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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

 中国の研究チームが今回、DepMapデータベースを用いて、淡明細胞型腎細胞(clear cell renal cell carcinoma: ccRCC)の進行に重要な遺伝子を同定するために大規模なゲノムワイドCRISPRスクリーニングを行った。発見と検証のために、The Cancer Genome Atlas(TCGA)、Gene …
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 前立腺がんの特異的な核酸バイオマーカーであるProstate cancer associated 3 (PCA3)は、前立腺がんにおいて前立腺特異抗原(PSA)よりも早く現れる可能性がある。現在、PCA3の検出に用いる尿は、デジタル直腸診(digital rectal examination: DRE)の後に採取される。しか …
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 中国の研究チームが、病原体の迅速かつ正確なスクリーニングを目指して、核酸抽出、CRISPR/Cas13a反応、ECL(electrochemiluminescence)検出を統合した、RNA検出用のモジュール式マイクロ流体センサーを構築した。 センサーは核酸処理モジュールと検出モジュールで構成さ …
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ホームページ URL https://www.idengaku-fukyukai.info/朝顔変種(変化アサガオ)販売のページ 変化アサガオ変化アサガオ一覧はPDFにてダウンロード可能[右図はPDF内の変化アサガオのサムネイル]国立遺伝学研究所 一般公開 4月5日 (土) 9:00-16:00 にて販売 …
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[注] CRISPR工学は具体的には効率的遺伝子編集を指している CRISPR工学を実現するためのペプチドによるRNP送達法(Peptide-Enabled Ribonucleoprotein delivery for CRISPR engineering: PERC)は、ヒト初代細胞の生体外ゲノム編集のための新しいアプローチである。PERCは、 …
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 家畜、特にウシは、遺伝子育種、感染症、バイオリアクター、特定疾患モデルなどのバイオテクノロジー分野にとって極めて重要である。しかし、ウシの遺伝子工学は、長い妊娠期間、単一胚妊娠、高い飼育コストのために遅れている。加えて、生殖細胞系列伝達の検証には時間が …
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 細胞には約100億個のタンパク質分子が存在し、そのアミノ酸配列が機能する構造をコードしている。近年、深層学習モデルによって、アミノ酸配列情報からそのような構造を正確に予測することが可能になった。生命の誕生して以来、細胞内コンパートメントに集合したタンパク質 …
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[注] FTO 遺伝子は核酸の脱メチル化酵素をコードしているが、近年、多くの民族で、その複数の多型が肥満と関連していることが、示されていることから肥満誘発性 (obesogenic) 遺伝子と呼ばれている [東北大メガバンクWebサイトより引用]。 ゲノムワイド関連解析(GWAS)か …
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 遺伝子治療は、遺伝性疾患、がん、自己免疫疾患など、これまで治療不可能であった疾患の治療に希望をもたらしてきた。しかしながら、遺伝子治療には細胞や組織特異性を持った効率的なデリバリーが必要であり、これはウイルスをベースとする送達担体のターゲティングやカー …
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 ニューヨーク州立オルバニー大学の研究チームが、CRISPR-Cas12αバイオセンサーのレポーターとして、銀のコアを取り囲むDNAテンプレートのナノクラスター(DNA-templated silver nanoclusters: DFN-1)を利用し、出力の蛍光データを解析する機械学習アルゴリズムを開発する …
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[注] NLS (nuclear localization signal/sequence) : 核局在化シグナル/配列 CRISPR-Cas9システムによって、微細藻類の遺伝子編集が容易にはなったが、Cas9のサイズが大きいでその核内への導入効率が低く、ひいては遺伝子編集頻度が低くなることから、応用が妨げられていた …
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[注] LNP (Lipide NanoParticles / 脂質ナノ粒子) 米国ペンシルベニア大学のコピー室でカタリン・カリコ博士とドリュー・ワイスマン教授が出会ったことが、2023年ノーベル賞生理・医学賞を受賞することになるCOVID-19 mRNAワクチンの端緒であった。mRNAワクチンが実現した …
