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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

 世界中で栽培されている最も重要な油糧作物の一つである菜種(Brassica napus /セイヨウアブラナ)は、カドミウム(Cd)による土壌汚染の長期化により深刻な影響を受けて、収量が減少し品質が低下してきている。B. napus はCd吸着能が高いため、Cd蓄積の少ない種子資源を …
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 慢性肉芽腫性疾患(Chronic Granulomatous Disease: CGD)を対象とするPEをベースとする治療候補薬PM359(Prime-0101)のヒトを対象とする第1/2相試験は2024年10月17日にスタートした。 CGDは、小児期に発症する重篤で治療困難な感染症および炎症性/自己免疫性合併症を特 …
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 2006年に設立され一世を風靡した遺伝子検査サービス企業23andMeは2025年3月に連邦破産法11条の適用を申請していたが、約1500万人のDNAサンプルを含むデータベースをバイオ医薬品メーカーのリジェネロン・ファーマシューティカルズに2億5600万ドル(約370億円)で売却す …
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 ルンド大学のJohan Malmström教授とEmma Niméus准教授が率いる研究チームは今回、健常状態および病態において、様々な臓器や細胞が血漿プロテオームに及ぼす影響を定量化するために、質量分析に基づくプロテオミクスを試み、ヒト血漿中に検出されたタンパク質の組織起源 …
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 パン酵母は、代謝経路を改変することで、プロキラルケトンの全細胞バイオコンバージョンを介してキラルアミンを生成するための微生物工場として利用できる。ルンド大学の研究チームは今回、ベンジルアセトンから(S)-1-メチル-3-フェニルプロピルアミン(MPPA)への立体選択 …
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 CRISPR-Cas12aバイオセンサーにおいて、前増幅反応に続くCas12aトランス切断活性反応の2テップのプロセスに対して、前増幅反応を不要にするアプローチと、両者の反応を一体化するアプローチが試みられてきた。中国の研究チームは今回、熱対流PCRの概念をベースにして、後 …
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 これまでの腫瘍化学療法には、依然として、腫瘍を選択的に標的する機能の欠如と高い毒性が、大きな課題として残っている。南方医科大学と右江民族医学院の研究チームは今回、効率的で標的を絞った腫瘍治療のために、トリプルロック・カスケード腫瘍治療ナノカプセル(a tri …
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 CRISPRを介した内因性タグ付けは、生物学研究において強力なツールの一つである。これまでに、非相同末端結合(NHEJ)経路を阻害することで、DSBからの相同組換え修復(HDR)過程を介した高精度ノックインの低い効率が改善されることが示されている。しかし、代替的なDSB修 …
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 遺伝子編集技術は、治療応用においてウイルスDNAを直接標的とする可能性を開いた。B型肝炎ウイルス(HBV)に慢性感染した肝細胞では、共有結合性閉環状DNA(cccDNA)がウイルス転写産物および遺伝子産物のマスターテンプレートとして機能する。 Excision BioTherapeutics …
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 塩基エディター(BE)は、遺伝子変異を一塩基分解能でモデル化し、修正することを可能にする。点変異を一括して検索するBEスクリーンは、遺伝子型と表現型の関連性を体系的に描き出し、遺伝子やその他のゲノム要素の機能を特徴付ける強力なツールである。カナダのマギル大 …
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 薬理学者のLorna Ewart博士は、長年、動物とヒトの毒性データの不一致に長年苛立ちを感じてきた。ラットやイヌを用いた前臨床試験では薬剤の安全性が示唆されるにもかかわらず、ヒトを対象とする臨床試験では、危険信号が出ることがあまりにも多かった。 2012年、臓器チッ …
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 体外診断では、疾患に関連する標的生体分子を、極めて低い濃度であっても正確に検出する必要がある。マルチモード・センシング戦略は、データ補完と自己較正による検査結果の相互検証、および二重確認を可能にすることから、体外診断の有望と考えられている。 重慶大学の …
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 ヒトは、発達および遺伝子調節の変化に伴い、並外れて拡大した複雑な大脳皮質を進化させてきた。ヒト加速領域(Human accelerated region: HAR)は、ヒト特異的なヌクレオチド置換を持つ高度に保存されたDNA配列である。アノテーションが付されたHARは数千個知られているが …
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 タイプV-H CRISPR-CasシステムとCas12hエフェクター・ファミリー(870-933 aa)は、2018年に報告され [*1]、その中でCas12h1 (870 aa) については、標的dsDNAの非標的鎖(NTS)を主に切断するニッカーゼとして機能し、また、2025年2月にはRuvCドメインのコラテラル切断活 …
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 プライム編集(PE)は、様々な小さな編集を導入できるゲノム工学ツールであり、Casヌクレアーゼに由来する相同組換え修復などによる他のゲノム編集手法と比較して、一般的により高精度な編集結果をもたらす。 一方で、PEの効率と純度は、異なる編集、ゲノム標的、細胞の種 …
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 中国の研究チームが前立腺癌(PCa)患者において、POLA2のA-to-I RNA編集を同定し、これが不良な臨床転帰および予後と関連していることを、見出した。また、POLA2のA-to-I RNA編集は、ヒトがんにおいてADAR1酵素によって媒介されていた。機能的には、A-to-I RNA編集はPCaの …
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2025-05-19crisp_bio  COVID-19から完全に回復した対照群とロングCOVID患者群を比較するパイロットスタディー 2025-05-06 crisp_bio 2025-05-06 ロングCOVID患者に見られる重度の呼吸器疾患に対する血中バイオマーカーを特定2025-03-22crisp_bio 2025-03-22 [展望] "ロン …
