タグ:細胞系譜

 1. Fast-HDRシステム: CRISPR技術によるノックイン細胞株作出を迅速にする多用途ベクターシステムを開発
[出典] A Versatile Vector System for the Fast Generation of Knock-in Cell Lines with CRISPR. Perez-Leal O, Nixon-Abell J, Barrero CA, Gordon J, Rico MC. bioRxiv 2020-02-06
  • Temple Universityの研究グループが、HDRに利用するドナーDNAテンプレート用プラスミドの構築期間を~21日から1日に短縮し、CRISPR/Cas9 HDRを介して目的とするタグを導入した細胞株の樹立期間を~8週間から15日未満まで短縮;ホモ型タギングと3重までの多重タギングも実現
2. Crackling: コンセンサス・ベースの高速かつ高精度なgRNA設計法
[出典] Faster and better CRISPR guide RNA design with the Crackling method. Bradfor J, Chappell T, Perrin D. bioRxiv 2020-02-15
  • Queensland University of Technologyの研究チームが、3種類のgRNA設計支援プログラム (mm10dbsgRNA Score2.0およびCHOPCHOP)のコンセンサスと、Inverted Signature Slice Listsに基づくオフターゲットスコアリングを組み合わせたCracklingにより、12種類のゲノム (375 - 9,965メガベースの規模)を対象に最適なsgRNAs (目的とする部位の切断活性を最大限に、オフターゲット切断を最小限にするsgRNAs)を、従来法よりも短時間で設計
3. ゼブラフィッシュにおけるCRISPR/Cas9による細胞系譜追跡に向けたバーコーディング用内在サイトを同定
[出典] Defining endogenous barcoding sites for CRISPR/Cas9-based cell lineage tracing in zebrafish. Ye C [..] He X. J Genet Genom 2020-02-07
  • 中山大学の研究チームが、ほとんどの細胞型で高発現し、細胞系譜追跡のバーコーディングに利用可能なサイト78ヶ所を同定し、バーコーディング用の配列の外部からの導入を不要にした。これらのサイトを通常のscRNA-seqのプラットフォームで分析することで細胞型と細胞系譜関連データの同時獲得を実現。
4. sgRNA前駆体の5'末端のオーバーハングがCas9の触媒活性を阻害する
[出典] Native ribonucleases process sgRNA transcripts to create catalytic Cas9/sgRNA complexes in planta.  Cody WB & Scholthof HB. bioRxiv 2020-02-06
  • Texas A&M Universityの研究チームが標題をはじめて同定し、また、 植物では内在の5'-3 'エキソリボヌクレアーゼ (XRN1)によって、そのオーバハングが処理されることで、Cas9の触媒活性が維持されることを同定;XRN1は成熟型sgRNAsの5'末端はプロセスしない。
5. Scienceイタ誌のINDEPTH: ペンシルベニア大学のCRISPR/Cas9遺伝子編集を利用するCAR-T療法 [*]
[出典] [IN DEPTH] CRISPR takes on cancer.  Couzin-Frankel J. Science 2020-02-07
  • [*] 2020-02-07 CRSIPR-Cas9の多重遺伝子KOを介したCAR−T細胞、第I相試験で安全性実証、効用についてはこれから
6. CRISPR/Cas9とssODNを介したHDRによりヒト角膜ジストロフィーの病態を再現するTGFBI-R124C変異モデルマウスを作出
[出典] Generation of mouse model of TGFBI-R124C corneal dystrophy using CRISPR/Cas9-mediated homology-directed repair. Kitamoto K, Taketani Y [..] Usui T, Ouchi Y. Sci Rep 2020-02-06
  • 東大、千葉大、日大、東京医科大などの研究グループ; ホモ型変異 80%, ヘテロ型変異 9.1%; 40週齢で角膜混濁など
  • 角膜に、アミロイド沈着は見られず、ホモ型変異でTGFBI変異タンパク質が蓄積
7. CRISPR/Cas9により飼料作物ライグラスへの標的遺伝子への変異導入を実現
[出典] Targeted Mutagenesis in Ryegrass (Loliumイタ spp.) Using the CRISPR/Cas9 System. Zhang Y [..] Gao C. Plant Biotechnol J. 2020-02-15
  • 中国科学院の微生物研究所と遺伝学・発生生物学研究所およびAarhus University (デンマーク)などの研究グループが、その配偶体自家不和合性ゆえにこれまで多大な手間、時間および経費を要していたライグラスの品種改良を、CRISPR/Cas9により効率化することが可能なことを示した。
8. 芳香族炭化水素受容体が、スフィンゴ脂質のレベルを上方制御する
[出典] A genome-wide CRISPR/Cas9 screen reveals that the aryl hydrocarbon receptor stimulates sphingolipid levels. Majumder S [..] Proia RL. JBC 2020-02-06
  • HeLa細胞における志賀毒素に対するゲノムワイドCRISPR/Cas9機能喪失スクリーンにより、リガンド活性化型転写因子である芳香族炭化水素受容体が、スフィンゴ脂質のレベルの上方制御し、ひいては軸索のミエリン化に貢献することを同定
9. [レビュー] マルチ・オミックスにCRISPRゲノム編集技術を融合することで、食品関連微生物の研究を促進
[出典] Combining omics technologies with CRISPR-based genome editing to study food microbes. Pan M, Barrangou R. Curr Opin Biotechnol 2020-02-05
  • プロバイオティクスの効用とストレス抵抗性の向上; 生物学的製剤としてのプロバイオティクス; 食品微生物のサーベイランス;  CRISPRゲノム編集の可能性; マルチ・オミックスからの知見に基づくCRISPRゲノム編集
10. [レビュー] アフリカツメガエルとヒメアカタテハのCRISPR遺伝子ノックアウトをテーマとする学部学生のイマージョン (immersion)科学教育
[出典] Bringing immersive science to undergraduate laboratory courses using CRISPR gene knockouts in frogs and butterflies. Martin A, Wolcott NS, O'Connell LA. J Exp Biol 2020-02-07
  • George Washington UniversityとStanford Universityの研究グループの教育経験に基づき、CRISPR技術の理解ならびに仮説に基づく研究を体得させることを目的とした学部学生向けコースをレビュー: 発生過程に関与する候補遺伝子について、機能の仮説を立て、CRISPR/Cas9によりノックアウトし、モザイク変異動物のフェノタイピングを経験

