これまでリボヌクレアーゼ(RNase)として認識されてきたCas13aは、主にRNA検出に用いられてきた。深圳大学化学環境工学部の研究チームは今回、Leptotrichia buccalis Cas13a(LbuCas13a)が、プロトスペーサーの隣接配列やプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)やプロトス …
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Perturb-seqを介して, ヒト多能性幹細胞のナイーブ型とプライム型を制御する遺伝子制御ネットワークを同定
- ヘブライ大学のNissim Benvenisty教授と院生のGraduate students氏のCell Reports 誌刊行論文から ヒト多能性幹細胞(hPSC)は、無限に自己複製し、3つの胚葉すべてに分化することができる。研究チームは以前、ゲノムワイドCRISPRスクリーニングを用いてhPSCの必須遺伝子 …
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肺を標的とする高効率で選択的な遺伝子の送達と編集のための「三脚型」脂質ナノ粒子
- UT サウスウェスタン・メディカル・センターのDaniel J. Siegwart教授が率いる研究チームのNature Biomedical Engineering誌刊行論文から 肺標的(lung-targeting delivery)送達システムの開発は、遺伝性呼吸器疾患、感染症、線維症、癌などの肺疾患の治療に不可欠である …
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ゲノムワイドCRISPRスクリーニングにより, Rループ関連DNA損傷を抑制するEXO1-CAF-1経路を同定
- ペンシルベニア州立大学医学部のGeorge-Lucian Moldovan教授が率いる研究チームのNAR誌刊行論文から EXO1は5'–3'活性を持つエキソヌクレアーゼであり、複数のDNA修復プロセスに関与し、一般的にDNA損傷のエキソヌクレアーゼ処理に関与している。EXO1は二本鎖DNA切断(DSB …
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[20260323更新] タイプII-C CRISPRシステムのCas9ヌクレアーゼは, 自己制御機構を備えている - 免疫記憶の量を感知し, スペーサーの獲得を制御する
2026-03-23 コロンビア大学のSamuel H. Sternberg准教授と院生のFrances Y Tsaiによる「記憶のオンデマンド化:RNA非結合型Cas9がCRISPR免疫を活性化する仕組み」と題したハイライト記事がTrends in Biochemical Sciences 誌から刊行された。 細菌やアーケアは、そのCRISP …
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生体内ゲノムエディターDualase®を開発したカナダのSpecific Biologics社, ウエスタン大学と共同で, Dualase®のための機械学習対応予測プラットフォームの開発に向かう
- Genome CanadaおよびOntario Genomicsのゲノムアプリケーションパートナーシッププログラム(Genomic Applications Partnership Program:GAPP)から総額180万カナダドルを超える助成金を獲得 この計算プラットフォームの研究開発は、Specific Biologics社(以下、Specifi …
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crRNAを細胞内在RNaseから保護することで, Cas12aバイオセンサーの感度向上を実現
Cas12aバイオセンサーは高精度かつ迅速な核酸認識を可能にしたが、ガイドRNA(crRNA)に固有の不安定性が、実用化における堅牢性と感度を制限している。重慶医科大学の研究チームが今回、細胞内在RNaseによるcrRNA分解を抑制する、簡便かつ汎用性の高い強化戦略を提案して …
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ヒト腸管内の細菌とファージのゲノム解析から, ファージ由来の抗CRISPRタンパク質の更なる多様性が見えてきた
ファージは、細菌のCRISPR-Casシステムに対抗するために、多様な抗CRISPR (anti-CRISPR) タンパク質(以下、Acr)をコードしている。Acrは様々な環境生態系で発見され特徴づけられてきたが、比類のない微生物の複雑さ、極めて多様な細菌-ファージ相互作用、そして溶原性フ …
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Cas9遺伝子を導入したピレスロイド耐性ネッタイシマカ株を樹立し, 殺虫剤耐性に関連する遺伝子の精密な機能解析を実現
[注] ピレスロイドは除虫菊に含まれる殺虫成分の総称であり、哺乳類や鳥類に対して、あまり毒性を発揮せずに、昆虫などには強い毒性を発揮するという選択毒性を有する [Wikipediaより] これまでに、トランスクリプトーム解析によって、ネッタイシマカにおいて殺虫剤耐性に関 …
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コーヒーブレイク:2026年3月22日の投稿は図らずもABEづくしに
[注] ABE(アデニン塩基エディター)復帰変異を介して, ABE7.10からABE8eとABE8.20に優るME-ABEに到達. LNP-ABEによる塩基編集の精度はsgRNAの量に左右される. タンパク質ノックアウト実験に向けたアデニン塩基エディター (ABE):設計から解析までの実践ガイドとMultiEditR …
