crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 タンパク質構造は配列を超えて保存されているため、遠縁のタンパク質を解析するには多重構造アライメント(MSTA)が不可欠である。近年、深層学習や大規模言語モデル(LLM)により利用可能なタンパク質構造のレポジトリーが大幅に拡充された(AlphaFold DB や ESMAtlas) …
続きを読む

 小麦(Triticum aestivum L.)は世界で最も重要な作物の一つであり、世界人口のカロリーとタンパク質の大部分を供給している。育種プログラムに遺伝子編集を取り入れることは、収量とストレス耐性の向上に不可欠であるが、小麦を効率的に形質転換・再生させることは依然と …
続きを読む

 レンチウイルスベクターは、幅広い細胞種に適用できる汎用性と、長期的な遺伝子操作を可能にする宿主ゲノムへの安定した導入を両立させられることから、機能ゲノミクスおよびゲノム工学アプリケーションにおいて分子成分を送達するための不可欠なツールとなっている。一方 …
続きを読む

 ヘテロクロマチンは転写機構へのアクセスが困難であることが特徴であり、ヒストンマーカーH3K9me3と関連している。しかしながら、ヒト細胞におけるヘテロクロマチン喪失の機能的影響を研究することは困難であった。ルンド大学(スウェーデン)のJohan Jakobsson教授が率い …
続きを読む

 CRISPR-Casシステムが分子診断においても広く利用されているのは、crRNA誘導性のトランス切断能(コラテラル活性)によるものである。しかしながら、AsCpf1(AsCas12a)をベースとした検出システムの感度は、しばしば説明のつかない変動を示す。中国の研究チームは今回、Mg …
続きを読む

 臨床的に安全な温度範囲内で腫瘍の耐熱性を克服することは、がん光熱療法(photothermal therapy: PTT)における依然として大きな制約となっている。腫瘍細胞は温度が42~46℃に上昇すると、熱ショックタンパク質を急速に産生することで熱耐性を獲得するからである。この課 …
続きを読む

 アムステルダム大学医療センター のElena Herrera Carrillo准教授が率いるオランダとスペインの研究チームが、標題CRISPR Dxを Molecular Therapy Nucleic Acids Research 誌刊行論文で紹介している。 RNAウイルスは急速に進化し、宿主免疫や抗ウイルス療法を回避するこ …
続きを読む

 子宮内膜癌は、女性生殖器系の悪性腫瘍として広く蔓延しており、その発生率は増加傾向にあり、早期発症の傾向も見られる。ホルモン療法は妊孕性温存の第一選択肢であるが良好な反応を示さない患者も少なくない。今回、山東大学斉魯医院を主とする中国の研究チームが黄体ホ …
続きを読む

2026-03-11 論文責任著者のX投稿へのリンクを記事の最後に追加2026-03-03 Nature Communications 誌刊行論文に準拠した初稿[注] Perturb-seqはプール型CRISPRスクリーニングとscRNA-seqを組み合わせた技術である。当初、Broad研究所のAviv Regevら [2020年からGenentec副社長 …
続きを読む

 CRISPR-Cas12aは、その堅牢なシグナル増幅により分子診断において革新的な可能性を示してきた。しかし、その持続的な活性状態が、複雑な検出ワークフローにおける時間制御と正確なヌクレアーゼ制御を著しく制限する。首都医科大学(北京)を主とする中国の研究チームが今回 …
続きを読む

 CRISPR-Casシステムの登場は、核酸の検出と操作に革命をもたらした。タイプVI CRISPRエフェクターであるCas13は、シス(標的RNA)とトランス(コラテラルRNA)の双方の切断により、高感度でRNAを標的とする。この特性により、Cas13をベースとして蛍光レポーターを用いた高 …
続きを読む

[注] 経口投与薬SNIPR001の開発は、2023年にNature Biotechnology 誌刊行査読論文で紹介され、2025年6月から第1b相試験が開始されていた。当ブログでも2023年から2025年にかけて紹介記事を投稿していた:2023-05-10/2025-09-14CRISPR-Casシステムを送達可能なファージの発見 …
続きを読む

背景 CRISPR/Casシステムは、ゲノム編集のツールを提供するだけでなく、分子診断のツール(CRISPR Dx)も提供している。CRISPR Dxの中でも、CRISPR/Cas12aとCRISPR/Cas13aをベースとしたツールは、そのシス切断とトランス切断の両方の活性を活かして、今でも絶え間なく新た …
続きを読む

 DNAのノンコーディング領域における調節因子のスクリーニングは、しばしばヌクレオチドレベルの解像度を欠いている。今回、Harvard Stem Cell InstituteのDaniel E. Bauer HMS准教授、St. Anna Children’s Cancer Research InstituteのPIであるDavide Seruggia博士、並び …
続きを読む

[注] 遺伝性ATTR (TTR 遺伝子変異に起因するアミロイドーシス);多発神経障害を伴う遺伝性ATTR (Hereditary transthyretin amyloidosis with polyneuropathy, ATTRv-PN)2026-03-09 FDAが、nex-zの第3相試験の臨床保留を解除した。肝機能検査のモニタリング強化、投与後初期 …
続きを読む

 CRISPR-Cas12aのトランスssDNA切断活性(コラテラル切断活性)をベースにした診断法は核酸検査に革命をもたらしたが、臨床応用可能な感度を実現し、コンタミネーションを防止するために、等温増幅と統合されたワンポットフォーマットへと開発が進められている。 このワン …
続きを読む

