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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

 GATA転写因子(TF)は、植物において生理学的プロセスの制御に関わる様々な役割を果たしている。トマトにおけるGATA TFの大部分の機能は、未解明のままであるが、SlGATA22 は、低温ストレス条件下で発現が上昇することが明らかになった。 中国の東北農業大學の研究チーム …
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 リボヌクレアーゼH(RNase H)は、DNA複製、損傷応答、自己修復など、ゲノム安定性の維持に関与する人体に必須のリボヌクレアーゼである。中国の研究チームが今回、RNase H活性の超高感度検出を可能にするシステムを開発した。 ここでは、crRNA / DNA(CD)キメラ二本鎖プ …
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 パラログ遺伝子は、進化の過程でしばしば長期間にわたって機能的に冗長である。パラログ遺伝子は、機能は保持されているものの、配列および発現に潜在的変化を蓄積し、それがエピスタシスを介して将来の変異の影響を調節する可能性がある。 カナダの研究チームは今回、過 …
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 B型肝炎ウイルス(HBV)感染は、世界的な健康問題になっている。B型肝炎関連合併症による死亡率の上昇の一因は、HBVの診断が不十分なことにある。一方で、慢性B型肝炎の臨床管理を導くバイオマーカーとしてB型肝炎表面抗原が、その血中からの消失は機能的治癒の重要な兆候 …
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 ヒト胚編集については、複数のバイオテクノロジー業界団体と学術団体が最近、遺伝的に受け継がれるヒトゲノム編集に対して10年間のモラトリアム(一時停止)を求める声明を発表していた [crisp_bio 2025-05-18]。その中、暗号通貨取引プラットフォーム"コインベース"の創始 …
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2025-06-09 米国イエローストーン国立公園の温泉水から発見された好熱菌が, 核酸犬再¥技術のゴールデンスタンダードPCR検査に繋がった物語を「未来創造」の観点から取り上げた: NSFから支援された好奇心駆動型研究から医学生物学に必須のツールが生まれた 1964年、研究室 …
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 ガイドRNAを介した高い特異性とプログラム可能性で知られるCRISPR/Casシステムは、一塩基多型(SNP)検出において大きな可能性を示し、病原体同定、遺伝子スクリーニング、腫瘍変異解析に広く応用されている。しかし、CRISPRベースのSNP検出システムの特異性と感度の向上に …
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 クローディン18アイソフォーム2(CLDN18.2)は、胃がんまたは胃食道接合部がんにおける有望な治療標的として浮上している。自己由来のCLDN18.2特異的キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法であるサトリカブタゲン・オートロイセル/Satricabtagene autoleucel(satri-cel/サトリ …
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 真核微細藻類は、持続可能な現代バイオテクノロジーのための有望なグリーン細胞工場として着実に発展している。しかしながら、さらなる発展に対する最大の障害の一つは、遺伝子組換えされた微細藻類株における遺伝子発現レベルと安定性を著しく制限する効率的な遺伝子サイ …
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 遺伝子編集による遺伝性疾患の治療における大きな課題は、生体内において、大型の編集ツールを安全かつ効率的に送達することである。脂質ナノ粒子(LNP)は、免疫原性が低く、送達効率が高いことから、非ウイルスベクターとして期待されている。 LNPを介した遺伝子編集に …
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 触媒活性を失活させたCas9 (dCas9やCas9nベースのBEはCas9ヌクレアーゼに伴うDNA二重鎖切断(DSB)を回避しつつ標的ヌクレオチドを直接変換することを可能にするため、ヒトゲノムに点突然変異を誘発する強力なツールとなり、その臨床応用研究も広がっている。しかし、がん …
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2025-06-07 米国FDAがYolTech Therapeutics社のヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(HeFH)の治療を目的とした生体内塩基編集治療候補薬YOLT-101の新薬臨床試験開始申請( Investigational New Drug Application: IND)を承認した.[出典] Press Release "YolTech Therap …
