crisp_bio

論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "Efficient single-copy HDR by 5' modified long dsDNA donors" Gutierrez-Triana JA, Thumberger T, Tavhelidse T [..] Wittbrodt J. bioRxiv 2018-06-22
  • CRISPR/Cas9は、DSBのNHEJ修復機構を介してゲノム上の標的部位への効率的変異誘発を可能にしたが、遺伝子の修復、置換あるいはタギングなどのゲノム編集には、細胞周期のS/G2期後半で活性が上がって来るDSB修復機構HDRを介した内在DNA断片の精密な編集が必須である。これまで、NHEJに対してHDRを亢進するために、酵素によるNHEJの抑制、Cas9の改変によるHDRの亢進など様々な手法が提案されてきた。
  • HDRによるゲノム編集では、CRISPR/Cas9に加えて、標的の遺伝子座に相同な隣接領域を帯びた修復用DNAドナーを使用することで、特定の変異やDNA配列を挿入する。HDRと並存しているNHEJは高活性であり、CRISPR/Cas9を介した標的DNA部位の切断を再結合するとともに、直鎖状dsDNAドナーテンプレートの多量体化をもたらすことから、シングルコピーのドナーテンプレートに基づくHDRは極めて稀になる。しかし、この多量化の問題への取り組みはなされていなかった。
  • ハイデルベルグ大学の研究チームは今回メダカにおいて、内在するDNA修復機構に干渉することなく、修復用の長いdsDNAの双方の5'末端をバルキーな分子で修飾することにより、ドナーをNHEJと多量体化から保護可能なことを示した。
  • メダカの一細胞期胚において、ビオチンとSpC3で修飾したドナーは6時間後も単量体に止まった一方で、修飾しなかったドナーは2時間後にはすでに多量体化することを、見出した。続いて、ビオチン修飾ドナーを使用することで、in vivoでGFP配列1コピーのノックインを60%の効率で達成した。
 参考資料:
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット