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1. [ハイライト] 機能ゲノミクス、Cas9単独から、Cas9とCas12aの組み合わせやRNAを標的とするCas13aへと拡がる
[出典] RESEARCH HIGHLIGHT "CRISPR screens beyond Cas9" Burgess DJ. Nat Rev Genet 2020-03-31; 以下の2本のcrisp_bio記事で取り上げた論文をハイライト
  • crisp_bio 2020-03-19 Cas9-Cas12aハイブリッド・プラットフォームを開発し、遺伝子ペアと選択的エクソンの機能を同定
  • crisp_bio 2020-03-19 Cas13dによるRNAノックダウンに最適なcrRNAsを超並列スクリーン結果に基づく機械学習モデルにより設計
2. SpCas9とその改変体3種類 (Cas9-VQR, xCas9, Cas9-NG), SaCas9およびFnCas9とそれぞれのPAMとの結合親和性を、蛍光標識したDNAへの競合結合をアッセイする"Cas9ビーコン"法を介して測定し、結合親和性とゲノム編集効率の間に正の相関を見出した
[出典] "Quantification of the affinities of CRISPR-Cas9 nucleases for cognate protospacer adjacent motif (PAM) sequences" Mekler V, Kuznedelov K, Severinov K. J Biol Chem 2020-04-01

3. Cas12aのコラテラルssDNA切断活性を利用して、ssDNAプローブに基づく超高感度核酸検出ツールが開発されてきたが、著者らは、蛍光標識したdsDNA群が、Cas12aの標的dsDNA結合時に無差別切断され、プローブとして利用可能なことを示した。
[出典] "Probing CRISPR-Cas12a Nuclease Activity Using Double-Stranded DNA-Templated Fluorescent Substrates" Smith CW [..] Yigit MV. Biochemistry 2020-04-01

4. [論説] CRISPR-Cas13aのコラテラル活性をグリオーマ細胞においても同定した論文を引用し、Cas9との比較および関連技術の発展を表1と図1にまとめた:
Cas13a Table Cas13a-Figure
[出典] EDITORIAL "CRISPR-Cas13a system: a novel approach to precision oncology" Zhang J, You Y. Cancer Biol Med Feb 2020

5. 光制御可能なケージドgRNAにより、CRISPR/Cas9ゲノム編集の時空間制御を実現 (下図Graphical abstract参照); in vitroで検証後、ゼブラフィッシュ胚in vivoで実証
%22Photoswitchable
[出典] "Photoswitchable gRNAs for Spatiotemporally Controlled CRISPR-Cas-Based Genomic Regulation" Moroz-Omori EV [..] Stevebs MM. ACS Cent Sci 2020-04-01

6. チオール修飾を必要としない一段階金ナノ粒子バイオプローブの凍結調整法と、CRISPR技術に基づいた蛍光・ラテラルフローアッセイ診断ツールの開発
[出典] "Single-step, salt aging-free and thiol-free freezing construction of AuNP-based bioprobes for advancing CRISPR-based diagnostics" Hu M [..] Zhou X. J Am Chem Soc 2020-03-30

7. メタノール資化酵母において、エピソーマルベクターにてsgRNAを#デリバリーすることで、ゲノム編集効率100%と多重ゲノム編集、およびCRISPRiを実現; PAMとしてNGGの中でCGGを好む傾向
[出典] "High efficiency CRISPR/Cas9 genome editing system with an eliminable episomal sgRNA plasmid in Pichia pastoris" Yang Y [..] Bai Z. Enzyme Microb Technol 2020-04-01