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2025-06-07 ブログ記事タイトルを「デュアルSORT LNPを介して, 塩基エディターによりAATD変異を肝臓と肺にて選択的かつ同時に修復」から「Dual SORT LNP: 肝臓と肺の双方に治療用塩基エディターを同時送達する二重選択的臓器標的脂質ナノ粒子」に改訂2025-06-04 初稿 アル …
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 近年、カンジダ・グラブラータやカンジダ・トロピカリスなどの非アルビカンスカンジダ(non-albicans Candida: NAC)種による感染症の発生率が増加している。さらに、多剤耐性酵母であるカンジダ・アウリスは、世界的な健康に対する深刻な脅威となっている。 千葉大学の研 …
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[注] GM作物 (Genetically Modified Organisms: GMOs); GE作物 (Genome-Edited Crops) GM/GE作物内のトランスジーンは、次世代シーケンシング技術を用いた全ゲノムシーケンス(WGS)によって可能ではあるが、大量のシーケンスデータを必要とすることから、有用性が損なわれ …
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 RNA誘導CRISPR-Cas9システムはゲノム編集分野に革命をもたらし、幅広い用途において比類のないプログラム可能性と効率性を示している。Streptococcus pyogenes 由来のタイプII-A Cas9(SpCas9)は、その強力な活性から最も広く利用されているシステムである。しかし、SpCa …
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 CRISPRシステムに基づくゲノム編集技術の中でも、DNAドナーを介した相同組み換え修復(HDR)は精密ゲノム編集の有望な手法であるが、編集効率に課題があった。中国の研究チームは今回、HDRを介したアプローチを再評価する観点から、この総説を用意した。HDRを介した精密ゲ …
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 CRISPR-Casシステムは、現代生物学に革命をもたらした。バイオテクノロジー応用に用いられるCRISPR-Casシステムのほとんどは培養細菌由来だが、環境微生物叢には未開発の多様なこれらのシステムが潜在していることが示唆されている。しかしながら、海洋におけるCRISPR-Cas …
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- 脱ユビキチン化酵素USP5の病的なミスセンス変異が, 痛みに対する無感覚を引き起こす Cav3.2 T型カルシウムチャネルと、脱ユビキチン化酵素USP5によるその調節異常は、炎症性疼痛および神経障害性疼痛の発症に寄与している。カナダのカルガリー大学を主とする研究チームは …
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 垂直農法 (Vertical farming) [右図参照]には、気候変動などの悪条件から植物を保護し、安定した栽培環境を提供するという利点があるが、トマト(Solanum lycopersicum)のような果実を収穫する植物の場合、垂直農法では植物の成長と構造の最適化が不可欠である。 ジベレ …
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 がん治療薬の創薬・開発における人工知能(AI)の役割は、従来、時間と費用のかかる新規治療法の市場投入プロセスを変革する可能性を秘めていることから、大きな注目を集めている。機械学習(ML)やディープラーニング(DL)などのAI技術は、膨大なデータセットの効率的な …
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 生物発光モニタリング技術は、概日時計を含む様々な生物調節機構の解明に貢献してきた。植物科学においては、これらの技術を利用して、遺伝子発現の挙動を、長期的にわたって定量的に解析することが、行われている。パーティクルガン法を介したルシフェラーゼ・レポーター …
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 低分子の検出は、臨床診断、環境モニタリング、食品安全といった分野において極めて重要である。CRISPR-Cas12aバイオセンサーは、その簡便性と感度で知られており、低分子検出の有望な基盤を提供する。しかしながら、現在のCRISPRベースの検出法は、複雑な設計要件、高いバ …
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 レンチウイルスベクター(LV)を介した造血幹・前駆細胞(HSPC)に対する体外遺伝子治療は、いくつかの遺伝性疾患に対する単回治療を実現してきた。しかし、効果的な造血再構成を確実にするために十分な機能的なHSPCを採取、操作、保存する必要があること、細胞注入前の厳 …