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[20260313更新] ABEをベースとする生体内塩基編集によるα1-アンチトリプシン欠乏症 (AATD) の治療可能性 - YolTech Therapeutics社プレス発表
2026-03-22 YolTech社のプレスリリース (2026-03-13) に準拠した更新 米国FDAは2026年3月13日、α-1アンチトリプシン欠乏症(Alpha-1 Antitrypsin Deficiency:AATD )治療薬として開発中の生体内塩基編集療法YOLT-202の治験薬申請(IND)を承認した。この承認を受けてYolTe …
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タンパク質ノックアウト実験に向けたアデニン塩基エディター (ABE):設計から解析までの実践ガイドとMultiEditRbatch最新版の紹介
ミネソタ大学Branden Moriarity准教授が率いる米国の研究チームが今回、これまで広く利用されてきたCRISPR-Cas9をベースにした遺伝子ノックアウト実験に替わる、ABEを用いた高効率遺伝子ノックアウトを実現するための包括的かつユーアーフレンドリーなワークフローを、Mole …
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LNP-ABEによる塩基編集の精度はsgRNAの量に左右される
[注] LNP-ABEは, ABEを脂質ナノ粒子 (LNP)で送達するABEを意味する。 塩基エディターは、精密なゲノム編集のための強力なツールとして登場し、大きな治療可能性を秘めている。重要な課題は、標的部位での編集効率を最大化しつつ、編集可能ウインドウ内外の非標的部位の編集 …
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復帰変異を介して, ABE7.10からABE8eとABE8.20に優るME-ABEに到達
- CBEとABEの開発に携わり、Pairwise Plants and Beam TherapeuticsのコンサルタントでもあるUCSDのAlexis C. Komor准教授が率いる研究チームからの報告 ゲノム中のA・TからG・Cへの塩基対置換を促進するアデニン塩基エディター(ABE)の初期開発では、指向性進化を用いて野 …
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OMEGAをベースとしたABEとPEはコンパクトかつ高性能であることを大腸菌で実証
[注] OMEGA (Obligate Mobile Element Guided Activity):Feng Zhangらが命名したトランスポゾンにコードされているRNA誘導型のヌクレアーゼ群である。OMEGAタンパク質の原核生物TnpBおよび真核生物Fanzorタンパク質は、真核生物のゲノム編集に有望な超小型なRNA誘導型ヌクレ …
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ハンチントン病マウスモデル*に, 異なる年齢で自己不活性化するAAV-CRISPRをする処方こすることで、症状の持続的改善を実現
[*] ハンチントン病マウスモデル:ここでは、北京大学細胞增殖与分化国家重点研究室を主とする中国と米国の研究チームが樹立したBAC226Qマウス [Shenoy SA, Zheng S et al., eLife 2022-01-13 ] ハンチントン病(HD)は、HTT 遺伝子のエクソン1におけるCAGリピート伸長によ …
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シロイヌナズナの減数分裂組み換えを, 染色体組み換えのホットスポットにクロマチン制御因子を標的化することで操作する
ポーランドの研究チームが今回、CRISPR/dCas9を用いて染色体組み換え(以下、クロスオーバー)のホットスポットにおけるH3K9me3を局所的に改変することで、染色体組み換えの活性を操作できることを変化発見した。これにより、植物における標的型組換えの実現へと一歩近づい …
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[レビュー] 植物への精密なDNA挿入を実現するコンストラクトの設計
- 米国Oak Ridge National Laboratoryの研究者達によるレビュー 植物ゲノムの標的部位へ正確にDNA配列を挿入する(ノックイン)技術は、合成生物学、遺伝学、そして作物改良にとって極めて重要である。この正確なDNAノックインにあたっては、コンストラクトの設計が必須であ …
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ビタミンB2代謝はFSP1の安定性を促進し、フェロトーシスを抑制する
過剰な脂質過酸化によって引き起こされる制御された細胞死であるフェロトーシスは、がん治療における有望な標的として注目されている。フェロトーシス抑制タンパク質1(Ferroptosis suppressor protein 1:FSP1)はフェロトーシス抵抗性の重要な調節因子であるが、その発現 …
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AcrIIA7はtracrRNAを乗っ取り, CRISPR-Casシステムを阻害する
進化的軍拡競争(evolutionary arms race)の中で、細菌とアーケアのCRISPR-Cas適応免疫システムに対して、ファージは抗CRISPR (anti-CRISPR)タンパク質(Acr)を備えてきた。Acrはこれまでに約100種類が同定されており、このcrisp_bioブログのAcr関連記事は200件を超えて …
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新たなCas12jオーソログからコンパクトで高効率なゲノムエディターを導出