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 枯草菌(Bacillus subtilis )は、リグノセルロース系バイオマスの分解に重要な産業微生物である。しかし、自然環境由来の野生型株は、セルラーゼ遺伝子の構成に本質的な欠陥が有る。中国の研究チームが今回、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を介した組換えによりその課題解決 …
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[注] CPEC: Circular Polymerization and Extension Cloning CRISPRスクリーニングを行うにあたって、市販のライブラリーに対して、カスタムCRISPRライブラリーを構築することで、より高い柔軟性と特異性を介して偽陽性を減少させ、ひいては、より洗練された二次スクリーニ …
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 分子モデリング、機械学習モデル、タンパク質化学と物理学のますます詳細な理解、コンピューターによるタンパク質設計と人間の専門知識を組み合わせることで、自然界には存在しない新しいタンパク質構造、集合体、機能を生み出すことができるようになった。現在、タンパク …
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[注] 最高人民法院(Supreme People’s Court; 日本の最高裁判所に相当);ペーパーミル(paper mills):ここでは製紙工場ではなく不正論文生産工場を意味する。出典のNature Newsでは、「ペーパーミルは、履歴書を飾るために学術雑誌の論文を欲しがる研究者に、疑わしい研 …
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 PubMedは、米国NIH傘下のNLM(National Library of Medicine: 国立図書館)の中に位置付けらているNCBI (National Center for Biotechnology Information)が構築し、無料で世界中に公開している生物医学文献データベースである。日本時間で3月2日にPubMedが一時停止し、各 …
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 卵巣癌のような固形癌に対するCAR-T細胞は、腫瘍の不均一性や腫瘍微小環境(TME)における免疫抑制による課題に直面しており、CAR-T細胞療法の有効性をさらに高める新たなアプローチが求められている。T細胞療法において、チェックポイント分子を阻害することは、疲弊を克 …
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[注] HCR(Hybridization Chain Reaction) SHERLOCKをはじめとして、RNAを標的とするCRISPR/Cas13aのトランス切断活性をベースとする様々なSARS-CoV-2検出法が、開発されてきたが、中国の研究チームは今回、標題のように新たなCas13aトランス切断活性の利用法を開発した。 …
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[注] LDLR: LDL受容体 (Low Density Lipoprotein Receptor) 家族性高コレステロール血症(FH)は約250人に1人の割合で発症する。FHのほとんどは病原性LDLR 変異体によって引き起こされ、その約10%をCNV(Copy Number Variants)が占めている。しかし、しかし、ショートリー …
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 近年、誘発された体細胞突然変異を利用して細胞の系譜を記録するように設計された分子レコーダーが開発され、動物の細胞系譜を完全に再構築できる可能性が出てきた。ここで、分子レコーダーから細胞系統樹を再構築するには、適切な再構築アルゴリズムを用いることが極めて …
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[注] トキソプラズマ・ゴンディ (Toxoplasma gondii);アピコプラスト (apicoplast; トキソプラズマやマラリア原虫などのアピコンプレクサ類に存在し、光合成機能を欠いている色素体) T. gondii タキゾイトはアピコプラスト内に少なくとも4つの代謝経路を持つ: (1)FASII経 …
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 大腸癌(CRC)は、診断数および癌関連死亡率のいずれにおいても、世界的に3番目に罹患率の高い癌である。腸内細菌叢の不均衡がCRCの進行に関与していることを示唆する証拠が増えており、糞便微生物叢はCRCのスクリーニングや診断のための潜在的なバイオマーカーとして役立 …
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 ユニークなトランス切断活性で知られるCRISPR/Cas12f1システムは、核酸検出のための有望なツールとして登場した。しかし、Cas12f1におけるガイドRNAの最適化は依然として重要な課題である。中国を主とする研究チームは今回、AlphaFold3による予測構造をベースに、ガイドRNA …
