1. CRISPR塩基編集(base editing)の設計と解析を支援するWebツール
 BE関連crisp_bio記事
2. IFNに誘導されるHIV制限因子のハイスループット同定を可能にしたHIV-CRISPRスクリーニング
  • [出典]"A Virus-Packageable CRISPR Screen Identifies Host Factors Mediating Interferon Inhibition of HIV" Ohainle M, Pendergast L, Vermeire J, Roesch F, Humes D, Basom R, Delrow JJ, Overbaugh J, Emerman M. bioRxiv 2018 Jul 20.
  • インターフェロンは一連の抗ウイルスエフェクターを誘導してHIV複製を阻害する。フレッド・ハッチンソン癌研究センターの研究チームは、HIV-CRISPRスクリーニング法(下図参照)を開発することで、協働することでHIV複製を強く阻害するに至るMxB、IFITM1、 Tetherin/BST2およびTRIM5を含むHIV制限因子のパネルを同定した。また、HIV感染増殖に関わる宿主因子CD169、SEC62とTLR2も同定した。
IFN-HIV
  • HIV-CRISPRスクリーニング法 (上図参照):lentiCRISPRv2を、CRISPR sgRNAsをコードするレンチウイルスゲノムが、出芽するHIVビリオン(virion)にパッケージングされるように改変したHIV-CRISPRを開発し、HIV自身をレポーターとするCRISPRスクリーニングシステムを構築;インターフェロン誘導遺伝子(Interferon Stimulated Genes, ISGs)を標的とする15,348 sgRNAsのライブラリーとCas9を組み込んだPackageable ISG Knockout Assembly (PIKAHIV)をヒト単球由来THP-1細胞に導入し、HIV-1LAIを感染させ、スクリーニング。
3. CRISPRレコーダを利用して細胞系譜を精確に再構成することは可能か?
  • [出典]"Is it possible to reconstruct an accurate cell lineage using CRISPR recorders?" Salvador-Martínez I, Grillo M, Averof M, Telford MJ. bioRxiv 2018 Jul 20 > eLife. 2019-01-28.
  • 近年、発生過程でCRISPR技術により、細胞分裂を経ても継承される変異を導入することで、細胞系譜を再構成する技術が複数グループによって開発されている。
  • U. College LondonとフランスCNRSの研究チームは今回、ショウジョウバエにおいて誘導される変異の頻度データを取り込んだコンピュータシミュレーションにより、CRISPR技術を利用した細胞系譜再構成の精度を評価した (eLife論文Figure 1引用下図概念図参照)2019-01-31 12.50.07
  • その結果、細胞系譜の精度が細胞分裂速度の不均一性、細胞分化の過程での標的DNA断片のドロップアウトなどの生物学的パラメータや、変異のシーケンシング解析法などの技術的パラメータに依存することを見出し、GESTALTをはじめとするCRISPR技術に基づく細胞系譜追跡の限界を指摘した。
  • 例えば、ほとんどの手法でレコーダーとして10種類のCRISPRターゲットが利用されているが、それでは十分な分解能を得られないとした。シミュレーションからは、30ターゲットを使用すれば~65,000種類の細胞系譜の精度 ~70%を実現でき、100ターゲットを使用すれば精度>95%を達成できる。
  • [注]本論文はbioRxiv投稿版にもとづき「CRISPRメモ_2018/07/24 - 3. CRISPRレコーダを利用して細胞系譜を精確に再構成することは可能か?」にて紹介済みだが、今回、eLife版に基づき加筆し、図を引用追加:"Is it possible to reconstruct an accurate cell lineage using CRISPR recorders?" Salvador-Martínez I, Grillo M, Averof M, Telford MJ. eLife. 2019-01-28.
  • 関連CRISP_BIO記事:CRISPRメモ_2018/06/29 1. [技術展望]多能性幹細胞からの細胞系譜解析のルネサンス
4. NGSによる構造多型解析に向けた組み換えCHO細胞株ゲノムDNAからのゲノム領域のキャプチャー濃縮をCRISPR/Cas9で実現
  • [出典]"CRISPR/Cas9 Targeted Capture Of Mammalian Genomic Regions For Characterization By NGS" Slesarev A, Viswanathan L, Tang Y, Borgschulte T, Achtien K, Razafsky D, Onions D, Chang A, Cote C. bioRixv 2018 Jul 20.
  • BioReliance Corp とミリポアシグマの研究チームは今回、CRISPR/Cas9を利用して、ゲノムが不安定な組み換えCHO-K1細胞株由来のゲノムDNAにおける外来遺伝子を含む長い領域をPCR不要でキャプチャーし濃縮する手法を開発した。全ゲノムシーケンシングの方が構造多型に関してより豊富な情報を獲得できるが、'ターゲットエンリッチメント'にはゲノム解析に比べて時間とコストを節約でき、多重化も可能であり、シーケンシング結果の解析が容易になる利点がある。
5. 高収量をもたらすイネ遺伝子を、家系分析、全ゲノムシーケンシングおよびCRISPR-Cas9ゲノムノックアウトによって、多数同定
  • [出典]"Identifying a large number of high-yield genes in rice by pedigree analysis, whole-genome sequencing, and CRISPR-Cas9 gene knockout" Huang J, Li J, Zhou J, Wang L, Yang S, Hurst LD, Li WH, Tian D. PNAS 2018 Jul 23.
  • 南京大学をはじめとする中・英・米の研究チームは、量的形質遺伝子座 (QTL)のゲノムワイド連鎖解析に替えて、3つの技術を組み合わせることで、緑の革命(Green Revolution, GR)  の代表的な成果とされている高収量イネ品種IR8 において、高収量をもたらす遺伝子を多数同定した。
  • イネの家系解析結果に基づいて選択したIR8の祖先と子孫および関連する30品種のゲノム解析から、解析対象とした高収量品種全てに保存されている染色体の祖先ブロックを28種類見出し、これらのブロック上で、GR品種の遺伝子sd1を含む機能既知の57遺伝子に加えて、機能不明の123種類の遺伝子座を同定した。
  • 123種類の遺伝子座の中から57遺伝子を選択し、そのノックアウトとノックダウンの作用を判定したところ、その多くが必須遺伝子あるいは表現型に影響を及ぼす遺伝子であった。