CRISPR-Casシステムの中で、これまで広く利用されているCas9は、サイズが大きいため、治療用途への導入が制限されている。コンパクトなCas12jヌクレアーゼはその代替候補であるが、編集効率が低いことが課題である。キング・アブドゥッラー科学技術大学の Magdy Mahfouz教 …
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[20260320更新] タイプV CRISPRシステムの起源となる機能的なRNA分離メカニズムを解明
2026-03-20 著者らかの「訂正」がCell 誌から発表された:CORRECTION: Functional RNA splitting drove the evolutionary emergence of type V CRISPR-Cas systems from transposons. https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(26)00281-3 図の誤りとテキストの修 …
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造血幹細胞におけるCCR5遺伝子のin vitroおよびin vivoでの塩基編集はHIV-1耐性を付与する
ワシントン大学の Chang Li博士(Assistant Research Professor)が率いる研究チームが今回、Molecular Therapy 誌刊行論文において、造血幹細胞(HSC)におけるin vivo精密遺伝子編集によるHIV遺伝子治療を紹介している。 研究チームはまず、CCR 遺伝子を標的とするオー …
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食感エンジニアリングに挑むCRISPR技術:精密栄養と健康のための機能性食品の再定義
食品の食感は、栄養安全性、代謝調節、そして全体的な健康状態を左右する重要な要素として、ますます認識されている。しかし、従来の食感改変手法は、主にハイドロコロイド、機械的処理、または押出成形に依存しており、嚥下行動、消化性、満腹感、栄養素の放出を左右する …
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グルタミン酸受容体GRIA2がカルシウム依存性β-カテニン活性化を介して胃癌の腹膜転移を促進する
腹膜転移は胃癌の最も致死的な病態であり、生存期間中央値は1年未満であることから、新たな治療標的の必要性が強調されている。復旦大学の研究者達に日本の3大学の研究者達が加わった研究チームが今回、生体内ゲノムワイドCRISPR-Cas9スクリーニングにより、AMPA型グルタ …
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誘導性CRISPRスクリーニングにより, 癌における免疫抑制性表面分子の制御マップを確立
Research Institute of Molecular Pathology (IMP)/Vienna BioCenter (VBC) のJohannes Zuberシニア・グループ・リーダーが率いる研究チームは今回、これまでに開発してきたドキシサイクリン(Dox)誘導性CRISPR-Cas9発現システム [#1]と第二世代sgRNAライブラリー [#2 …
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微妙にバランスのとれたdsDNAを介した単一酵素活性化CRISPR-Cas12aナノシステムによる、動態制御型UDG検出および時空間細胞イメージング
UDG (ウラシルDNAグリコシラーゼ)は、二本鎖DNAからウラシル残基を認識して除去し、APE1によるさらなる修復を可能にする部位を作り出す塩基除去修復(base excision repair: BER)過程における重要な酵素である。UDGの発現異常はいくつかの疾患と関連しており、子宮頸癌、 …
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堅牢な微生物の堅牢な生物学的封じ込めを実現する戦略"ATTACH"
[注] ATTACH (Associates Toxin–Antitoxin with CRISPR-Cas to Harness engineered microbes) 遺伝子改変微生物の安全な利用には、強力な微生物の生物学的封じ込め(microbial biocontainment system: MBS)が不可欠であるが、既存の戦略は遺伝的不安定性、特に強い選択 …
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AsCas12aの特異性の高さを損なうことなく編集活性を高めた改変型AsCas12aの構造基盤
CRISPR関連タンパク質(CRISPR-associated proteins: Cas)は遺伝子編集の中心的な役割を担い、ガイドRNAとヌクレアーゼ複合体(RNP)を形成することで、ゲノムの精密な改変を可能にする。数多くのCas変異体の中でも、Cas9とCas12aは最も広く研究かつ利用されている。これ …
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アデニン塩基エディター (ABE) を利用して, 単一細胞におけるシグナル伝達の強度と持続時間を記録し読み出し可能とするINSCRIBEを開発
[注] INSCRIBE (IN situ Single Cell Recording of signal Intensity as Barcode Edits) 多細胞生物では、細胞の挙動と運命はシグナル伝達経路によって制御されている。細胞は、これらのシグナルの強度と持続時間を解釈して適切な応答を生み出し、シグナル伝達経路の不全は …
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吸入型脂質ナノ粒子を介したマクロファージ特異的STING遺伝子編集により肺線維症を改善