 サンゴ礁は、地球上で最も生物多様性に富み、生産性*の高い生態系の一つである [* 生態学では、ある生態系においてバイオマスが生産される程度を意味する]。しかしながら、サンゴは現在、気候変動によって引き起こされる海水温上昇の脅威にさらされている。これらの脆弱な …
続きを読む

 ワシントン大学セントルイスのKimberly Parker准教授が率いる研究チームは今回、遺伝子組換え微生物(genetically engineered microbes : GEMs)増殖に必須の標的遺伝子の二本鎖切断を引き起こすCRISPR-Cas9キルスイッチを用いたバイオコンテインメントの効果を、大腸菌モ …
続きを読む

 CRISPR/Cas9技術は、種を超えてゲノム編集を変革した。しかし、鳥類生殖細胞への応用は、編集効率だけでなく、潜在的な遺伝毒性影響の評価が限られていることから、依然として制約を受けている。浙江大学の国際医学センターのRNA医学センターの主任研究員であるXin Zhiguo …
続きを読む

 組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターとCRISPR/Cas9は、今や遺伝子治療の研究開発に広く用いられている。スタンフォード大学のMark A. Kay教授が率いる研究チームは今回、内在性DNAの二次構造がゲノム​​編集の結果に及ぼす影響に注目した。 Kay教授らは先行研究で …
続きを読む

 CRISPR-Casシステムは、侵入性遺伝子要素を標的とし分解することで、原核生物に適応免疫を提供する。その中でも、タイプI-F2システムは最もコンパクトなタイプI CRISPR-Casバリアントであり、大サブユニット(Cas8)と小サブユニット(Cas11)の双方が完全に欠如しているこ …
続きを読む

[注] TPP(Thiamine diphosphate / チアミンピロリン酸)はビタミンB1(チアミン)の活性型である。 作物収量の向上は、依然として重要な育種目標である一方、栄養価とストレス耐性を損う場合が多い。世界人口の増加と環境ストレスの増大により、安定した作物収量と栄養価の …
続きを読む

[注] MDM4は、N末端にp53結合ドメイン、C末端にRINGフィンガードメインを有し、p53腫瘍抑制タンパク質に結合およびその活性を阻害し、様々なヒトがんにおいて過剰発現する [日本版がんゲノムアトラスから]。一方で、TP53 の遺伝子産物p53の活性化が骨髄不全症を引き起こすと …
続きを読む

 ミシガン大学の研究チームが、その最も一般的な疾患原因である TGFBI 遺伝子の変異をABE8e-NGで修正することに成功し、格子状角膜ジストロフィーおよび顆粒状角膜ジストロフィーを対象とする前臨床試験への道が開かれたとInvestigative Ophthalmology & Visual Science …
続きを読む

 分子生物学の進歩により、眼は外科的アクセスが容易であること、相対的に免疫学的に優位であること、そして対側の眼を解剖学的対照として利用できることから、遺伝子治療の主要プラットフォームとして位置づけられている。 オックスフォード大学Nuffield Department of Cl …
続きを読む

 エディンバラ大学ロスリン研究所のJinhai Wang博士らが、早期終止コドンを導入することでアトランティックサーモン(Salmo salar)の正確な遺伝子ノックアウトを誘導するコドン最適化塩基エディター(BE)を開発し、in vitro(細胞)および in vivo(胚)における効率的な …
続きを読む

 常染色体潜性非症候性難聴(DFNB9)を引き起こすOTOF 遺伝子の変異が、聴覚神経障害の主な原因である。これまで、遺伝子増強(Gene augmentation therapy)、RNAおよびDNA編集が、マウスモデルの聴覚機能回復に用いられており、DFNB9患者にも遺伝子増強が用いられている。 …
続きを読む

 CRISPR干渉(CRISPRi)は、二本鎖DNA切断を起こさずに遺伝子発現の一時的かつ可逆的な制御を可能にすることで、今や、機能喪失表現型を研究するための強力なツールとなっている。しかし、大規模なCRISPRiスクリーニングの実施にはコストがかかるため、コンパクトなライブラ …
続きを読む

 化学的ストレスがヒト肺の生理にどのように影響を及ぼすかを理解するには、動的な分子反応をリアルタイムで捉えるモデルが必要である。今回、忠南大学とソウル女子大学の研究チームが、CRISPR/Cas9技術を用いて内因性G3BP1 (G3BP Stress Granule Assembly Factor 1)-mCherr …
続きを読む

 受精後に細胞に生じる遺伝子変化である体細胞変異は、健康な組織にも広く見られるが、従来は前がん病変の兆候、あるいは単なる老化の結果と考えられてきた。しかし、近年の研究により、体細胞変異が疾患を引き起こす一方で、疾患を予防することも示されており、新たな治療 …
続きを読む

[注] CLIM-TIME: CRISPR-Laser-captured microdissection (LCM) Integration Mapping of the Tumor-Immune MicroEnvironment 固形腫瘍に、CAR-T細胞や腫瘍浸潤リンパ球(TIL)といったT細胞療法や癌ワクチンを適用するにあたって、腫瘍微小環境(TME)をより深く理解する必 …
続きを読む

2026-03-06 Cell 誌冊子体書誌情報と「Kampmann論文紹介crisp_bio記事」を1件追記2026-02-02 Cell 誌オンライン出版に準拠した初稿 タウタンパク質の凝集は、アルツハイマー病や前頭側頭型認知症などを含む最も一般的な加齢性神経変性疾患であるタウオパチーを特徴づけます …
続きを読む