[出典] An engineered CRISPR/Cas9 mouse line for simultaneous readout of lineage histories and gene expression profiles in single cell. Bowling S, Sritharan D [..] Hormoz S, Camargo FD. bioRxiv. 2019-10-17

 Harvard Universityを主とする研究グループがGESTALT[*]に基づいて表題を可能とするCARLIN (CRISPR Array Repair LINeage tracing)マウスを樹立した。

CARLIN ES細胞
  • ES細胞のセーフ・ハーバー領域Col1a1に、tetO-Cas9、ならびに、pU6-sgRNA 10組とCAG配下にEGFPとsgRNAsの標的になるアレイを配したコンストラクトを、導入する。
  • アレイは、13-bpの保存領域、10種類のsgRNAsのターゲットとなる7-bp領域および3-bpのPAMと4-bpのリンカーからなる。このアレイをCARLINアレイと称する
  • CARLINアレイとは別に、リバーステトラサイクリン調節性トランス活性化因子(M2-rtTA)を、ES細胞のセーフ・ハーバー領域Rosa26遺伝子座に導入する。
  • こうして作出したES細胞において、DoxでCas9の発現を誘導するごとに、CARLINアレイに、Cas9による二本鎖DNA切断からのエラーが起きやすいNHEJ修復過程を経て、極めて多様な変異が刻まれていくこと、および、Cas9発現のレベルと期間によって、変異の様相が変わることを確認した。
CARLINマウス
  • CARLINアレイ/Col1a1を導入したES細胞由来マウスと、tetO-Cas9/Col1a1とrtTA/Rosa26を導入したES細胞由来マウスを交配することで、CARLINマウスを作出し、シングルセル・ドロップレット・シーケンシングを介して44,000種類までのCARLINアレルの読み取りを実現した。
  • また、CARLINマウスにおいて、造血幹細胞の分化の過程と5-FUによる損傷からの修復の過程それぞれにおけるクローンの動態について新たな知見を得るに至った。
[crisp_bio関連記事]
2019-05-15 マウス胚形成時の細胞運命マップを描く  [a homing guide RNA (hgRNA)]
h
CRISPRメモ_2019/05/17-1 [第5項] LinTIMaT: CRISPR-Cas9バーコード編集とscRNA-seqの融合による

[出典] "Ordered insertional mutagenesis at a single genomic site enables lineage tracing and
analog recording in mammalian cells" Loveless TB, Grotts JH [..] Liu CC. bioRixv 2019-05-16.