1. CRISPR/dCas9によるエピゲノム編集ツールを利用して、Fgf21遺伝子プロモーターのDNA脱メチル化を実現
[出典] "Targeted DNA demethylation of the Fgf21 promoter by CRISPR/dCas9-mediated epigenome editing" Hanzawa N, Hashimoto K [..] Ogawa Y. Sci Rep 2020-03-20
  • 東京医科歯科大学の橋本貢士と小川佳宏らは先行研究で、マウス乳仔期の肝臓において、線維芽細胞増殖因子21 (FGF12)が、肝臓での脂質代謝を制御する核内受容体PPARα (peroxisome proliferator-activated receptor α)依存で脱メチル化を受けること、および、リガンド結合によるPPARαの活性化を介して、DNA脱メチル化ひいてはFGF12の発現が亢進することを報告していた。
  • 研究グループが利用したエピゲノム編集ツールは、CRISPRaの一種であるSunTagシステムに準拠して [*]、dCas9に、22 aaの長さのリンカーを介して、5連のGCN4 -  単鎖可変領域フラグメント (scFv) - 脱メチル化酵素TET1の触媒ドメイン (TET1CD)を結合した人工因子である [Figure 1 引用下図 a 参照]。DNA demethylation 2020-03-28 21.44.07
  • Fgf21のプロモーター領域を標的とするこの人工因子によって、マウス肝癌細胞株Hepa1-6とPPARα欠失マウスにおいて、それぞれ、PPARαの合成リガンド投与と断食をキューとするFgf21のDNAメチル化低減を介して、Fgf21の発現が亢進することを示した。
  •  [*] CRISPR関連文献メモ_2016/09/03 #2 [論文] 脱メチル化によって標的遺伝子を特異的にin vivo 活性化するCRISPR/Cas9ツールボックスを開発
2. Cdk5遺伝子を標的とするCRISPR/Cas9と抗癌剤を共に、弱酸性pH応答性ナノ粒子でデリバリすることで、腫瘍微小環境を'cold'から'hot'へ改変
[出典] "Reshaping tumor immune microenvironment through acidity-responsive nanoparticles featured with CRISPR/Cas9-mediated PD-L1 attenuation and chemotherapeutics-induced immunogenic cell death" Tu K [..] Zhang Z. ACS Appl Mater Interfaces 2020-03-20
  • 表題のデリバリー法により、CRISPR/Cas9によるCdk5 (サイクリン依存性タンパク質キナーゼ5)のノックアウトを介したPD-L1発現抑制に、パクリタキセルによる免疫応答を引き起こす細胞死 (immunogenic cell death: ICD)の誘導、Tregの抑制、腫瘍随伴マクロファージの再極性化、および抗腫瘍免疫応答の亢進の効果が加わり、腫瘍成長が効果的に抑制され、全生存期間が伸びるに至った。
3. ヌクレオソーム枯渇‘mini’U6 Pol IIIプロモーターを介して多重sgRNAsによるCRISPR/Cas9遺伝子編集を実現
[出典] "'Mini'U6 Pol III promoter exhibits nucleosome redundancy and supports multiplexed coupling of CRISPR/Cas9 effects" Preece R, Georgiadis C, Gkazi SA et al. Gene Ther 2020-03-20
  • RNAポリメラーゼ III (Pol III)は、短鎖ノンコーディングRNAsを発現し、CRISPR sgRNAの発現にも利用され、Pol IIIのH1とU6を組み込んだベクターはゲノム編集療法に利用されている。英国の研究グループは今回、
  • レンチウイルスのLTR領域に表題U6プロモーターを埋め込むことで、高レベルの転写活性を実現した。さらに、‘mini’H1とU6の二重プロモーターを介した二重sgRNAs転写によりTCRとHLA分子の同時破壊を実現し、ユニバーサルCAR T細胞の効率的作出の可能性を示した。
4. [レビュー] 抗-CRISPRタンパク質の分子機構は多彩である: 氷山の一角?
[出典] "Diversity of molecular mechanisms used by anti-CRISPR proteins: the tip of an iceberg? " Hardouin P,  Goulet A. Biochem Soc Trans 2020-03-20
  • CRISPR-Cas獲得免疫機構の各ステップに干渉する分子機構に注目し、オルソステリックな阻害、アロステリックな阻害、CRISPR-Casコンポーネントを非可逆的に改変する酵素活性などの多彩な分子機構をレビュー
5. CRISPR関連研究の最新動向ハイライト - 主として2017-2019年に刊行された論文の簡潔な紹介
[出典] "Recent advances in CRISPR research" Chen B [..] Li W. Protein & Cell 2020-03-21
  • SpCas9変異体作出およびホモログの発見; 塩基エディティング; dCasイメージング; 植物育種への応用; 動物の育種と疾患モデル動物の作出; Ex vivo/in vivo遺伝子編集による療法研究
6. ディスレクシア, 自閉症, アルツハイマー病に関連するDip2aホモ型ノックアウトmESC株IBMSe001-A-1を樹立
[出典] "Generation of Dip2a Homozygous Knockout Murine ES Cell Line IBMSe001-A-1 via CRISPR/Cas9 Technology" Yao M [..] Wu C, Zheng Y. Stem Cell Res 2020-03-19