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[注] ADE療法:A シタラビン (Ara-C);D ダウノルビシン;E エトポシドリン酸塩 ADEは、50年以上にわたって小児急性骨髄性白血病(pediatric AML, pAML)患者に対する導入化学療法の標準的なバックボーンとなってきた。しかし、化学療法抵抗性は依然として大きな懸念事項で …
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 造血幹細胞(HSCs)は、健康で機能的な血液細胞を継続的に体内に供給する。造血器悪性腫瘍、免疫不全症、ライソゾーム病、ヘモグロビン異常症などの患者において、治療的ゲノム編集は、編集効率が低くても臨床的利益をもたらす可能性がある。 T細胞などの白血球のゲノム編 …
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 真菌のニューモシスチス・イロベチイ(Pneumocystis jiroveci )は、健康な人にはほとんど害を及ぼさないが、がん患者、移植患者、HIV/AIDS患者、免疫抑制剤投与中の患者など、免疫系が低下している人には生命を脅かす肺感染症(PJP;旧称 カリニ肺炎)を引き起こす可能性 …
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[注] 参考文献179件を含む二段組25頁の総説 遺伝性疾患は長い間、治療におけるブレークスルーが限られていたが、近年、遺伝子編集技術の進歩によって、遺伝子治療に新たな可能性がもたらされつつある。しかしながら、これまでのところ、遺伝子編集には、編集能力の限界や意 …
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 モノクローナル抗体(mAbs)は、実験用試薬、診断薬、治療薬など様々な用途に不可欠である。そのため、抗原特異的なmAbを安定的に作製するプラットフォーム技術がますます重要になってきている。研究チームは先行研究で、鳥類由来のB細胞株DT40を利用したmAbs作製法(ADLib …
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 Cas9を含むRNAガイド・エンドヌクレアーゼの多様化に、内包されているドメインの拡大が寄与している。しかし、その多様化がCas9遺伝子編集技術にどのような利益をもたらすかは不明である。タフツ大学の研究チームは今回、まず、サイズの大きなドメインの挿入が可能な部位を …
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[注] MITを主とする研究チームのbioRxiv 投稿 健常人および疾患患者におけるヒトゲノムの塩基配列解析の取り組みにより、がんのような疾患の素因、進行、治療成績に関連する広範な遺伝子変異(バリアント)が同定され続けている。このような研究から得られた知見は、臨床診 …
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 Cas9が哺乳類細胞のゲノムにアクセスするには、核に局在しなければならない。ほとんどのタンパク質では、核局在化シグナル(NLS)を1つ加えるだけで、核への侵入を促進するのに十分である。しかし、Cas9の核内移行には、通常、複数のNLSが付加され、そのために、効率が悪い …
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 タイプI-ECRISPR-Casシステムは、原核生物において最も広く研究されているRNA誘導型適応免疫システムの一つである。典型的なタイプI-Eシステムにおいては、サブユニットのCas3が漸進的なDNA切断を担っている [crisp_bio 2025-03-04]。一方で最近、cas3を欠失し、HNHヌクレ …
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 効果的なゲノム編集には、免疫反応、オフターゲット編集、細胞毒性を最小限に抑えつつ、標的細胞に十分な量のCRISPR-Cas9リボヌクレオタンパク質(RNP)が送達されることが必要である。現在、Cas9 RNPの臨床利用には、生体外での細胞へのエレクトロポレーションが用いられ …
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 CRISPRベースのシステムが、プール型遺伝子スクリーニングのプラットフォームとして広く採用されるようになり、BioGRID ORCSデータベース(リリース1.1.16)[crisp_bio 2020-10-23 ; 右図はリリース1.1.17のスクリーンショット]  には、1,700以上のヒトCRISPRスクリーニ …
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 デジタルPCR (dPCR)やドロップレットデジタルPCR (ddPCR) は、その高い感度と特異性で知られているが、通常、蛍光リードアウトと高価で複雑なナノウェル製造に依存しており、POC試験(POCT)には向いていない。米国の研究チームが今回、POCTに向けて、dCas9設計マイクロモ …
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