背景
 CRISPR-CasがDNAに誘導する変異によって細胞事象をDNAに記録し (DNAレコーディング)読む出すことで、大規模な細胞系譜や細胞過程を再構成する技術が2016年以来次々に開発されてきた:LINNAEUS 2018-04;ScarTrace 2018-03;scGESTALT 2018-03:hgRNA2016-12:CAMERA 2018-02;TRACE 2017-12;Record-seq/SENECA 2018-10;MEMOIR 2016-11;mSCRIBE 2016-08;CRISPR-Barcoding 2016-07;GESTALT 2016-05。
 最近も、2019年5月7日にDNAレコーディングの解析に最尤法を取り入れた細胞系譜再構成法 LinTIMaTがbioRxivに投稿され、2019年5月13日に、マルチチャネル化したDNAレコーディングによるマウス胚形成細胞運命マップの成果Nature誌から発表された、これらに今回 (5月16日)、UC Irvineの研究グループのCell HistorY Recording by Ordered iNsertion (CHYRON)が加わった。

概要

 CHYRONは、単一の遺伝子座 (CHYRON遺伝子座)に時系列に応じて挿入変異を蓄積し、それを次世代シーケンシングで読み出し、解析することで、細胞系譜の追跡 (lineage tracer)と細胞ストレスの遡及(stimulus recorder)を実現する。

特徴
 CHYRONまでのDNAレコーディングは、合成DNAアレイを記憶媒体とするGESTALT法にしても、改変sgRNA (hgRNA)をコードするゲノムDNA領域自身を記憶媒体とするhgRNA (homing guide RNA)法にしても、Cas9がランダムに誘導する挿入欠失変異を前提として設計されたが、主として欠失変異に依存することになる。単一遺伝子座に発生する欠失は、それまでに生じた挿入変異および欠失変異を損なうリスクを伴い、また、欠失の累積自身にも限界がある。そこで、UC Irvineの研究グループは挿入変異に基づくCHYRONの開発に着手した。

構成と機序
 CHYRONは、Cas9ヌクレアーゼとhgRNA (CRISPR関連文献メモ_2016/06/10 第4項目)、および、DNA書き込み因子で構成されている。DNA書き込み因子は、DNA鎖の3'末端-OHにデオキシヌクレオチドを転移する酵素 (TdT)であり、Cas9が誘導する二本鎖DNA切断 (DSB)に続いて、そのDSB部位にヌクレオチド (nucleotides, nts)をランダムに挿入する役割を担い、その結果、DSB修復後のDNAに挿入変異 (base pairs, bps)が刻み込まれていく。一方で、hgRNAは'homing'が意味するように自身をコードする遺伝子座を繰り返し標的とすることから、hgRNA遺伝子座 (ここでは、CHYRON遺伝子座)に、細胞状態の遷移に応じた挿入変異が、順次、刻み込まれる。こうして累積された挿入変異のNGS解析から、細胞に起こった事象を遡及することが可能になる。

HEK293T細胞での予備実験
 予備実験にて、1ラウンドのCas9遺伝子編集において、Cas9ヌクレアーゼ単独の場合は変異の84%が欠失、13%が1-bp挿入であったところ、TdTを併用することで、変異の74%が挿入になり、その平均長が2.9 bp (情報量 5.2 bits)になることを同定した。続いて、マルチラウンドの細胞事象を記録可能とするCHYRON遺伝子座の最適化を模索し、8.4 bpsの挿入 (15.3 bits)を可能とする16 bpの長さの
CHYRON16i遺伝子座に到達した。

細胞系譜再現実験
 293T-CHYRON16i細胞10,000個を4つのウエルに播種し、3回の倍加に要する時間に相当する3日間Cas9とTdTを発現させ、それぞれのウエルの細胞集団を2分割して8ウエル (それぞれ43,000細胞集団)へ、同様にして、16ウエル (それぞれ400,000細胞集団)へと分割した上で、3日後の3.2 M細胞集団16種類のNGS解析から、配列類似性と階層的クラスタリングにより、分割過程を完全に再現することに成功した。

