タグ:遺伝子ドライブ

1.  IDEA (Induction Dynamics gene Expression Atlas): 単一転写因子誘導実験の重ね併せから遺伝子発現アトラスを構築・公開
[出典] "Learning causal networks using inducible transcription factors and transcriptome‐wide time series" Hackett SR [..] McIsaac RS. Mol Syst Biol 2020-03-17 ; IDEA提供WebサイトはコチラIDEA
2. CREPE: erro-prone PCRによる変異配列ライブラリー生成とCas9とλ-redによるリコンビニアリングを介して、E. coli非必須/必須遺伝子を対象とするディープ変異スキャニングを実現
[出典] "CRISPR/Cas9 recombineering‐mediated deep mutational scanning of essential genes in Escherichia coli" Choudhury A, Fenster JA, Fankhauser RG, Kaar JL, Tenaillon O, Gill RT. Mol Syst Biol 2020-03-16; CREPEは"CRISPR/Cas9-mediated genomic error-prone edting"に由来する。CREME
3. CiBER-seq: 定量的CRISPRiによる機能ゲノミクス
[出典] "CiBER-seq dissects genetic networks by quantitative CRISPRi profiling of expression phenotypes" Muller R, Meacham ZA, Ferguson L, Ingolia NT. bioRxiv 2020-03-31CiBER-seqはCRISPR interference with barcoded expression reporter sequencingに由来する

4. SaCas9によるラット脳の機能ゲノミクス
[出典] "Development of a CRISPR-SaCas9 system for projection- and function-specific gene editing in the rat brain" Sun H [..] Yi M, Wan Y. Sci Adv 2020-03-18gene editing in the rat brain
5. 牛眼症などの遺伝子疾患ゼブラフィッシュモデル作出    
[出典] "Precise short sequence insertion in zebrafish using a CRISPR/Cas9 approach to generate a constitutively soluble Lrp2 protein" Collery RF, Link BA. Front Cell Dev Biol. Accepted 2019-07-31

6. CRISPR/Cas9 KOマウスでの実験から、Oospファミリーの一連の遺伝子がマウス雌の受胎に必須ではないことが判明
[出典] "CRISPR/Cas9-Mediated Genome Editing Reveals Oosp Family Genes are Dispensable for Female Fertility in Mice" Abbasi F, 小谷まよ [..] 伊川正人. Cells 2020-03-28

7. ヒト肺移植への応用を目的として、ラット肺においてCRISPRaにより免疫応答を抑制する内在IL-10遺伝子の活性化を実証
[出典] "CRISPR/Cas9-Based Transcriptional Activation of Endogenous IL-10 Gene in the Donor Lung for Transplantation" Mesaki K [..] Keshavjee S. J Heart Lung Transpl 2020-03-30. 

8. 網膜芽細胞腫の研究資源として、CRISPR/Cas9を利用してH9 hESCsにおいてRB1プロモーターの単一アレルまたは両アレルを欠損させた細胞株を樹立
[出典] "Biallelic and monoallelic deletion of the RB1 promoter in six isogenic clonal H9 hESC lines" Döpper H[..] Steenpass L. Stem Cell Res 2020-03-11

9. CCR5-Δ32/Δ32の生物学的意味を理論的に検証し、CRISPR/Cas9による生殖細胞系列のゲノム編集のあり方について考察
[出典] "CCR5-Δ32 biology, gene editing, and warnings for the future of CRISPR-Cas9 as a human and humane gene editing tool" Xu MM. Cell & Bioscience 2020-03-30CCR5-Δ32:Δ32
10. CRISPRホーミングに基づく#遺伝子ドライブに対する耐性を回避するgRNAsの多重化は2〜8重の範囲が適切
[出典] "Computational and experimental performance of CRISPR homing gene drive strategies with multiplexed gRNAs" Champer SE [..] Champer J. Sci Adv 2020-03-04 CRISPR homing gene drive
11. [展望] CRISPR技術を介した食用作物の育種、および、規制政策と発展途上国への展開
[出典] PERSPECTIVE "A CRISPR way for accelerating improvement of food crops" Zhang Y, Pribil M, Palmgren M, Gao C.Nat Food 2020-03-30

[出典] "Abundance of conserved CRISPR-Cas9 target sites within the highly polymorphic genomes of Anopheles and Aedes mosquitoes" Schmidt H [..] Lanzaro GC. Nat Commun 2020-03-18.

 自然集団に内在する遺伝変異が、遺伝子トライブ (Gene Drive: GD)の耐性アレルとして機能し、遺伝子ドライブによる生物集団の制御を難しくする可能性が指摘されきたが、UC Davisの研究グループは今回、Anopheles gambiae, An. coluzzii, およびAedes aegyptiの3系統の1,280ゲノムを検証し、Cas9をベースとするGDの標的となりえる全てのタンパク質コーディング領域の~90%に、GD耐性アレルを帯びていないサイトが少なくとも一つは存在することを見出し、 GD耐性アレルのリスクを回避可能と結論した。

[出典] A transcomplementing gene drive provides a flexible platform for laboratory investigation and potential field deployment. López Del Amo V [..] Gantz VM. Nat Commun 2020-01-17