特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis: IPF)は、進行性で致死的な肺疾患であり、治療選択肢は限られている。線維化の重要な要因としてこれまでに、STINGシグナル伝達経路、特に肺胞マクロファージ(alveolar macrophage: AM)における経路が同定されている。し …
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Met-Arg-Serの三種混合アミノ酸サプリメントが, LNPを介したmRNA療法とCRISPR-Casゲノム編集を強化する
[注] LNP (Lipid NanoParticle / 脂質ナノ粒子) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンの送達媒体として利用されたLNPは、今や、がん治療や炎症性疾患の治療用mRNAの送達媒体として、また、遺伝子治療のためのCRISPRシステムの送達媒体として、その開発 …
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[20260317更新] EVOLVEpro:タンパク質 (proteins) の機能をin silicoで迅速に指向性進化させる法
2026-03-17 Science 誌刊行論文のイントロダクションを元にした背景とEVOLVEproの応用例を充実させた改訂版を冒頭に挿入[追記]2026-03-16 Science 誌刊行論文に準拠した初稿[注] EVOLVEpro (evolution via language model–guided variance exploration for proteins) ; PLM …
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[20260317更新] ディープ・ミューテーショナル・スキャン (DMS) を介してCas12の祖先とされるTnpBの活性を野生型の2~50倍まで向上
2026-03-17 Nature Biotechnology 誌査読論文としての書誌情報を追記2025-03-25 bioRxivプレプリントに準拠した初稿 TnpBはIS200/IS605およびIS607トランスポゾンにコードされるRNA誘導型エンドヌクレアーゼの多様なファミリーであり、タイプV CRISPR-Cas酵素(Cas12)の進 …
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プロトカドヘリンγC4は神経細胞の生存と樹状突起の自己回避を制御する
動物モデルは、ヒトの遺伝学的知見と疾患メカニズムを結びつける上で不可欠である。プロトカドヘリンγ(Pcdh-γ)遺伝子クラスターによってコードされる22種類のアイソフォームのうちの1つであるプロトカドヘリンγC4(γC4)の変異は、進行性の小頭症、痙攣、知的障害を …
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オーストラリアにて, 進行性脳腫瘍を患う小児を対象とした個別化mRNAワクチンの臨床試験が始まる - 米国の膵臓癌mRNAワクチンの成果に触発されて
癌ワクチンの研究は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中でmRNAワクチンが短期間で開発され各国で広く接種され効用を示したことから、飛躍的に加速した。 オーストラリアでは、クイーンズランド大学(UQ)のFrazer Instituteと、South Australian Heal …
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オーストラリアにて, AI企業の設立者が, ChatGPTに学びAlphaFoldを駆使して設計したmRNAがんワクチンが愛犬を救った物語
Core Intelligence Technologies を共同で設立したPaul S. Conyngham氏は、動物保護施設から引き取ったスタッフォードシャー・ブル・テリアとシャー・ペイのミックス犬Rosie(ロージー)の頭に奇妙なこぶがあることに気づいた。2022年のことである [氏のX投稿を以下に引用 …
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タンパク質の折り畳みは, そのサイズが大きいほど速いように見える - 鎖状のペプチド鎖が然るべき立体構造へと高速で (< 4 μs) 遷移する過程を蛍光可視化
- 米国NIHの国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)の化学物理学研究室とクライオ電顕施設の研究者達からの報告[注] 本ブログ記事は、主として、出典の中のPhys.orgの紹介記事に準拠している。タンパク質折り畳み(folding)の問題 タンパク質は、多くの場合、DNAからの …
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合理的かつin silicoで進化させたAPOBEC3Fを組み込んだCBEによる膵臓癌遺伝子治療の強化
シトシン塩基エディター(CBE)は、正確なCからTへの変換を媒介し、大きな治療的可能性を秘めているが、腫瘍学におけるその編集機能と有用性は未だ十分に解明されていない。天津医科大学附属癌研究病院を主とする中国の研究チームは今回、進化スケールモデリング(Evolutio …
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オリジナルのPEに対して, 標的鎖にニックを入れその3’側を編集させる"reversePE"にて, プライム編集の効率と忠実度を向上させた
プライム編集(PE)は、DNA二本鎖切断を介さずに真核生物に遺伝子変異を導入することを可能にする精密なツールである。天津を拠点とする研究者達を主とする中国の研究チームは今回、効率的な編集範囲を拡大し、望ましくない副産物を軽減するPEバリアント"rPE"を開発した。r …
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