけるヒト心臓形成は受け入れられるとして、マウスやブタにおいて血管形成したヒト脳オルガノイドや成長するヒト神経組織はどうだろうか?
  • ヒトに近すぎる (‘too human-like’)モデル動物の領域で、どのようなキメラまたはどのような器官の作出が受容可能かを個別に判断していくことになるのか?
脳死の定義
  • 1950年代の人工呼吸法 (気道陽圧換気法)と1960年代の心肺蘇生法の発明を経て、脳の機能が完全かつ非可逆的に失われた状態として脳死が定義された。新たな医療技術の発明が、脳機能が完全に失われたという定義や非可逆的の定義を曖昧にし、脳死の診断を難しくする可能性を秘めている。
インフォームド・コンセント
  • ヒト脳の細胞や組織を利用した研究や、iPSCsからの脳サロゲート開発にあたっては、細胞や組織のドナーに、これまでのインフォームド・コンセントよりは、利用目的をより明確にする必要がある。
所有権と代理人 (保護者)
  • 脳組織試料の所有権は現在、組織を獲得し研究に使用している研究者または研究機関とされているが、そのままで良いであろうか?
  • 脳サロゲートやキメラの'福祉'を意識せざるを得ない時が来るのではなかろうか?その場合は、代理人制度が必要になるのではないか?
研究終了後の取り扱い
  • 現在、脳オルガノイドもex vivo脳組織も他の組織と同様のプロトコルで廃棄され、モデルマウスも廃棄される。一方で、チンパンジーのように実験終了後サンクチャリーで一生を終える実験動物も存在する。ヒト脳オルガノイドが高次機能を獲得するに至ったキメラマウスに適合したプロトコルは?
データの取り扱い
  • 脳サロゲートを利用した研究からのデータの利用については、個人遺伝情報の取り扱いと同様に、他の科学特有のガイドラインが必要か?
生命倫理
  • 米国のBRAIN Initiative欧州のHuman Brain Projectにおいて、神経科学の進歩を踏まえた生命倫理の議論が行われ報告も出されてきたが、脳サロゲートを視野に入れた再考が必要である。脳サロゲートの開発が始まったばかりのこの時に脳サロゲート研究に関わる生命倫理の枠組みを構築してこそ、関連研究の長期的な成功と社会的受容を達成できる。
参考文献とcrisp_bio関連記事

関連ツイート
  • (*)Nature Biotechnology ツイート
  • オルガノイド関連NEWS FEATURE/ツイート

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