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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

 Hao Wu CSOが率いるFull Circles Therapeuticsの研究チームは、先行研究で、最大約20キロベースまでの環状一本鎖DNA(cssDNA)をドナーテンプレートとして、高効率かつ精密な遺伝子導入を可能にする非ウイルス性のゲノム工学触媒(genome engineering catalyst: GATALYST) …
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 CBE因子は、DNA切断部の向かい側にU•Gミスマッチを持つ中間体を用いることで、プログラム可能で効率的なゲノム編集を可能にする。この中間体は、C•GからT•Aへの点突然変異とC•GからG•Cへの点突然変異という2つの主要な結果を促進するが、どのDNA修復因子が関与してい …
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 scRNA-seqデータ解析では、臓器の形質やサンプルの品質が原因で、非可変RNAの高発現に関連する問題がしばしば発生づる。SoupX [Young & Behjati (Gigascience 2020)] などの計算手法がこの問題を解決するために使用されてきたが、生物学的に重要なデータが除去されるリスク …
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 FUS(fused in sarcoma)およびTARDBP(TAR DNA-binding protein of 43 kDaをコードする遺伝子)の変異は筋萎縮性側索硬化症(ALS)を引き起こすが、選択的な運動ニューロン変性の正確なメカニズムは未解明である。 スウェーデンと英国の研究者らは今回、発症メカニズムが …
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 チューリッヒを拠点とする一連の研究者に, 米国フィラデルフィアとバンクーバーを拠点とする研究者が加わったチームが、プライムエディター(PE)の発現を時間的に制限した肝臓特異的なプライム編集の手法を開発した。 研究チームはまず、PEのガイドRNA(pegRNA)をアデノ …
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 南京大学と南京大学医学院の研究チームが、腫瘍微小環境における活性酸素種の増加を自己推進の燃料として利用するROS駆動ナノモーター(ROS-Driven Nanomotors: RDN)を開発することで、悪性腫瘍の発生と進行を促進する乳酸脱水素酵素A(LDHA)を標的とするCRISPR-Cas9プラ …
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 遺伝子重複とそれに続く配列多様化は、ゲノム進化における革新の重要な推進力である。ゲノム工学においてこのプロセスを模倣するには、重複遺伝子の1コピーを選択的に変異させる領域限定変異誘発法が必要である。 一方で、DNA二本鎖切断(DSB)を挟む領域は末端切断によっ …
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 アグロバクテリウムによる植物形質転換は、主にC58とAch5という2つの異なる系統に依存している。ジョージア大学の研究チームは、植物形質転換の改良を目指して、これまでに、C58誘導体EHA105、GV3101::pMP90、およびAch5誘導体LBA4404の栄養要求性および栄養要求性組換え欠 …
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 びまん性正中神経膠腫(Diffuse Midline Glioma: DMG)は、主にヒストンH3遺伝子のK27M変異(H3K27M)を特徴とする致死的な小児脳腫瘍である。H3K27Mは、ポリコーム抑制複合体2(PRC2)を介したH3K27トリメチル化(H3K27me3)の全体的な減少を引き起こし、主良用増殖を促す …
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 分化過程における幹細胞クローンの追跡に用いられる現在の手法は、遺伝子工学を必要とするか、または希薄な体細胞DNA 変異に依存しており、その適用範囲が限られている。スペインに独・米・英が加わった研究チームは今回、CpG 部位のサブセットにおける DNA メチル化が細胞 …
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 ヒト遺伝性ゲノム編集(ヒト胚ゲノム)をめぐる倫理的問題は、2015年以降に開催された一連の国際サミットで議論されてきた。ダルハウジー大学(カナダ)の生命倫理学者Françoise Baylis卓越研究教授が今回、、ワシントンD.C.(2015年)、香港(2018年)、および、ロンドン …
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 感染症は、水痘帯状疱疹後の帯状疱疹や、連鎖球菌感染後のリウマチ熱など、持続的な症状や疾患を引き起こす可能性がある。同様に、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染は、典型的には疲労、肺症状、認知機能障害として現れるロングCOVID(long coronavi …