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2025-05-19 国立遺伝学研究所の関連X投稿を以下に引用 (日本語解説へのリンクが埋め込まれている)【研究成果】新しい研究成果を発表しました。■先端ゲノミクス推進センター, 中村研究室 (大量遺伝情報研究室) 「三毛猫の毛色を決める遺伝子をついに発見 〜60 年間の謎だっ …
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  Arc InsituteのSilvana Konermannと Patrick D. Hsuが率いる研究チームは、IS110挿入配列エレメントに由来し、天然に存在するRNA誘導性DNAリコンビナーゼの一種であるブリッジ・リコンビナーゼを発見し、in vitroおよび細菌において、プログラム的にDNAを挿入、切除、反転 …
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- 患者の自己申告による健康状態と、神経心理学的検査およびバイオマーカーを比較  COVID-19を発症した人の相当数は、ブレインフォグなどの長期にわたる認知症状を経験する。しかし、これまでの研究では、これらの患者を、検査でCOVID-19患者であったがその後健康を回復し …
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[注] アッセンブロイド(assembloid): iPS細胞から作出されたオルガノイドが組み合わされた構造体 [右図はヒト前脳回路のアッセンブロイドの例]  体性感覚経路は、痛み、触覚、痒み、身体部位の動きに関する重要な情報を皮膚や筋肉などの末梢の臓器から中枢神経系へと伝達 …
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 CRISPR/Cas12aシステムは多様な分子診断ツールのベースになっているが、RNAを直接検出し、特定のDNA点変異を同定することは依然として困難である。中国の研究チームは今回、crRNA内のスペーサー配列に分割部位 (split site) を設けることで、野生型crRNAと同等の効率でCRIS …
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 合成生物学は、高度なバイオセンシング・アプリケーションを含む、生体システム内でカスタム設計された動作を実現する遺伝子回路を設計することを目的としている。CRISPRシステムは、そのモジュール性、プログラム可能性、精度、そして直交性により、遺伝子回路設計のベー …
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 アシネトバクター・バウマニ(A. baumannii )は、免疫力の低い入院患者に院内肺炎や人工呼吸器関連肺炎を引き起こしやすい重要なグラム陰性日和見病原体である。一方で、細菌の適応免疫システムであるCRISPR-Casシステムは、細菌の薬剤耐性や毒性にも密接に関連している …
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 タンパク質の細胞内局在はその機能にとって重要であり、その誤った局在は多くの疾患と関連している。既存のデータセットは、タンパク質と細胞株の組み合わせが限られており [*]、既存のタンパク質局在予測モデルは細胞種特異性を考慮に入れておらず、また、未知のタンパク …
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 アルゴノートタンパク質(Agos)は、生命のあらゆる領域に存在し、原核生物(prokaryotic)のAgo(pAgo)は、主に、long-A pAgo、long-B pAgo、およびshort pAgoの3つの系統群に分類されている。Long-A系統のpAgosは、小型の干渉DNA(siDNA)ガイドを用いて侵入したプラス …
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 CRISPR–Casシステムは、ヒト遺伝子だけでなく、ヒト体内の病原細菌や常在細菌を標的とするように設計することが可能なことから、感染症の治療やマイクロバイオームの調節のための新たなツールのベースになりえる。パリを拠点とする産学の研究チームが今回、特定の細菌を殺 …
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 CRISPR-Cas12aシステムは、crRNA誘導によるトランス切断活性(コラテラル活性)により、迅速で高感度な核酸診断ツール開発のベースとして利用されている。この利用にあたっては、多様な標的部位における活性を正確に予測することが求められるが、その予測は依然として課題 …
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- tRNA-gRNAアレイベースのCRISPRシステム [Fig. 2引用右図 B 参照] を利用 セロビオースはセロビオースホスホリラーゼの触媒作用でグルコース-1-リン酸を生成し、これがさらにデンプンに合成される。このプロセスはグルコースからデンプンを合成するよりもエネルギー効率が …
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 循環型炭素経済には、C1プラットフォーム原料の多様化と付加価値製品(エタノール、アセトン、イソプロパノールなど)への改良が重要である。好熱性酢酸菌Thermoanaerobacter kivui は、高温下でもCO2、CO、H2を燃料として急速に増殖し、高いエネルギー効率を示すことから …
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 生細胞における1,130種類のタンパク質の局在と相互作用を可視化したManuel D. Leonetti のチームにJoshua E. Eliasが率いるチームが加わったChan Zuckerberg Biohubの研究チームは、今回、細胞小器官、細胞質など19種類の細胞区画ごとに、述べ7,666種類のタンパク質の局在 …
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[注] 論文中では"RNAをテンプレートとするDSB修復 (RNA templated DSB repair)"が、RT-DSBRと称されている。 DSBは、ゲノム不安定性につながる遺伝毒性DNA損傷である。標準的なDSB修復経路は通常RNAとは独立して機能するが、RNA:DNAハイブリッドや近傍の転写産物が修復結果 …
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 アクチン細胞骨格のダイナミクスは、神経系の正常な発達と機能に不可欠である。ニューロン特異的なマイクロエクソンの保存されたセットは、神経生物学の様々な側面に影響を与えるが、アクチン細胞骨格の制御におけるそれらの役割は不明である。 スペインを主とする国際研 …
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 系統特異的遺伝子や組織特異的遺伝子といったhPSC中のサイレント遺伝子の改変は、発生研究、疾患モデル化、薬剤スクリーニングのための堅牢なプラットフォームを提供する。しかし、サイレント遺伝子の編集結果を検証するには、hPSCをサイレント遺伝子が発現する細胞まで分 …
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