crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 細胞傷害性CD8+T細胞の発生、分化、および機能を制御するメカニズムを完全に解明することで、より優れた腫瘍免疫療法の開発への道が開ける。しかし、その活性は、自身のPD-1発現に腫瘍細胞や感染細胞表面のPD-L1/PD-L2が結合する免疫チェックポイント機構によって、抑制さ …
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2026-04-04 Sana Biotechnology社による「14ヶ月にわたるフォローアップ結果」のプレス発表 (2026-03-13) を以下に引用し、ブログ記事タイトルを「1型糖尿病患者に移植した低免疫化膵島細胞が, 免疫抑制剤を使用することなく安全に定着し, インスリンを分泌し始めた」から …
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 CARMENは、2020年にブロード研究所の中核メンバーであったPaul C. Baliney博士とPardis C. Sabeti博士が共同責任著者のNature 誌刊行論文にて紹介された「Leptotrichia wadei Cas13aをベースとして、鼻腔サンプルから新型コロナウイルスを含むウイルス170種類の判定を可能 …
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 アルツハイマー病(AD)は、世界中で数百万人が罹患する神経変性疾患であるが、早期に発見し治療を開始することで、症状の進行を遅らせ、ひいては、長期間にわたりQOLを維持することが可能なことが、明らかになっている。しかし、神経組織へのアクセスが困難なため、初期の …
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 ミトコンドリアは、細胞核によって厳密に制御されている独自のゲノム、ミトコンドリアDNA(mtDNA)を有している。mtDNAは細胞あたり多数のコピーで存在し、変異はしばしばその一部にのみ影響を及ぼし、ヘテロプラスミー [*]に至る。mtDNAのコピー数とヘテロプラスミーのレ …
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 タイプIII CRISPRシステムは、ウイルスに対する適応免疫応答において、ウイルスRNAを検出すると二次情報伝達分子として機能する環状オリゴアデニル酸(cOA、3~6個のAMP)メッセンジャーを生成することで下流のエフェクターを活性化するという独特の機構を備えている。 タ …
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[注] 遊離アスパラギンは、日常的なパン作り、揚げ物、トーストなどの調理過程で生成される、毒性があり発がん性も疑われる化合物であるアクリルアミドに変換される。食品中のアクリルアミドに対して日本国内では法的な基準値は設定されていないが、EUでは食品中のアクリルア …
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 Editas社が臨床試験を進めていたEDIT-301/ren-cel(正式名称 renizgamglogene autogedtemcel;以下、レニセル)はAsCas12aバリアントをベースとする塩基エディターであり、SCDとTDTの治療を目指して、HBG1およびHBG2プロモーター領域のBCL11A結合部位を破壊することで、胎 …
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 複雑な形質の発生には、複数の遺伝子ネットワークの協調的な相互作用が不可欠である。遺伝子発現を制御するシス調節エレメント(CRE)の機能を解明することは、複雑な制御経路を理解し、マクロ表現型を改変する能力を向上させる上で極めて重要である。従来のバルクシーケン …
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 胆管癌(cholangiocarcinoma:CCA)は予後不良の肝臓癌の一種である。CCAの15~40%に KRAS 遺伝子変異が認められ、新たな治療標的として期待されている。しかし、KRAS阻害がCCAの腫瘍退縮につながるかどうかは、条件付き動物モデルが不足していることもあり、これまで不 …
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背景 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染しながらも長期間無症状で経過している長期間未発症者から分離されたHIVに対する広域中和抗体(Broadly neutralizing antibodies:bnAb)は、多様なHIV-1株に対する免疫防御を提供できる。このことは、非ヒト霊長類(NHP)モデルおよ …
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 遺伝子のシス調節領域編集による非遺伝子組み換え作物(非GMO)の改良は、活性化アレルが希少であることやプロモーターのマップが不完全であることによって制限されている。カリフォルニア大学バークレー校 David F. Savage教授 が率いる研究チームは今回、新たに開発し …
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 成人における最も一般的な眼の癌であるぶどう膜黒色腫は、外科手術と放射線療法に頼らざるを得ない状況にあり、50年以上もの間、生存率は改善されていません。この治療上の行き詰まりを打開するため、スタンフォード大学のLei S. Qi准教授が率いる研究チームは、公開されて …
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 CRISPRヌクレアーゼによる遺伝子ノックアウトは、機能ゲノミクスに画期的なツールを提供したが、sgRNAが必ずしも最適ではないこと、アクセス困難な標的部位が存在すること、望ましくない修復結果を伴うこと、といった問題によって、その威力には限界がある。 この限界を超 …