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 細胞を用いた胚モデル(Stem cell-based embryo models: SEMs)は、初期ヒト胚発生に関する理解を根本から変える可能性を秘めている。SEM作製において重要なのは、着床前胚を構成する主要な細胞種を作製するステップである。これらの細胞種には、主に2つの胚体外細胞系譜が …
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 遺伝子治療の研究開発はこの数十年にわたり活発に行われてきたが、その間、メッセンジャーRNA(mRNA)は安定性、免疫原性、そして送達における課題から、治療への応用には不向きと考えられてきた。 ユトレヒトとロッテルダムを拠点とする研究者たちは今回、mRNA COVID-19 …
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 皮膚扁平上皮癌(cutaneous Squamous Cell Carcinoma: cSCC)は、世界中の皮膚癌による死亡率全体の20%を占め、皮膚癌の中で2番目に多いサブタイプである。これまでにcSCCの増殖におけるいくつかの重要な因子が明らかにされてきたが、非コードRNA、特に長鎖非コードRNA(l …
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- 台湾の大学と日本の農研機構の共同研究からアズキ栽培アズキの祖先とされている野生種のヤブツルアズキは種皮が黒味を帯びているが、栽培アズキは遺伝子の突然変異で赤くなる。これまで野生個体群はヒマラヤ山脈付近に起源を持ち、中国中部および日本に自然拡散したとされ …
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 エピゲノム修飾H3K9me3の維持には、HP1による既存の修飾の認識が関与している。HP1がメチル基転移酵素SUV39H1をリクルートし、新たに組み込まれた隣接するヒストンをメチル化することで、正のフィードバックループを形成する。しかし、この正のフィードバックがどのようにH …
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[注] TropD-Detector(Tropical Diseases Detector) シャーガス病(アメリカトリパノソーマ病; サシガメ病)は、世界中に分布する人獣共通感染症で、寄生虫Trypanosoma cruzi によって引き起こされ、主に、感染したサシガメの糞便を介して伝播する。新たな症例が出現して …
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 土壌の塩類化が、作物の収穫量に影響を及ぼす大きな脅威として浮上している。地球温暖化は、大量の陸水喪失につながり、土壌の塩分濃度を高めるからである。こうした塩類化土壌を攻略する主要な戦略が、耐塩性作物の作出・栽培である。 Sea Rice 86(SR86)は、古代インデ …
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 CRISPR-Casシステムによる診断法は、その高い感度と特異性で知られているが、単一標的ではなく、複数の標的を多重検出することが、信頼性と決定的な疾患診断に不可欠である。しかし、CRISPR/Casシステムの多重化には、非特異的な無秩序なトランス切断によって特定の標的か …
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 ウイルス感染に重要な宿主因子を解析し、その作用機序を理解することは、創薬標的の同定に不可欠である。中国科学院微生物研究所と中国医学科学院苏州系统医学研究所を主とする中国の研究チームは今回、ゲノムワイドCRISPR塩基編集スクリーニング [*]を用いて、インフルエ …
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 SWI/SNF(またはBAF)複合体は必須なATP依存性クロマチンリモデリング因子の一つであり、がんや神経発達障害において頻繁に変異する。これらは多くの場合ヘテロ接合性機能喪失変異であり、SWI/SNFサブユニットの量感受性(dosage-sensitive)を示唆している。しかし、複合 …
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1. グラスファイバー上のCRISPR-Cas12a免疫センシングを介して変形性関節症の多重な炎症バイオマーカーのポイントオブケア定量化を実現 ポイントオブケア(POC)におけるサイトカインおよび炎症因子の検出による炎症定量化は、疾患の管理と予防に不可欠である。変形性関節症 …
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 CRISPR編集の結果を高感度で正確に検出・定量することは、植物における新しいゲノム編集アプリケーションの開発に不可欠である。これは、一過性発現をベースとするアプローチから異種集団を解析する場合や、植物体内のガイドRNA(gRNA)の性能評価を行う場合に特に重要です …
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