酸素ストレス再現実験
 研究グループは、挿入変異の長さから、細胞に酸素ストレスのレベルと時期を遡及的に同定可能なことも示した。 Cas9とTdTのプロモーターとして、酸素ストレスに応答する4xHRE-YB-TATAを選択し、さらに、Cas9に酸素依存性デグロン・ドメインを融合したCHYRON16iを導入した293T細胞を、低酸素誘導因子HIF-1を活性化するジメチルオキサリルグリシン (DMOG:濃度 3種類, 期間5種類)に暴露し、レベルと期間に応じて挿入が長くなることを同定した。

課題
 DSBに対するTdTの応答を、CHYRON遺伝子座に限定し、Cas9-hgRNA以外の原因で発生する可能性があるDSBへの応答を抑止する;挿入変異の累積を介したCHYRON遺伝子座伸長によるCas9-hgRNAの活性低下を回避する;欠失変異を完全に抑止する。

1. SpCas9活性の深層学習モデルDeepCas9 (2019-09-20, -11-10, -11-26 追記)
[出典] "SpCas9 activity prediction by DeepCas9, a deep learning-based model with unparalleled generalization performance" Kim HK, Kim Y [..] Kim HH. bioRxiv 2019-05-15. > "SpCas9 activity prediction by DeepSpCas9, a deep learning–based model with high generalization performanc" Sci Adv. 2019-11-06
  • 延世大学校医科大学の研究グループは、先行研究にてAsCpf1活性の深層学習モデルDeepCpf1を構築した手法 (crisp_bio *1)に準拠し、SpCas9活性の深層学習モデルDeepCas9を構築・公開した。
  • 15,656組のsgRNAsと標的配列 (合成DNA)を導入したHEK293T細胞ライブラリを構築し、続いて、SpCas9を導入し、SpCas9の活性 (indels変異頻度)を測定し、12,832組のデータに基づいてニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network, CNN)に基づく深層学習モデルを構築し、542組のSpCas9活性データで検証した。
  • また、SpCas9活性の10種類の公開データセットを利用して、DeepCRISPR (crisp_bio *2)を含む既存の予測モデル8種類と性能を比較し、DeepCas9が最も高精度とした (in Delphi crisp_bio *3;Linモデル *; FORECasT *5)は比較対象に含まれていない) [Sci Adv.論文掲載Fig. 3引用下図参照 (bioRxiv.投稿掲載Fig.3と同一)]Fig. 3
  • DeepCas9はhttp://deepcrispr.info/DeepCas9にて公開
参考crisp_bio記事とツイート
2. [レビュー] CRISPR Cpf1 (Cas12a)タンパク質の構造、機能およびゲノム編集への応用
[出典] "CRISPR Cpf1 proteins: structure, function and implications for genome editing" Safari F [..] Ghasemi Y. Cell Biosci 2019-05-09.
  • Shiraz University of Medical Sciences (イラン)とCase Western Reserve University (米国)のグループによる引用文献156編21ページにわたるレビュー
3. ウサギにおいてBE3による塩基Gの直下に位置するC (GCコンテクスト)のTへの変換効率を向上
[出典] "Improved base editor for efficient editing in GC contexts in rabbits with an optimized AID-Cas9 fusion" Liu Z [..] Lai L, Li Z. FASEB J 2019-05-09.
  • 吉林大学の研究グループは、BE3のrAPOBEC1を活性化誘導シチジンデアミナーゼ (AID)に変更することで、ウサギにおいて11-ntウインドウ幅におけるC-to-T変換効率が向上することを示した。
  • 特に、enhanced AIDとBE4maxの組み合わせ[eAID-BE4max*]により、Tyrp.R299H変異におけるGCコンテクストのC-to-T変換効率がBE3による16.67%から83.33%に向上することを示した。さらに、eAIDの変異体eAID (N51G)とBE4maxの組み合わせ[eAID (N51G)-BE4max] によりバイスタンダー変異が抑制されることを示した。
  • (*) CRISPRメモ_2018/05/30-3 [第1項目] 塩基エディターBE4とABEを、BE4max / AncBE4max / ABEmaxへと強化
4. S. epidermidisにおけるCas10-Csm複合体によるサイクリックオリゴアデニル酸合成の調節機構
[出典] "Regulation of cyclic oligoadenylate synthesis by the S. epidermidis Cas10-Csm complex" Nasef M [..] Hatoum-Aslan A, Dunkle JA. RNA 2019-05-10.
  • タイプⅢ CRISPR-Casシステムは、サイクリックオリゴアデニル酸(cOA)を合成した非特異的なRNA分解機能も備えていることが知られており、いくつかのバクテリアとアーケアで分子機構が解析されている*。
  •  University of Alabamaの研究グループは今回、S. epidermidisのタイプIII-A CRISPR-CasにおけるcOA合成・調節の機構を解析した:3-6 ntのcOAはMgイオン依存で合成される;cOA合成の活性化は、crRNAと標的RNAとの間の1-nt ミスマッチで阻害される;cOA合成は、Csm3を介した標的RNAの切断と、拮抗する
  • (*) 参考crisp_bio記事:2019-03-24タイプIII CRISPR-Casの非特異的RNA分解活性を仲介するセカンドメッセンジャーを分解する'ring nuclease'
5. LinTIMaT: CRISPR-Cas9バーコード編集とscRNA-seqの融合による細胞系譜追跡
[出典] "Single-cell Lineage Tracing by Integrating CRISPR-Cas9 Mutations with Transcriptomic Data" Zafar H, Lin C, Bar-Joseph Z. bioRxiv 2019-05-07.
  • Carnegie Mellon Universityの研究チームは、DNA断片にCRISPR/Cas9がランダムに誘導するindels変異のパターンの変遷データに基づく細胞系譜の再構成と、scRNA-seqによる細胞型の同定とを組み合わせて細胞運命マップを描き出すscGESTALT (*)をはじめとする手法について、ランダム変異データの処理の仕方に課題があるとし、最尤法の枠組みで変異データとトランスクリプトームデータを統合していくことで細胞系譜を描き出すLinTIMaT (Lineage Tracing by Integrating Mutation and Transcriptomic data)法を開発し、scGSETALTの実験で利用されたゼブラフィッシュの2種類のデータセットにて、その性能を検証した。
  • (*) 2018-04-12細胞バーコーディングとscRNA-seqを一体化して、細胞型の同定と細胞系譜再構築の一石二鳥を実現 [第3項目]