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 CRISPR/Cas9によって誘導されるDSB(DNA二本鎖切断)は多様な修復結果を引き起こすが、修復結果を制御する動的な制御ネットワークは依然として十分に解明されていない。華南理工大学のLichen Huang教授とHongli Du教授、ならびに武漢大学のDongchao Huang院生が共同で率い …
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 パーキンソン病やその他のシヌクレイン病では、αシヌクレイン(αSyn)がミスフォールディングを起こし、Ser129リン酸化凝集体(pSyn129)を形成するが、この過程を制御する因子はほとんど解明されていない。イタリアのInstitute for the Science of the Aging Brain所属 …
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 華中農業大学を主とする中国の研究チームが、CRISPR/Cas9遺伝子編集システムを持つワタの供与品種(遺伝子型 Jin668)と再生が難しいワタの受容品種との間で有性交雑を行い、遺伝子型に依存しない形質転換再生を実現した。これにより、複数のワタの品種間で異なる編集シス …
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2026-04-01 先行論文(2023年 Molecular Cell 誌刊行論文)のcrisp_bio紹介記事へのリンクを文末に追記2026-03-27 2026年3月のNature 誌刊行論文に準拠した初稿 今回紹介するNature 誌刊行論文の共同責任著者の一人であるインペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のDavid …
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 米国特許庁の審判部は、ノーベル賞受賞者のジェニファー・ダウドナ氏とエマニュエル・シャルパンティエ氏に対し、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の共同事業であるブロード研究所との間で争われていた、遺伝子編集技術の基盤となるCRISPRの特許権をめぐる訴訟で …
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- 新たな品種の開発と気候変動への対応も 柑橘類の苦味はフラバノンネオヘスペリドシドによってもたらされ、その蓄積は葉と果実の両方で発現する単一の酵素フラバノン-7-O-グルコシド-1,2-ラムノシルトランスフェラーゼ(1,2RhaT)によって触媒される。 イスラエルの農業 …
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 DNA切断活性を不活性化したCRISPR関連タンパク質(Cas)をベースとするエピゲノム編集は、ゲノムを改変することなく遺伝子発現を精密にプログラム可能とすることから、より安全なヒト疾患の治療への展開が期待されている。北京大学のKuanhui Xiang助教授、Lin Bai教授 並 …
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 CRISPR-Casヌクレアーゼによる治療および研究への展開は、特定のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)への依存によって制約を受けており、ゲノム内のアクセス可能な部位が制限されている。CRISPRーCas9システムについては、ほぼPAMレスなバリアント [crisp_bio 2024-05-05] …
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 ベルズチファン(商品名 ウェリレグ)などのHIF-2α阻害剤に対する耐性は、淡明細胞腎細胞癌(clear cell renal cell carcinoma:ccRCC)におけるHIF-2αの転写制御機構をより深く理解する必要性を示している。テキサス大学サウスウェスタン医療センターのQing Zhang教授が …
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 その標的核酸切断活性(シス切断活性)をベースとして遺伝子編集技術を革新したCRISPRシステムは、Cas12, Cas13, Cas14 (Cas 12f) それにCas9のトランス切断活性の発見によって、分子診断技術にも革新をもたらした。CRISPR/Casに等温核酸増幅法( Isothermal nucleic acid …
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 CAR-T細胞療法は、血液悪性腫瘍の治療に革命をもたらした。しかしながら、その効用は、抗原の不均一性や免疫逃避、免疫抑制的な腫瘍微小環境、および持続性の限界によって依然として制約されている。 CRISPR/Casシステムを用いたゲノム改変は、CAR-T細胞を再プログラムす …
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 NK細胞とT細胞は、固形腫瘍を根絶するために腫瘍に浸潤する必要がある。スタンフォード大学のLivnat Jerby助教授が率いる研究チームは今回、代謝物感知受容体を用いてNK細胞とT細胞を固形腫瘍に動員できるプログラム可能なメカニズムをNature Immunology 誌刊行論文で紹介 …
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- Broad Institute of MIT and HarvardのGenetic Perturbation Platformを率いるJohn Doench博士を責任著者とするCell Genomics 誌刊行論文から ハイコンテントイメージングやscRNS-seqを読み出しとするPerturb-seqのような高次元CRISPRスクリーニング解析法の継続的な開発 …