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 光合成シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803は、CO2固定と化合物のバイオプロダクションを同時に実現する有望な持続可能なソリューションを提供する。事実、シネコシスティスを利用して異種産物が合成されている。しかし、適用可能な遺伝子ツールが限られていたこと …
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 CRISPR 塩基編集ツールは、スケーラブルな標的DNAにおける変異誘発を可能にし、遺伝子機能の解釈、意義不明の変異体の研究、疾患モデル化のための強力なツールである。しかし、塩基編集因子を標的へ効率よくかつ正確に誘導するガイドRNA(gRNA)の設計が課題である。 既存 …
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 哺乳類の核は、多様な核内構造によって区画化されている。核小体やヒストン修飾によって特徴づけられるこれらの核内構造は、多くの場合細胞タイプに特異的であり、遺伝子調節や 3D ゲノム構成に影響を及ぼす。それらの関係性を理解するには、核内構造の分子構成要素を同定 …
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[注] CRISPR-TO(CRISPR-mediated Transcriptome Organization / CRISPRを介したトランスクリプトームの組織化) 体内のニューロンが損傷を受けると、RNAの一部が損傷の修復を助けるタンパク質を生成する。しかし、筋萎縮性側索硬化(ALS)や脊髄性筋萎縮症(SMA)などの神 …
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 真核生物のトランスポゾンにコードされるFanzorタンパク質は、そのコンパクトなサイズとTnpBとの機構的類似性から、ゲノム工学への応用に大きな期待が寄せられている。しかしながら、未改変のFanzorシステムは哺乳類細胞において極めて低い活性しか示さない。 中国の研究 …
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 CRISPR/Cas9リボ核タンパク質(RNP)の送達は、その巨大さ、不安定性、そしてオフターゲット効果のために依然として重大な課題となっている。中国の研究チームは、がん標的へのCRISPR/Cas9 RNP送達用に設計された刺激応答性カチオン性両親媒性ペプチド(CR3)3Cを報告する。 …
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 CASTは、二本鎖切断(DSB)を誘導することなくRNA誘導DNA挿入を可能にする、新たなゲノム編集ツールである。CRISPR関連ヌクレアーゼ(Cas)とは異なり、CASTはトランスポゾン機構を用いて大きなDNA断片を高精度に挿入することで、オフターゲット効果を低減し、DNA損傷応答 …
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 CRISPR/Cas9ツールボックスは強力なゲノム編集機能を備えているが、Cas9-sgRNA RNP複合体の送達は、その免疫原性、サイズ、そして全体的な負電荷のために依然として困難である。これらの制約を克服するアプローチとして、細胞外小胞(EV)を細胞内に送達する媒体として利用 …
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[注] 中華人民共和国農業農村部 (概ね日本の農林水産省相当), 中国科学院、中国農業科学院, および上海市農業科学院傘下の一連の研究所に、河南大学と南京農業大学が加わったチームによる総説 [右図は、"Fig. 1 中国でバイオセーフティ認証を受けた承認済みの農業用遺伝子組 …
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 塩基編集は遺伝情報の精密な改変を可能にし、疾患治療の新たな道を開いた [*1]。一連の塩基編集酵素の中のABE8eは現在、最も効率的で広く使用されているアデニン塩基編集ツールである。ABE8eは、nCas9をベースに、大腸菌tRNAアデニンデアミナーゼから、を含む複数回の指向 …
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 単一細胞RNA-seq(scRNA-seq)は、豊富かつ遍在する転写産物が蔓延しているため、個々の細胞内の転写産物の細胞内での異質性を捉えることが困難であり、数桁低いレベルで発現している生物学的に異なる転写産物の検出が不明瞭になる可能性がある。この課題に対処するために …
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 ユトレヒト大学の研究チームはこれまでに、両親媒性膜透過性ペプチド(CPP)の一種であるLAH5が、Cas9 RNPのデリバリーに有効であることを、報告してきた [*]。今回は、これまでに報告されているCas9 RNP輸送体について、一連の新規脂肪酸修飾型を試験し、その特性を比較 …