[出典] "Molecular recording of mammalian embryogenesis" Chan MM, Smith ZD [..] Meissner A, Weissman JS. Nature 2019-05-13 (bioRxiv 2018-08-03).

背景
  • 近年、細胞型 (細胞機能)と細胞系譜同時に追跡することが可能になった。細胞機能は、解析対象の組織・器官を対象とする単一細胞RNAシーケンシング (scRNA-seq) によるトランスクリプトミクスによって同定することが可能であった。細胞系譜は、CRISPR-Cas9が合成DNAからなる細胞内の'記憶素子'書き込むindels変異を、特定のステージや成体の細胞から読み出すことで、再構築することが可能になった。
開発した技術
  • UCSF、Broad Institute、Harvard University、Max Planck InstituteならびにUC Berkeleyの研究グループ が今回開発した'記憶素子'は、プロモーターの下流に、トランスクリプトームのプロファイリング用の蛍光タンパク質DNA、8-bpの長さのスタティックなバーコード配列 (integration barcode, intBC)、続いてCas9の切断サイト3種類を帯びたDNAを結合した長さ205-bpの合成DNAである。
  • この3チャネルの'記憶素子'のカセット (原論文ではTarget-site cassette)と、マウス、ヒトおよびウシ由来の3種類のプロモーターによってそれぞれ発現させる3種類のsgRNAsを帯びたカセット (three-guide cassette)とを単一のpiggyBacトランスポゾンベクターに組み込む。
  • 研究グループは、このベクターをトランスポザーゼ mRNAならびにRosa26::Cas9:eGFP精子細胞と共に卵母細胞に注入し、その後、胎生期E8.5またはE9.5の胚を解析し、遡及的に再構築した細胞系譜にscRNA-seqからの細胞機能を重ね合わせた。
得られた知見
  • 胚形成の過程で分化全能性が徐々に失われていき、互いの距離が近い細胞系譜に由来する細胞の転写プロファイルが似る傾向があることを確認した。
  • 一方で、胚体外内胚葉に由来する細胞と胚体内胚葉に由来する細胞が同様の転写プロファイルへと収斂する現象も見出した。
細胞系譜関連crisp_bio記事

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