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 iPS細胞由来の興奮性ニューロンを用いたCRISPR-Cas9タイリング欠失スクリーニングにより [Figure 1引用右図 a 参照]、量感受性神経精神疾患リスク遺伝子である APP、FMR1、MECP2、およびSIN3A の4つの遺伝子において、39個の機能的エンハンサーが同定された。SIN3A にお …
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 今回紹介するNature Structural & Molecular Biology 誌刊行論文の共同責任著者の一人シンガポール国立大学のChunyi Hu助教授は、コーネル大学Ailong Ke研究室のポストドクとして、IscB*-ωRNAのR-ループを介して標的DNAに結合している構造をクライオ電顕法により再構成し …
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 原核生物の適応免疫を研究するには、CRISPRアレイの正確な同定が不可欠である。しかし、既存のツールはショートリードシーケンスデータや縮重リピートを含むアレイの処理に難があることから、特に、メタゲノムデータセットや断片化されたゲノムデータセットにおけるCRISPR …
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 核様体関連タンパク質(nucleoid-associated proteins:NAP)は、細菌における染色体構造、機能、および遺伝子発現調節の主要な構成要素である。結核菌(Mycobacterium tuberculosis、Mtb)は限られた数のNAPをコードしており、その中でもHU(Mt HU)は結核菌にとって必須 …
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[背景] ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロウイルスDNAの持続的な存在が、ウイルス根絶における大きな障壁となっている。抗レトロウイルス療法(ART)はウイルス複製を効果的に抑制するものの、宿主ゲノムに組み込まれた潜伏ウイルスリザーバーを根絶するには至っていない。リ …
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 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィンの欠損によって引き起こされる致死的な神経筋疾患である。ジストロフィンのパラログであるユートロフィンの発現亢進は、有望な遺伝子治療アプローチである。The Fancis Crick Instituteのグループリーダーでもある …
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2026-03-29 原著論文著者らによる論文紹介である"Research Briefing"記事を引用: 原著論文共著者のRong ZhengとLijia Maによるサマリーと専門家と編集者からのコメントの中から”Behind the paper"のセクションを紹介:以前発表されたSuperFi-Cas93の合理的な設計には魅了 …
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課題 CD8+ T細胞は、腫瘍やウイルスに対する主要な防御を担っている。しかし、癌などの慢性疾患では、これらの細胞はしばしば癌細胞を殺傷する能力を失う「終末期疲弊/terminal exhaustion」状態に陥る(TEX)。一方、組織常在記憶 (tissue-resident memory) T細胞(T …
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 BioNTech社を主とする研究チームが、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の手術後に、術前または術後補助療法を受けたTNBC患者14名を対象に 、個別化ネオアンチゲンmRNAワクチン接種の結果を Nature 誌刊行論文から紹介している。 TNBCは、疾患の初期段階であっても再発や …
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[注] TIGER:Template-Independent Genome Editing for Restoration (修復用テンプレートを必要としない変異修復ゲノム編集法) フレームシフト変異はメンデル遺伝性疾患の20%以上を占めており、治療上の大きな課題となっている。精華大学やChinese Institute for Brain Rese …
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[注] POLR3A 遺伝子は、RNAポリメラーゼIII(Pol III)を構成するサブユニットで最大のRPC1をコードしており, その変異は、Pol III関連白質ジストロフィーを代表とする先天性大脳白質形成不全症に紐づけられている。また、POLR3A 遺伝子には80を超えるミスセンス変異が知ら …
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 ファンコニ貧血(Fanconi Anemia: FA)は、FA DNA修復経路の遺伝子の変異によって引き起こされる稀な潜性遺伝疾患である。そのサブタイプの中でも、FA相補群C(FANCC)は特に重篤な血液学的および発達上の症状を伴う。FA患者由来の自己造血幹細胞/前駆細胞(HSPC)を標的 …
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