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 大動脈壁の主要な細胞種である血管平滑筋細胞(vSMC)は、大動脈の完全性、血圧、および心血管機能の維持に重要な役割を果たしている。vSMCの収縮性と機能は、平滑筋α-アクチン2(ACTA2 )に依存している。病原性変異ACTA2 c.536G>A (p. R179H)は、広範囲にわたる平滑筋 …
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 低分子に代わって、mRNA、siRNA、遺伝子編集リボ核タンパク質(RNP)などの高分子薬剤がその潜在能力を最大限に発揮するには、そうした薬剤を標的細胞の細胞質へ効率的に輸送できる送達システムが不可欠である。しかし、既存のウイルス性および非ウイルス性のプラットフォ …
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 がんにおける遺伝子変異とDNA修復機構の障害は、腫瘍の進行を促進するだけでなく、化学療法剤、特にシスプラチンの有効性を低下させる。薬剤耐性を克服するに有望な戦略の一つが併用療法である。また、比較バイオインフォマティクスと実験的アプローチを統合した包括的なト …
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 DMDはジストロフィンをコードするDMD 遺伝子の変異によって引き起こされる致死性のX連鎖性潜性疾患である。DMDによく見られる数千種類の変異の中で特に高頻度は変異の一つであるエクソン52の欠失(Δ52)はエクソン53に未成熟終止コドンを誘導し、機能的なジストロフィン …
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 CRISPR-CasヌクレアーゼはCas9とCas12aを筆頭に、需要が高まり続けている。しかし、これまでのアフィニティータグ、免疫アフィニティー、イオン交換クロマトグラフィーといったCas精製法では、臨床現場やバイオテクノロジー産業の需要を満たす生産性や純度が得られていない …
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 厦門大学の研究チームは、CRISPR-Cas12aバイオセンサーの性能向上を目指して、ガイドRNA(crRNA)のスペーサー領域を分割するタイプのスプリット型crRNAを設計し、スペーサー分割crRNA活性化Cas12aシステム(SPacer-split crRNA-activated Cas12a system: SPCas12a)を構築 …
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 相同組換え(Homologous recombination: HR)とミスマッチ修復(mismatch repair: MMR)はヒトゲノムの守護者として機能し、HRまたはMMRの欠陥は悪性腫瘍の少なくとも4分の1の原因になっている。これらのDNA修復家庭が不全な腫瘍は効果的な標的治療の対象となるものの、機 …
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2025-05-22 Nature Biotechnology 誌刊行論文としての書誌情報とアブストラクトとイントロダクションの一部を追記し、ブログ記事タイトルを「関心のあるクローンを, DNAバーコーディングと塩基エディターを介して, 単離する法'CloneSelect'」から「CloneSelect: 生物種を問 …
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 固形腫瘍に対するキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法は、標的外での腫瘍外毒性、T細胞疲弊、T細胞の持続性の限界といった課題に直面している。南カリフォルニア大学/UCSDのYingxiao Wang教授が率いる研究チームは今回、ライブラリからスクリーニングした超高感度熱ショック …
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 プラスチック廃棄物は地球規模で環境を脅かし、広く使用されているポリアミドであるナイロンが、繊維、自動車部品、包装材など幅広く利用されていることから、その主因の一つになっている。ナイロンのライフサイクル終了後の分解では、1,6-ヘキサメチレンジアミン(hexamet …
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 神経栄養性JCポリオーマウイルス(JCV)は、進行性多巣性白質脳症(Progressive Multifocal Leukoencephalopathy: PML)を引き起こす。大半の成人はJCウイルスに感染しているが、この病気を発症せず、免疫機能が低下している人で発症する [MSDマニュアルから引用]。 これ …
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 原核生物におけるバクテリオファージに対する適応免疫機構であるCRISPR-Casシステムは、標的核酸配列を認識し切断するための汎用的なツールとして開発されてきた。韓国の研究チームは今回、CRISPR-Cas12aを溶原性のλファージのゲノムに組み込むことで、大腸菌における溶原 …
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