 UCSDとUC Berkeleyの研究グループは論文冒頭で、遺伝子ドライブ (以下、GD)には、full GDgRNA GDの2種類がある、とした。
  • Full GDは、標的とする遺伝子の一方のアレルにCas9遺伝子配列とgRNA配列の1セット (以下、GD因子)を挿入し、GD因子が野生型アレルにDSBを誘導し、内在相同組み換え修復機構がGD因子を帯びたアレルをテンプレートとしてDSBを修復することで、GD因子がメンデルの法則を超えて伝播していく仕組みである。
  • 一方で、gRNA GDは、伝播されるGD因子はgRNAだけであり、例えば、gRNAを帯びたオスとCas9を帯びたメスを交配することで遺伝子ドライブを抑制可能にする手法である [*]。
  • Full GDは、遺伝子ドライブは想定外の伝播が発生するリスクを伴い、gRNA GDは標的生物集団内の多くの個体がCas9を帯びていることが前提となり、実験室では可能であっても、野外の大規模な生物集団へ適用は現実的でない。
  • [*] gRNA GDの例:2019-01-26 哺乳類動物遺伝子ドライブの試み 
 研究グループは今回、ショウジョウバエにおいて、full GDとgRNA GDのいいとこ取りをしたtGDを開発した。この手法は、Cas9とgRNAを異なるトランスジェニック (transgenic)系統に分けて (split)おくことで、2系統が分離されていればgRNA GDと同等の安全性を帯び、交配によってCas9とgRNAが揃えばfull GDと同等の効果を発揮する [tGDシステムついてFig. 1引用下図の模式図 (a)と、ショウジョウバエでの例示(b, c)参照]。tGD
 Cas9とgRNAをスプリットしたことで、Cas9とgRNAそれぞれの調節が容易になり、低分子を介したCas9の活性の誘導と抑制も可能になったtGDは、full GDよりも可塑的なシステムとなり、また、数値シミュレーションにより、生物集団の改変についてtGDがfull GDと同等と以上であることも示された。

[出典] Mathematical modeling of self-contained CRISPR gene drive reversal systems. Heffel MG, Finnigan GC. Sci Rep. 2019-12-27

 生物集団の遺伝子型を全て改変さらには絶滅にいたらしめる可能性をもった技術である遺伝子ドライブ(GD)を制御するシステムが多々提案されてきた。Kansas State Universityの研究チームは今回、外部刺激を、GDに組み込まれたヌクレアーゼの機能そしてまたは生物集団全体のフィットネスの調節機能へ変換するモデルを構想し、外部刺激で自己破壊のメカニズムを誘導するsgRNAを組み込んだGDの数理モデルを開発した。
 このモデルは進行中のGDの制御用に新たなGD個体を導入する必要がない自己完結型 (self-contained)である [Figure 3引用下図参照]。Gene Drive
遺伝子ドライブ一般向け解説WEB記事

[出典] A bacterial gene-drive system efficiently edits and inactivates a high copy number antibiotic resistance locus. Valderrama JA, Kulkarni SS, Nizet V, Bier E. Nat Commun. 2019-12-16. 
 微生物に由来するCRISPR-Casシステムにより、微生物のゲノムそしてまたはプラスミドのDNAを編集することで、病原性や薬剤耐性の遺伝子を除去する試みが続いているが [1]、実用化には、多コピーのプラスミドを効率的に標的する必要がある。CRISPR-Casシステムは一方で、自己増殖するCas9-gRNAカセットを介した遺伝子ドライブ (Wikipediaから引用した下図模式図参照)遺伝子ドライブ機構
による感染症媒介昆虫集団や侵入外来種集団の制御への展開が試みられ [2-3]、遺伝子ドライブの性能がショウジョウバエ、酵母さらにはマウスといった二倍体生物において実証されている。
 UCSDの研究チームは今回、λRedリコンビナーゼの助けを借りて、Cas9切断部位に相同組み換え修復過程を介して活性なgRNAカセットをコピーしていく微生物版遺伝子ドライブシステム"pro-active" genetic system (Pro-AG)を開発し、薬剤耐性遺伝子を帯びたプラスミドを多コピー帯びたE. coliモデルにおいて、アンピシリン耐性遺伝子β-ラクタマーゼ (bla)を、CRISPR-Cas9による単なる切断の~100倍の効率で不活性化することに成功した (原論文Fig. 1引用下図参照)。Fig. 1
 上図は、Cas9切断部位へのgRNAの挿入を伴わない通常のCRISPR-Cas9による編集 (a)と、Cas9切断部位へのgRNA挿入を伴うPro-AGによる編集 (c)の模式図と、選択培地でのアンプリシン耐性 (Amp(R))を帯びたコロニー形成能の比較 (b と d)を示している (図の中のaTCはtetプロモーターを介したpCas9からのCas9の発現を誘導するアンヒドロテトラサイクリンの略)。
 研究チームは、Pro-AGがサイズの大きなプラスミドに対しても有効であることを示し、また、遺伝子ターゲッティングに利用可能なことをGFPのノックインで実証し、Pro-AGは汚水、養魚池、肥育場などの環境における微生物集団の制御に展開可能とした。

[参考記事]
  1.  crisp_bio 2017-05-08 CRISPR-Casヌクレアーゼを設計して、ゲノム配列特異的に機能し、抗生物質耐性菌にも有効な抗菌剤を創出する
  2. crisp_bio 2019-01-26 哺乳類動物遺伝子ドライブの試み
  3.  crisp_bio 2018-06-22自己増殖型CRISPR遺伝子ドライブシステムは、野生集団への侵襲性が高い可能性がある

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