タグ:遺伝子治療

[出典] "Treatment of a Mouse Model of ALS by In Vivo Base Editing" Lim CKW [..] Perez-Pinera P, Gaj T. Mol Ther 2020-01-14

 先行研究 [1]においてABEの分割デリバリーを実現したUniversity of Illinois at Urbana-ChampaignのP. Perez-Pineraらは今回、CBEをABE分割と同様な手法で分割することでAAVでのデリバリーを実現し、遺伝性ALSの病因の20%を占める変異型SOD1遺伝子 [2]を恒久的に不活性化することに成功した。
  • このスプリット型CBEを、in vitroで検証後に、変異型SOD1遺伝子 (G93A-SOD1)を帯びたALSモデルマウスに脊髄内投与し、筋萎縮や体重減が抑制され、 神経筋の機能が向上し、後期および末期の症状が現れるまでの期間が85%延び、全生存率も向上することを、確認した。
  • 今回のCBEは、変異型のSOD1遺伝子に特異的に、転写開始点近傍にストップコドンを誘導することで、G93A-SOD1遺伝子を不活性化する設計であった。
[参考資料]
  1. crisp_bio 2019-11-23 CRISPR-SKIP:ABEを分割することでAAV送達を実現し、in vivoエクソンスキッピング療法へと向かう [inteinを使ったABEの分割について下図参照]ABE split
  2. crisp_bio 2018-07-14 スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)と小胞体膜タンパク質 Derlin-1の相互作用は家族性ALS治療の標的である

[出典] "CRISPR Interference–Potential Application in Retinal Disease" Peddle CF et al. Int J Mol 2020-03-27
 オックスフォード大学Nuffield眼科学研究室によるレビュー
  • ゲノムを改変することなく遺伝子発現を抑制可能とするCRISPRiは、表題網膜疾患の治療に必要な病因変異アレルのサイレンシングに有用である。
  • 前臨床試験では、病因変異を帯びたiPSCsのサイレンシングはin vivoでもex vivoでも実現しており、今後、in vivoでの実証の拡大と、臨床へのトランスレーションの課題解決が望まれる。
  • CRISPR-Cas9およびCRISPRiの基礎から始まり、CRISPRiとCRISPRiとCas9およびのRNAiとの比較、続いて、治療戦略 (in vivoノックダウン - 細胞リプログラミング, 病因パスウエイ改変;  ex vivoイノックダウン) [Table 3引用下図参照]、臨床展開への課題 (標的の選択と編集効率, 網膜へのデリバリ, 免疫原性)。
    CRISPRi

[出典] "Effective restoration of dystrophin expression in iPSCMdx-derived muscle progenitor cells using the CRISPR/Cas9 system and homology-directed repair technology" Jin Y [..] Tang Y. Comput Struct Biotechnol J. 2020-03-25
  • デュシェンヌ型筋ジストロフィー (DMD)の病因であるジストロフィン遺伝子の変異エクソン23をCRISPR/Cas9遺伝子編集技術により削除することで、ジストロフィン遺伝子発現を復元可能である。
  • しかし、編集効率および編集が成功したクローンの分離の効率が極めて低く (~3%)、マニュアルでの選別とジェノタイピングは容易な作業ではない。
  • Medical College of Georgia, Augusta Universityの研究チームは、floxed蛍光タンパク質と選別用抗生物質を帯びたHDRドナーベクターをCRISPR/Cas9 HDRを介して導入し、Creリコンビナーゼの処理を経て、筋形成前駆細胞を高効率で集積することに成功した [グラフィカル・アブストラクト引用下図参照]。
    DMD iPSC

[出典] "Applying genome-wide CRISPR-Cas9 screens for therapeutic discovery in facioscapulohumeral muscular dystrophy" Lek A [..] Kunkel LM. Sci Transl Med 2020-03-25

 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー (FSHD)は、転写因子DUX4の発現異常が病因である。DUX4タンパク質は発生段階には重要であるが、通常成熟細胞には存在せず、FSHD骨格筋でのDUX4活性化は細胞死を引き起こすことが知られている。
  • Yale School of Medicine,  Boston Children’s Hospital, Harvard Medical Schoolなどの研究グループは今回、ゲノムワイドCRISPR-Cas9 KOスクリーンによって、FSHD治療の標的を探った。すなわち、その欠損がDUX4タンパク質存在下での細胞死を回避可能とする遺伝子を探った。
  • その結果、低酸素シグナル伝達が標的として浮かび上がり、低酸素シグナル伝達を阻害したところ、実際に、DUP4タンパク質の代謝回転が速まり、細胞の低酸素応答ひいては細胞死が顕著に抑制された。
  • さらに、低酸素シグナル伝達阻害剤が、FSHD患者由来の筋原細胞のFSHD疾患バイオマーカを低減し、また、2種類のFSHDモデル・ゼブラフィッシュにおいて、骨格筋の構造欠陥と機能を改善することを、確認した。

[出典] FDA Accepts Investigational New Drug Application for CRISPR/Cas9-Based Sickle Cell Disease Therapeutic Candidate Developed Under Collaboration with Intellia TherapeuticsGlobeNewswire 2020-03-31

 Intellia Therapeuticsによると、2015年以来提携しているNovartisが、鎌状赤血球症 (SCD)を対象とするCRISPR細胞療法, OTQ923, のFDAへのInvestigational New Drug (IND)開始申請が承認された。
  • OTQ923は、Intellia Therapeuticsが開発してきたCRISPR/Cas9遺伝子編集技術により患者由来造血幹細胞に胎児型ヘモグロビン (HbF)の発現を誘導した上で、患者に移植することで、鎌状赤血球ヘモグロビンが引き起こす障害を軽減していく治療法である。
  • 第1/2相試験は、重篤な成人SCD患者を対象として開始される予定である。
  • このIND承認によりIntellia TherapeuticsはNovartisからマイルストーンの支払いを受ける。
[参考] Intelliaのパイプライン情報はコチラ https://www.intelliatx.com/pipeline-2/

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