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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

2022-07-28 2018年Cell 誌掲載査読付き論文の書誌情報とハイライト項目を追記
  • ヒト初代T細胞を用いたゲノムワイドなCRISPRスクリーニングのための手法を開発
  • T細胞刺激と免疫抑制の制御因子を同定
  • 候補となるヒットはT細胞の活性化やin vitro でのがん細胞殺傷性を向上
  • CRISPRシステムによるプール型摂動とscRNA-seqの組み合わせにより,摂動の影響を受ける遺伝子プログラムを同定
2018-08-06 bioRixv 投稿に準拠した初稿
[出典] "Genome-wide CRISPR Screens in Primary Human T Cells Reveal Key Regulators of Immune Function" Shifrut E [..] Marson A. (bioRxiv 2018 Aug 3.) Cell 2018-11-15. 
 https://doi.org/10.1016/j.cell.2018.10.024
背景

  • CRISPR-Cas9ゲノム工学を利用した次世代の養子細胞免疫療法 (adoptive cell therapy)の研究開発が進められている。ヒト初代T細胞にsgRNAとの複合体RNPを送達することで、チェックポイント遺伝子を効率的にノックアウトし、さらには、内在ゲノムの配列を書き換える (re-write)ことが可能である。
  • 代表的なチェックポイント因子PD-1の阻害剤が、ある種の癌あるいは癌患者のサブセットに奏功することが知られているが、阻害剤の標的を広げることで、免疫療法の適用範囲を拡大することができる。
  • これまで細胞実験とモデル動物実験から、T細胞の抑制と活性化の制御因子同定が進められたが、網羅的解析には至らなかった。ゲノムワイドの遺伝子スクリーンは、Cas9を恒常的に発現させた細胞とCas9トランスジェニックマウスモデルにプール型sgRNAsレンチウイルス・ライブラリーを送達することで実現できるが、レンチウイルスによる形質導入効率が低いため、この手法はex vivoでの培養可能期間が短いヒト初代T細胞を対象とするゲノムワイドスクリーンには適さなかった。
成果
  • UCSFの研究チームは今回、プール型レンチウイルスsgRNA送達に続いてCas9タンパク質をエレクトロポレーションする手法SLICE (sgRNA lentiviral infection with Cas9 protein electroporation)を確立し、ヒト初代T細胞を対象とするゲノムワイドのプール型機能喪失スクリーンを実現した。
  • SLICE法により、TCR刺激に応答してT細胞増殖を促す遺伝子を同定し、その中で、プール型RNPを利用した遺伝子編集によりin vitroでヒトT細胞の抗腫瘍活性を亢進する遺伝子サブセット(少なくとも、SOCS1TCEB2RASA2およびCBLBの4遺伝子)を特定、次世代免疫細胞療法の前臨床試験の有力な候補を見出した。加えて、SLICEと一細胞RNA-seq (scRNA-seq)によってSLICEで特定した遺伝子群が制御する細胞過程を同定した。
  • 固形腫瘍に有効な免疫細胞療法は、免疫を抑制する腫瘍微小環境の中でも腫瘍抗原に安定し応答するT細胞を必要とする。今回、腫瘍微小環境における代表的な腫瘍抑制因子アデノシンを介した腫瘍抑制パスウエイを回避可能とする標的も、アデノシン受容体2(A2A)アゴニストの存在下でのSLICEから同定した。
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