7.  殺虫活性を帯びた3種類のBt毒素に対する農業害虫シロイチモジヨトウの候補受容体5種類を、CRISPR KOスクリーンで評価
[出典] "Evaluation of five candidate receptors for three Bt toxins in the beet armyworm using CRISPR-mediated gene knockouts" Huang J et al. Insect Biochem Mol 2020-03-19
  • 3種類のBt毒素と5種類の受容体との相互関係明らかに: 毒素Cry1AcとCry1Faに対して受容体のABCC2が主にCad1が従に応答する; ABCC2はCry1aにも応答する。

# crisp_bioより:
# 比較的簡略な論文紹介は"CRISPRメモ"に集約してきましたが、21日から単独の投稿に
# してみました。また、"CRISPRメモ"は、全体としてテキストが長くなった際に分割
# してきました。以上、CRISPR関係投稿のファーマットについてご意見ありましたら、
# お知らせ下さい

[出典] "Polyethylenimine based magnetic nanoparticles mediated non-viral CRISPR/Cas9 system for genome editing" Rohiwal SS [..] Ellederova Z, Stiege K. Sci Rep 2020-03-12

 Figure 1引用下図参照; トラフィックライトレポータ (TLR-3)を発現させたHEK293細胞にて、HDRとNHEJの進行を確認CRISPR:Cas9-PEI-MNPs

[出典] "Extracellular nanovesicles for packaging of CRISPR-Cas9 protein and sgRNA to induce therapeutic exon skipping" Gee P [..] Hotta A. Nat Commun 2020-03-12

 NanoMEDICは、nanomembrane-derived extracellular vesicles for the delivery of macromolecular cargoに由来する命名であり、細胞から放出されるナノサイズのウイルス様粒子 (VLP)に、Cas9およびsgRNAを順次内包させたナノ粒子としてCRISPRシステムを標的細胞へデリバリーする (それぞれ、Fig. 1とFig.2から引用した左下図と右下図参照)。
NanoMEDIC 1 NanoMEDIC 2
  • NanoMEDICによって、iPSCsから分化させた筋原性細胞において、スプライシングの供与部位と受容部位を同時に標的することでジストロフィン遺伝子のエクソン45のスキッピングを実現し、ジストロフィンタンパク質発現を回復した。
  • NanoMEDICは、T細胞、単球、iPSCs, ならびに、iPSC由来皮質ニューロンでのも効率的ゲノム編集を実現した。
 詳細は京都大学iPS細胞研究所(CiRA)2020-03-13ニュース「より安全性の高いゲノム編集技術の送達技術を開発」参照

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  • crisp_bio 2019-03-08 CRISPR/Cas9によりジストロフィン遺伝子エクソン44欠損からのジストロフィン・タンパク質発現を回復

[出典] Cytosine and adenine base editing of the brain, liver, retina, heart and skeletal muscle of mice via adeno-associated viruses. Levy JM [..] Liu DR. Nat Biomed Eng. 2020-01-14
  • 1塩基置換法であるCBEとABEは、そのサイズの問題から、遺伝子治療に広く利用されているAAVによるデリバリーが困難であった。CBEとABEそれに続くPE[*]を開発してきたDavide R. Liuの研究グループは今回、表題の手法を実現した (* 2019-10-22 David R. Liuグループからプライムなゲノム編集法 - BEsに続くPEs) 。
  • 2分割し、デュアルAAVsでデリバリーされたCBEまたはABEは、予め組み込んであったインテインを介して自動的に再構成され、脳、肝臓、網膜、心臓および骨格筋にて、しかるべき一塩基置換を実現した。効率はそれぞれ、59%、38%、38%、20%、および9%に達した。
  • また、運動失調などを呈する神経変性症の一種であるニーマン・ピック病C型の責任変異を修復し、その結果、神経変性の進行が遅れ寿命が伸びることを確認した。

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